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HER2検査ガイド乳癌編の改訂に関して

乳がんHER2検査病理部会(*1)より、HER2検査ガイドの改訂の報告がございましたのでお知らせ致します。
医療業務委員長 森井 英一

HER2検査ガイド乳癌編の改訂に関して
乳がんHER2検査病理部会(*1)では、2013年にASCO(American Society of clinical Oncology)/CAP(College of American Pathologists)ガイドライン(*2)が改訂されたことに伴い、HER2検査ガイドラインを再び改訂いたしましたので、ご報告申し上げます。


2007年にASCO/CAPガイドラインを準拠するかたちで作成されたHER2検査ガイドライン第3版ですが、2013年、ASCO/CAPガイドラインが再び改訂され、HER2検査の判定基準に再び変更が加えられたため、乳がんHER2検査病理部会では、より正確なHER2検査・判定を目指してHER2検査ガイドの再改訂を行うこととしました。判定基準は変更になりますが、再現性、信頼性のある結果を得るには、従来の推奨どおりマニュアルに沿った検体の取り扱い、染色方法、判定方法が必須となります。
 近年、分子標的治療薬の開発が相次ぎ、治療成績の向上がもたらされる一方で、医療経済性も重視され、より適正な対象への使用が求められています。
このことにより、HER2検査の正確性は益々重要となってきており、更なる精度管理が求められているところであります。
HER2検査の 依頼元である臨床医・病理医、検査・判定にあたられる臨床検査技師・病理医の方々には、精度向上のグローバルスタンダードである旨をご理解の上、本件よろしくご了解・ご協力の程お願い申し上げます。

なお、従来の判定基準に比べ、変更の要点は、以下の通りです。
・新たに乳癌と診断された全患者について、HER2検査の実施を推奨する。
・組織標本の作成において、組織の固定時間は6時間以上72時間以内を推奨する。
・IHC法の3+を、強い完全な細胞膜の陽性染色がある癌細胞が、10%を超えて存
在する場合とする。
・従来IHC法で陰性とされていた≦10%の腫瘍細胞に強い完全な全周性の膜染色
が認められるものをIHC2+とする。
・ISH法の陽性基準を、HER2シグナル総数/CEP17シグナル総数比が2倍を超え
るもの、および2倍未満でもHER2遺伝子コピー数が6コピー以上あるものとす
る。HER2シグナル総数/CEP17シグナル総数比が2倍未満かつ、HER2遺伝子
コピー数が4~6未満をequivocal、4未満を陰性とする。
・IHC法、ISH法いずれの検査も技術的問題で実施できない、または、陽性、
equivocalまたは陰性か判定できない場合、判定不能とする。

※詳細はHER2検査ガイド乳癌編 第4版(PDFファイル参照)をご覧ください。
>>HER2検査ガイド乳癌編第4版(PDFファイル)はこちら

※詳細は乳癌・胃癌HER2病理診断ガイドライン 第2版(2021年4月刊行)をご覧ください。

2015年2月吉日
乳がんHER2検査病理部会(*1)
代表 長村義之


(*1) 乳がんHER2検査病理部会 
顧問:坂元 吾偉(医療法人社団正診会坂元記念クリニック・院長)
代表:
長村 義之(国際医療福祉大学 教授・病理診断センター長)
笹野 公伸(東北大学大学院医学系研究科病理診断学分野・教授)
津田   均(防衛医科大学校病態病理学講座・教授)
徳田   裕(東海大学医学部乳腺・内分泌外科学・教授)
渡辺   亨(浜松オンコロジーセンター・センター長)
戸井 雅和(京都大学医学研究科外科学講座乳腺外科学・教授)
検討委員会
委員長:
津田   均(防衛医科大学校病態病理学講座・教授)
秋山   太(がん研究会がん研究所病理部・臨床病理担当部長)
黒住 昌史(埼玉県立がんセンター病理診断科・科長兼部長)
増田 しのぶ(日本大学医学部病態病理学系腫瘍病理学分野・教授)
(50音順)

(*2) ASCO/CAP HER2ガイドライン
Wolff AC, et al.: J Clin Oncol 31(31)2013, 3997-4013