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> 病理検体取扱いマニュアル
病理診断のために採取された病理検体について、臨床医が病理検体を採取してから病理診断書を受け取るまでの過程には、多くのステップがあり、そのほとんどが手作業で行われているのが現状です。これらのすべてにおいて、ヒューマンエラーによる検体の取り違えを生じるリスクがあります。病理診断は、治療方針を決める重要な診断であるので、そのような間違いはあってはならず、間違いを最小にする努力を日頃より病理関係者は実践しています。しかし、不幸にしてヒューマンエラーによる検体の取り違えやインシデントの発生が報告されているのが現状です。ヒューマンエラーはゼロにはなりませんが、できるだけゼロに近づけるべく、「病理検体取扱いマニュアル」を作成しました。このマニュアルは、病理診断を行ううえで基本となる病理検体の取り扱い、標本作製、診断の過程で推奨される標準的な手順をまとめたものです。バーコード、ICチップ等を用いたコンピューター管理によるトラッキングシステムの導入も検討されていますが、いまだ多くのステップでは、自動化やIT化は困難であり、マニュアルでの対応が必要です。また、検体採取から検体の提出までを担う臨床医との十分な連携、認識の共有も必要です。本マニュアルでは、実際の病理検体取扱い過程の時系列に沿って、推奨される手順と避けるべき手技を示すことで、関与する医師、検査技師、医療従事者に分かりやすく実践可能なように記載しました。また、最初に推奨される手順、避けるべき手順をまとめて記載し、一目で重要なポイントがわかるようにしました。本マニュアルがヒューマンエラーの軽減に役立つことを祈っております。
なお、本マニュアルの作成過程でパブリックコメントを求めたところ、多くの先生方の意見をいただきました。可能な限り、いただいた意見を入れさせていただいております。ご協力賜り、本当にありがとうございました。
本マニュアルを、各々の施設における標準作業手順書作成の参考にしていただれば幸いです。
病理検体取扱いマニュアル(全文)はこちら
病理検体取扱いマニュアル(簡易版)はこちら
2016年7月16日
病理検体取扱いマニュアル作成委員会
森井英一、佐々木毅、滝野寿、徳永英博