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医療訴訟鑑定人候補者推薦について

平成15年7月17日

                           常任理事会


  本年4月、最高裁判所事務総局から、「現在進行している一件の医療訴訟のために病理医の鑑定人を学会として推薦して欲しい」という 依頼がありました。常任理事会は、担当係官に来ていただいて説明を受けるなど2ヶ月余にわったって本件を審議してきた結果、このたび、「社会への使命を果 たすという観点から、日本病理学会は本件に前向きに対応する」という方針をとることにし、1名の鑑定人候補を推薦いたしました。以下に、この間の経過と主 要な論点をご報告いたします。本件について疑問やご意見がありましたら、理事長、広報委員長もしくは事務局までおとどけください。


"医療訴訟鑑定人候補者推薦について・・・・経過と主要な論点"  


1. 平成14年秋
最高裁民事局より、医療訴訟について鑑定手続きを改正しつつあるのでご理解いただきたいという趣旨の手紙と、それを解説したパンフレット「これからの医療訴訟」を受け取る。具体的要請はなく、ご理解いただきたいという趣旨の内容であった。
2. 平成15年4月
最高裁判所医事関係訴訟委員会(委員長森亘先生)より、鑑定人候補者推薦依頼書と、森委員長からの手紙を受け取る。手紙は、従来の鑑定手続きに(1)鑑定 人の時間的・精神的負担が大きい、(2)鑑定人に対して裁判所側や弁護士側から不適切な対応があったことなど、問題があったので、その改善にむけた取り組 み、努力をおこなっているのでご理解いただきたいという趣旨の報告と、それを踏まえて病理学会として鑑定人候補者を選んでいただきたいという依頼であっ た。
3. 平成15年5月
病理学会常任理事会にてこの申し出を審議。数点の問題点(内容は以下)が指摘され、それらがクリアされたら、前向きに対応してゆくべきであるという点で合意。
4. 同5月22日
病理学会から民事局への書簡「医事訴訟鑑定人依頼についての伺い」発送。主に以下の4点について問い合わせた。
(1) 鑑定という行為が鑑定人にとって誇りと思える環境づくり、正の履歴になるような方策がどうとられているか?謝意の表現、勤務先への配慮などについて(2) グループ鑑定はありうるか?(3)候補者は全国的基盤から選ぶということでよいか?(4)鑑定人に対する報酬の算定基準。
5. 同6月13日
最高裁総務局民事局係官との会合:記録は以下資料にあり。
6. 同7月8日 常任理事会。上記会合の報告を受け、審議。学会としての基本的問題に対して対応がなされているとの判断で一致し、結論として本件に前向きに対応してゆくことを申し合わせた。鑑定人候補者一名を推薦した。

 資料 最高裁判所事務総局民事局係官との会合・記録




最高裁判所事務総局民事局係官との会合・記録   


日時 : 2003年6月13日午前10時~11時
: 日本病理学会事務所
出席者
最高裁側- 舘内比左志(民事局第2課長)
山沖博史(民事局第2課民事訴訟係長)
学会側- 森理事長、坂本常任理事、事務局・大薗
          
1. 最高裁側よりの医療訴訟の現状の説明
資料:
「これからの医療訴訟」-14年6月民事局作成のパンフレット
  民事訴訟法改正後における鑑定手続のイメージ
                      -民事局作成のフローチャート
鑑定手続、手順の改正に着手し続行中。
鑑定人選定に"学会"の協力を得たい。
これらによって医療訴訟の円滑な運用、適切な解決をめざす。


2.

学会より提出した"医療訴訟鑑定人依頼についての伺い"
                 (平成15年5月21日付)に沿った質疑応答

依頼状の送付- 勤務先へも送付可能。法律上は出廷「命令」書となる。本来の業務に支障のない範囲での活動。判決については後日、鑑定人に通知、アンケートも行う。
謝金  - 鑑定依頼した側からの支払い。鑑定の難易度・要する時間などが費用算出の際に考慮されるが、定額制ではない。国庫からの支出はない。協力者には支払われない。立証のための実験などには別途費用請求できる。
鑑定について- 個人の立場で行う。守秘義務をまもれば、複数の意見を聞いて鑑定しても良い。鑑定人のほかに意見人をおくこともできる。
鑑定人の選定- 学会による候補者推薦。地縁、人脈は避けた方が無難。鑑定人以外は匿名。

(文責:坂本)