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日本病理学会の財務状況に対する評価・提言

理事会では今後の本学会の健全な運営をめざし、会務の点検の一環として、現在の財務状況に関する監事の意見をもとめ ておりました。先ごろ、両監事より以下の答申をいただきましたので、今後の運営の参考にさせていただきます。この答申は理事会内のみではなく広く会員の皆 様にもお示しし、御意見があればいただき、よりよい道を探りたいとかんがえております。

           2004年3月   財務委員会委員長 坂本穆彦


平成16年02月23日

(社)日本病理学会
 理事長     森 茂郎殿
財務担当理事 坂本穆彦殿

(社)日本病理学会の財務状況に対する評価・提言

 平成14-15年度 監事   松原   修
向井 萬起男


    はじめに

  平成15年05月22日付けの「現行の学会財務の評価について(依頼)」のお手紙を頂き、我々は事務局での財務状況の説明を受け、慎重に調査した。我々の評価・提言を、ここにまとめましたのでご報告する。

    評価・提言内容

1.現在おこなわれている諸事業の適格性、それに使用される経費使用の妥当性の判断

(支出総額)
  収入に見合った支出総額でなければならず、収入に見合った事業計画、人件費を含めた管理費の予算執行でなければならない。収支決算書をみると、出版関 係と管理費が大半を占めており、新しい事業をおこすなどということは無理とみられる。(社)日本病理学会の会員数が約4,000人の規模に見合った事業・ 支出総額がどの程度であるかの判断は難しいが、同程度の規模の学会と本学会の比較調査も行ったので、この比較も後述する。

(出版関係)
  学会誌発行経費が4,000万円弱を占めており、これは異常なる高額支出の最大の原因である。学会誌としての「Pathology International」は発行経費の年次別推移をみても、評価が高まる傾向があり、経費は減少しており、コストパーフォマンスは健全であると言え る。年2回の発行の日病会誌の経費が1,000万円以上であるのは、コストパーフォマンスの上から問題があるのではないかと指摘したい。病理専門医部会の 学術誌「診断病理」については、病理専門医の会費合計が高くなるという不満の声があるので、その存在意義について再度検討した方が良いであろう。

(支部に対する補助金)
  日常の病理業務において深い関わりをもつのが支部活動であり、各支部活動を盛り上げ、またそれぞれの支部が行う各種の学術集会への補助を増やしていくことが望ましい。

(病理専門医資格更新のための生涯学習基準と単位)
  病理専門医資格更新のための生涯学習基準と単位が定まっているが、その実態は広く知られていないものが多い。定期的に見直したり、実態の調査、一般会員への広報(学術集会名、日時、プログラム、会費など)といった改善が望ましい。

(国際交流活動)
  先進国病理学会との交流、学会員の国際派遣などを行っているが、アジア・アフリカなどの若い病理学者を積極的に受け入れる事業も考えることが望ましい。

(後継者育成事業)
  将来の病理専門医・病理学者をどのように発掘、育成していくか、積極的な事業が望ましい。

(医学部学生対策)
  将来の病理専門医・病理学者の育成のため、医学部学生の段階からアプローチする事業が望まれる。

(社会への活動)
  社会において、病理専門医・病理学者の活動が認識されることが少ない。この啓蒙活動がより一層望まれる。

2.管理費として使用される経費の使途と金額の適格性の判断

(管理費・人件費)
  大学の病理学教室から離れて別個のところ事務所を設け、事務局を維持するために管理費総額が約3,400万円を占めており、中でも人件費が約 2,000万円弱占めている。社団法人化し、また本学会がより活性化している状況の中で、経費がかかるのはやむを得ないことと判断する。会議や打ち合わせ などがインターネットで行われるようになると、より経費のかからない場所へ事務局を移動することも一考に値するのではないだろうか。

3.経費削減のための勧告

(各種の会議費)
  各種の委員会などへの会議について、顔をつき合わせて話し合うのが本当であるが、各委員が全国にわたり、日程調整の難航や交通費がかさむことを考えると、インターネット、メールでの会議開催で省エネをはかるのが望ましい。

4.増収のための勧告

(認定病院の認定、登録施設の登録)
  認定病院の認定、登録施設の登録にあたって、各病院、施設から幾分の費用を徴収してもいいのではないか。

(賛助会員の拡大)
  賛助会員が現在5社と少ない。拡大が望まれる。

5.会費値下げの可能性に関する意見

(会費)
  正会員、特に学術評議員の年会費が20,000円であることは、国内学会と比較しても大変高額である。その上、多くの会員(約1,800人)が病理専 門医部会員の会費も払わなければならないことも考え合わせると、下げることが望ましいのではあるが、現状をみると会費の値下げを行うことは無理であると判 断する。

(病理専門医会計)
  病理専門医資格更新のためには、各種の学術集会へ参加し、それなりの費用負担をしないと単位修得ができない仕組みになっているのに、更新の手続きの費用をさらに徴収しているのは二重に負担を強いている。病理専門医資格更新の費用は減額するのが望ましい。

(病理専門医部会会計)
  病理専門医部会は約1,700名の会員から6,000円を徴収して収入が約1,400万円、支出の殆どが「診断病理」刊行経費で約700万円である。 「診断病理」の刊行を続けても会費は半分でよいと考えられ、また刊行を止めれば特別に病理専門医部会の会費を徴収する必要はないと考える。

6.他の学会との財務状況の比較検討

 病理学会と他の4学会の平成14年度の財務状況を比較した。学術集会の参加費が高く、特別会計にする学会もあるので、これを除いた収支をもとに比較した。
 病理学会が会員数に比較して、1)年会費が高いこと、2)会費収入が多いこと(会費納入率も高い)、3)収入合計が多いこと(補助金収入も多い)4)管理費の占める割合が高いこと、という特長が示された。

7.その他

(固定資産)
  固定資産として、病理学学術医療振興基金約1億円、病理学国際交流基金約2,000万円がある。こういう特別財産の使途について考えなければならな い。平成15年度の新規事業をみてもその合計は250万円でしかない。現状であれば、新規事業はまず無理としか言えないが、本学会の益々の発展のためには 必要である。新規事業については、病理学学術医療振興基金約1億円から少しずつ捻出することを考えてみてはどうかと提言する。