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第8回診断病理サマーフェスト -病理と臨床の対話― 開催報告 |
公益財団法人がん研究会 がん研究所病理部 秋山 太
(第8回診断病理サマーフェスト担当世話人)
毎年の夏の恒例企画である日本病理学会主催『診断病理サマーフェスト』が、今年も開催されましたのでその概要を報告致します。
今年の診断病理サマーフェストは、2014年8月23日(土)13:30-18:50・24日(日)9:00-12:00に東京大学伊藤謝恩ホールで、「乳腺診療のための病理診断」をテーマに参加費20,000円(初期・後期研修医、大学院生15,000円)で開催されました。2014年5月に申し込み受付が開始され、最終的な参加者は331名で、その内訳は日本病理学会会員251名(75.8%)、非会員80名(24.2%)でした。非会員の主な内訳は、乳腺外科医19名、放射線科医22名、外科医11名、内科医2名でした。講師陣は必要最低限の人数に抑え、出来るだけ開催地である東京近郊に絞りました。
診断病理サマーフェストの目的は、病理診断の醍醐味・面白さを臨床医に知ってもらい、病理に興味を持つ臨床医を増やすことにあるという認識のもとに、病理と臨床の対話の中で病理診断の重要性をアピールできればと企画を練りました。テーマを「乳腺診療のための病理診断」とし、具体的には画像と病理の対比、外科療法と病理診断、薬物療法と病理診断というように乳腺診療の各領域に病理診断がいかに重要な役割を果たしているかを表現できるよう工夫しました。第一日目は病理と臨床の対話を主とし、第二日目は病理医向けの病理診断を主としました。第二日目の乳腺腫瘍の組織学的分類では、講演の後に講師による討論を取り入れてみました。
アンケート調査で187名の方からのいろいろなご意見を知ることが出来ました。病理診断講習会的な内容を期待されて参加された病理医には少々物足りなかったかもしれません。ハンドアウトにメモの欄を設けたために厚くなってしまいました。貴重なご意見を今後に活かせればと思います。総合評価では「非常に良かった」27%、「良かった」54%、「普通」13%、「要改善」3%という結果でした。
第8回診断病理サマーフェストは、多くの方々に支えられて無事に終わることが出来ました。参加して頂いた先生方、講師・座長の先生方、お世話して頂いた牛久哲男先生をはじめとする東京大学医学部人体病理学・病理診断学教室の先生方、菊川さんをはじめとする日本病理学会事務局の方々に深謝致します。最後に、このような機会を与えて下さった日本病理学会に御礼申し上げます。ありがとうございました。
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≪第1日目≫
【1】 乳腺診療における病理診断の役割
13:30 乳腺診療における病理診断の役割(秋山太)
【2】 画像と病理の対比
13:50 腫瘤性病変の診断の進め方(角田博子)
14:10 石灰化病変の診断の進め方(宮城由美)
14:30 症例検討
【3】 乳癌治療の概説
15:50 乳癌治療の概説(中村清吾)
【4】 外科療法と病理診断
16:10 乳癌手術(岩瀬拓士)
16:40 オンコプラスティックサージェリー(岩平佳子)
17:00 手術標本の病理診断(含・術中診断)(秋山太)
【5】 薬物療法と病理診断
17:20 薬物療法の概要
(含・コンパニオン診断の重要性)(伊藤良則)
17:40 ER・PgR(増田しのぶ)
17:55 HER2(津田均)
18:10 Ki67(森谷卓也)
18:25 組織学的治療効果判定(堀井理絵)
18:40 悪性度・波及度(秋山太)
≪第2日目≫
【6】 乳腺腫瘍の組織型分類
9:00 規約分類(秋山太)
9:20 WHO分類(津田均)
9:40 討論
【7】 針生検と病理診断
10:30 針生検の手技(CNB、VAB)(橋本秀行)
10:50 腫瘤性病変の針生検標本の読み方(森谷卓也)
11:10 石灰化病変の針生検標本の読み方(堀井理絵)
11:30 その他(秋山太)
≪講師(講演順)≫
秋山 太 がん研究会 がん研究所 病理部
角田博子 聖路加国際病院 放射線科
宮城由美 がん研有明病院 乳腺外科
中村清吾 昭和大学病院 乳腺外科
岩瀬拓士 がん研有明病院 乳腺外科
岩平佳子 ブレストサージャリークリニック
伊藤良則 がん研有明病院 乳腺内科
増田しのぶ 日本大学医学部附属板橋病院 病理診断科
津田 均 防衛医科大学校 病態病理学
堀井理絵 がん研有明病院 病理部
橋本秀行 ちば県民保健予防財団
森谷卓也 川崎医科大学 病理学2
伊藤謝恩ホール
会場内の様子
討論の様子(左から 秋山太先生、津田均先生、増田しのぶ先生、森谷卓也先生)