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英国派遣報告:国際病理アカデミー/ヨーロッパ病理学会学術総会参加報告 |
関西医科大学 臨床病理学講座 大江 知里
熊本大学 細胞病理学講座 藤原 章雄
私達は2019年の第108回日本病理学会学術奨励賞受賞者として、英国病理学会派遣者に選出いただきました。当初は、第32回ESP Congressと第33回IAP Congressが2020年8月29日~9月2日の日程で英国ScotlandのGlasgowで共同開催される予定でしたが、昨今の新型コロナウィルス感染拡大に伴い、12月6日~8日のVirtual Congress (WEB開催)に参加することとなりました。現地開催でなかったことは残念でしたが、パンデミック下での学会参加につき報告させていただきます。
学会では、ヨーロッパで病理専門医を目指すtraineeのための特別セッションにおいて、3名の演者が皮膚病理に関する実践的な講演をされた後、私達2名が8分ずつ発表する機会をいただきました。事前準備として、1カ月ほど前にそれぞれが学会のシステムを通して発表のビデオ録画を行いました。当日は、発表時間にZoomよりVirtual Roomに入室し、座長が各演者の紹介をした後で事前録画データが流され、最後に20-30分のQ&Aセッションを行うという一連の流れがライブ配信されました。
発表に際しては、イギリスのDr. Matthew Clarke及びオランダのDr. Charlotte Kweldamにサポートいただき、私達が日本病理学会から選出された演者で、国際交流の一環としての発表であることも聴衆に伝えてくださり、発表後にも激励のお言葉を頂戴しました。
今回の発表のQ&Aセッションでは、座長と演者間とのやり取りのみで一般の聴衆との対話はありませんでしたので、現地開催で得られるような多くの方との国際交流とはいきませんでした。しかし、オンラインでも、3日間で77のライブセッションが行われ、116カ国より4762人が参加した世界的な学会で発表をさせていただけたことは非常に貴重な経験でした。特に、オンラインならではの利点として、学会開催後の3カ月間オンデマンド配信で事前録画された発表を自由に閲覧して様々な領域のupdateを学べるという、現場で参加する以上の情報を得られたことは大変有意義でした。
未曾有の状況下でも、多くの方々のご尽力により、様々な工夫が凝らされた大規模な学会が開催されたことは本当に素晴らしいと感銘を受けました。また、ネット環境さえあれば世界中のどことでもオンラインで繋がり、学術的な知見を共有できることも実感できました。
今後は、さらに国際交流を行いやすい状況にもなると考えられますので、今回の経験を活かして海外の病理医と積極的に交流を持ち、国際的に病理学の発展に寄与できるよう日々研鑽を積んで参りたいと思います。
このような貴重な機会を与えていただきました日本病理学会および英国病理学会のご関係の皆様に、心から感謝申し上げます。
令和3年1月