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病理解剖に関するアンケート調査結果について

病理解剖に関するアンケート調査結果について


平成30年6月12日
一般社団法人日本病理学会
理事長 深山正久

 病理解剖が医学に果たす役割については、改めて強調する必要はないものと思います。臨床病理検討会(CPC)において病理解剖結果を医療者が共有し症例を検討することで、病院、医療界の「相互検証力」を一定の水準に保つことは、我国の医療の質を担保する土台と言っても過言ではありません。しかし剖検の実施数は平成に入ってから年々減少しており、平成16年の約2万件に対し平成26年には約1万件と10年間で約半数となっています。
このため、日本病理学会では減少を食い止め、病理解剖が着実に実施される環境を整備するための努力をしています。その一つとして、病理解剖への財政的裏付けのため、「国民のためのよりよい病理診断に向けた行動指針2017」で「医療安全対策加算」の見直しを要望しています.また,今回、具体的な対策を考えるため日本内科学会と共同で、教育病院を対象にアンケート調査を行い、その結果をまとめましたので、ご報告いたします。
 今回の調査の背景を簡単にご説明いたします。病理解剖の実施に当たっては、まずご遺族に病理解剖に関するご説明をし、ご許可をいただくことから出発します。ご遺族の許諾に影響を与える因子として、主治医の説明、熱意が極めて重要であるとの研究結果もあります。そこで、病理学会では、将来主治医として診療に携わる初期研修医・後期研修医(専攻医)に対して、病理解剖の説明に関してどのような教育が行われているのか、その現状を調査し、今後に生かす対策を講じる必要があると考えました。特に日本内科学会は病理解剖、CPCの意義について重視されており、認定教育病院の施設基準に剖検数を設定されています。そこで日本病理学会から日本内科学会に対して、「病理解剖の許諾についてのアンケート」を共同実施することを提案したところ、内科学会理事会のご理解を得て、日本内科学会ホームページのwebを通じて本調査を行うことができました。アンケートに回答していただいた日本内科学会会員の先生方はもとより、ご協力を賜った日本内科学会認定医制度審議会ならびに関係者の先生方に心より感謝申し上げます。
 病理学会員の皆さんには、日本内科学会の先生方の病理解剖、研修医教育に関する考えを知り共通理解を深めるとともに、この結果を今後の病理解剖、CPCの在り方を考える参考に是非していただきたいと思います。また、ここで改めて、一般の方を対象にしたアピール「病理解剖によってわかること・できること-こんな時には病理解剖を-」の活用をお願いするとともに、病理医を増やす努力をお願い申し上げる次第です。
 新たな診断・治療法が次々と生まれ複雑化した診療が行われる現代において、質の高い病理解剖が行われ、診断・治療の検証を行うことができる体制を、日本内科学会をはじめ臨床医の先生方、医療従事者の方々と共に築いてまいりたいと思います。