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第9回 診断病理サマーフェスト 病理と臨床の対話 開催報告

筑波大学医学医療系、腎・血管病理学 長田道夫 
(第9回 診断病理サマーフェスト世話人)

今年のサマーフェストは、どちらも例年開催されている病理学会の病理診断サマーフェストと腎病理夏の学校とのジョイントというかたちで2015年9月5日(土)、6(日)に京都テルサにて開催しました。例年のように8月開催は会場の都合でかなわず、9月になってしまいましたが、参加申し込みは多く会場の仕様を変更し、さらに追加募集を行いました。最終的には参加申し込み 486名、 当日参加者 475名 (研修医総数111名)病理学会会員211名 (病理研修医37名)でした。腎病理を専門としない(腎病理協会の会員ではない)病理医約200名。
今回のテーマは、「腎生検:患者のためになる病理診断のあり方」としましたが、腎生検病理診断の本質、すなわち臨床に意味のある病理診断をどのように構築するかについて、主に腎病理を専門とされない病理医と、これから腎臓内科を研鑽する臨床研修医に対して、わかりやすく解説することを目的としました。腎生検病理診断はアトラスを持っていてもなかなか診断できないという特殊な領域なので、講習会の時間内では十分に理解が難しいと考え、後に繰り返して勉強できるようにハンドアウトの充実を図り、また実際の標本の見方や考え方を提示するためにバーチャルスライドを用いた症例検討を行いました。
当日は400名を超える参加者の受付を円滑にするために、昨今のマラソン大会のように事前にハンドアウト引換券のはがきを発送し、400名が約10分で会場入りすることが出来たのでまず安心しました。京都テルサは講習会会場としては十分な環境であり、交通や会場としての利便性は高いことに加えて、バーチャルスライドも大型スクリーンで見やすく大変効果的でした。いくつかの工夫をして会の進行を遅らせることなく、ほぼ定刻に終了しました。昨年の乳腺のフェストで行われた実技応答の時間を別途設けることも、疑問点を会員でシェア出来て大変効果的でした。受講者は最後まで減らず会場は熱気にあふれており、腎生検病理診断への関心が高いことを実感しました。これも、今回講師として参加いただいた諸先生方の多大なるご協力の賜物です。また、このようなプログラムは、これまであまり行われてこなかったため、多少不安はありましたが、参加者数やハンドアウトの完売などから、腎生検病理診断の新しい診断セミナーのありかたでもあると思いました。プログラムを多少欲張ってしまい、休憩時間が少なかったことは反省すべき点ですが、それ以外は準備や運営は極めてスムースであり、これも病理学会事務局、京都大学スタッフの御協力の賜物と厚く御礼申し上げます。講評と閉会の挨拶は、小田義直担当理事と羽賀博典診断病理サマフーフェスト委員会委員長から頂きましたが、最後まで席を立つ参加者はほとんどおらず、大きな拍手の元に閉会しました。今後も、このような活動を、腎臓学会や病理学会を通して行っていきたいと思います。
 最後に、ご参加の皆様、病理学会事務局、京都大学スタッフの方々、そして本フェストのねらいを十分ご理解いただき、完成度の高いハンドアウトへの執筆、当日の時間内での充実したご講演をいただきました諸先生に感謝申し上げます。

【プログラム】

◆平成27年9月5日(土)

第1部 腎生検病理診断に必要な基礎知識
1.臨床に意味のある病理診断(片渕律子)
2.腎の疾患分類を理解する(長田道夫)
3.病理診断に役立つ臨床情報(西 慎一)
4.腎臓の構造と機能 (長濱清隆)

第2部 病変の読み方と病態の把握
1.糸球体病変の多様性活動性(清水章)
2.間質・血管病変の多様性活動性(岡一雅)
3.観察のフローチャート:主座時相(益澤尚子)
4.蛍光抗体法の質と診断意義(原重雄)
5.電顕診断の有用性と限界(上杉憲子)
6.小児の腎臓病の特殊性(松岡健太郎)
7.病理診断書の書き方(本田一穂)
8.質疑応答

演者
片渕律子 福岡東医療センター 腎臓内科
長田道夫 筑波大学 腎・血管病理学
西 慎一 神戸大学 腎臓内科
長濱清隆 日本医科大学 第一病理
清水章 日本医科大学 第一病理
岡一雅 兵庫県立西宮病院病理診断科
益澤尚子 大津市民病院 病理科
原重雄 神戸大学 病理診断科
上杉憲子 筑波大学 腎・血管病理学
松岡健太郎 国立成育医療センター 臨床検査部
本田一穂 昭和大学 解第一剖学
大橋隆治 日本医科大学 病理診断科
小池淳樹 聖マリアンナ医科大学 病理学
大橋健一 横浜市立大学 病理診断科
小林凡子 土浦協同病院腎臓内科
長谷川詠子 虎の門病院腎臓内科


◆平成27年9月6日(日)
第3部 症例検討
1.症例1 FSGS 
ネフローゼ症候群の鑑別診断(清水章)
2.症例2 ループス腎炎 
メサンギウム/管内増殖の鑑別診断(原重雄)
3.症例3 半月体形成性糸球体腎炎 
管外増殖の鑑別診断(大橋隆治)
4.症例4 膜性増殖性糸球体腎炎  
MPGNの鑑別診断(本田一穂)
5.症例5 間質性腎炎 
間質性腎炎の鑑別(小池淳樹)
6.血栓性微小血管症 
TMAの鑑別 (大橋健一)

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