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森 亘先生の御逝去を悼む

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日本病理学会名誉会員、東京大学名誉教授 森 亘先生は平成24年4月1日、肺炎のため逝去されました。享年86歳でいらっしゃいました。

先生は大正15年1月10日に東京市小石川区にお生まれになり、昭和26年3月に東京大学医学部を卒業され、1年間の実地修練の後、昭和27年に東京大学医学部沖中内科に研究生として在室されてから、東京大学医学部病理学教室で吉田富三教授、三宅 仁教授の下で研鑽されました。

昭和30年には病理学教室の助手となられ、昭和31年から3年間、米国エール大学皮膚科学教室 Lerner教授の下に留学され、メラトニンの発見に貢献されました。昭和35年から昭和43年まで東京医科歯科大学病理学教室助教授をお勤めになり、この間、英国ケンブリッジ大学病理学教室 Coombs教授の下で研鑽をつまれました。 昭和43年から東京医科歯科大学病理学教室教授、そして昭和48年から昭和60年まで東京大学医学部病理学教室教授を歴任され教育、研究、病理診断に尽力されました。この間、昭和56年から58年にかけて医学部長をお務めになり、更に昭和60年から平成元年まで東京大学総長として大学の管理・運営にご尽力なさいました。

先生のご専門は肝硬変、肝細胞癌、劇症肝炎を中心とした肝疾患の病理学、メラトニン発見への貢献とその生理的意義に関するお仕事、胎盤由来のフェリチンと悪性腫瘍との関係などで、昭和56年の第70回日本病理学会総会では「劇症肝疾患」と題する宿題報告をご担当になり、臓器シュワルツマン反応の概念を提唱されました。昭和58年から平成元年まで総務幹事として日本病理学会代表の職責を果たされ、昭和60年には第74回日本病理学会総会の会長をお務めになりました。更には平成5年からは日本医学会会長として我が国の医学の発展に貢献されました。

森先生は科学技術会議議員、医道審議会会長、日本学士院会員なども歴任され、我が国の科学技術・医学の発展にご尽力になりました。

この様な我が国の学術文化へのご貢献により森先生は、平成13年に勲一等瑞宝章、平成15年には文化勲章を受章されました。

先生の明るく爽やかなお人柄は私ども後輩にとって大きな魅力であり、心の支えとなっておりました。平成23年4月の第100回日本病理学会総会に森先生は病の腰痛を押して出席され、100周年記念事業実行委員会委員長として開会の辞を述べられ、その職責を果たされたましたことは、私どもの脳裏に強く焼き付いております。

ここに森 亘先生のご逝去を悼み、生前のご指導に感謝の思いを捧げ、ご冥福をお祈り申し上げます。

平成24年5月
東京大学、人体病理学・病理診断学教室
町並陸生、深山正久