このページでは、Javascriptを使用しています
  • 日本病理学会について
  • 市民の皆さまへ
  • 専門医
  • 病理医への扉
  • 刊行物

HOME > 新着情報 > 診療標榜科名「病理診断科」の実現を受けて(一般の皆様へ)


診療標榜科名「病理診断科」の実現を受けて(一般の皆様へ)

日本病理学会理事長 長村義之
診療標榜科「病理診断科」について

平成20年4月1日より「医療法施行令の一部を改正する政令」および厚生労働省令により、"病理診断科"が医業に関して広告できる診療科名(診療標榜科 名)となりました。日本病理学会では病理診断とは何か、病理医は何をしているのか、そして医療を受ける患者さんに今回の決定はどういう意味を持つのか等 を、国民の皆様に段階的に広報してまいりました。ここに、病理学会理事長として改めてこれらの点を整理し、ご説明したいと思います。

今回、この法律が制定されたことにより、医療環境にどのような変化がもたらされ、国民の皆様はどのようなサービスを受けられるようになるでしょうか。
まず、医療機関である病院において院外に病理診断科が他の診療科名と共に広告され、院内にも"病理診断科"が掲げられることになります。このことにより患者さんは、どの病院が病理専門医を擁して病理診断をしている診療精度の高い病院であるかを知ることが容易になります。
また、院内での病理診断科も表示されるところから、患者さんが直接病理医からの説明を希望されることが想定されます。現在でも既に「病理外来」を開設して 患者さんに説明をされている施設もございます。そのような施設では、主治医と充分に連絡を取り合った病理医から自分の病気の診断や術後の結果に関して、直 接、診断の内容(ファーストオピニオン)を聞くことが可能になります。現在は限られた施設で施行されているのみですが、病理医数が潤沢になり、我々の環境 が整えば、是非多くの施設で患者さんと接点が持てるようにして行きたいと思います。当面は、医療機関ごとに各々に適した形で患者さんのニーズに対応して行 くことになると思います。まず、主治医の先生とご相談ください。
さらに、今回病理診断科が標榜されたことにより、患者さんは、別の病院で受けた検査によるスライドなどを持参してセカンドオピニオンを求めて病理診断科を 受診することも可能になります。このような場合には、セカンドオピニオンの意味付けを患者さんにご理解をいただいた上で、ファーストオピニオンとセカンド オピニオンの間で混乱が生じないよう精度管理、病理医間のコンサルテーションの充実など病理学会として努めたいと考えています。
最後に、患者さんが病院から受け取る領収書には"病理診断"の項目が新設され、そこに受診に応じた点数が書かれることになります。患者さんは病理科受診に 対しての医療費を負担するわけですから、われわれ病理医は今まで以上に病理診断の社会的責任を感じております。病理学会としてもこれを機に病理医の診断の 精度管理およびコンサルテーションの整備に尚一層の力を入れていく所存であり、すでに様々な対策を進めています。

私共病理医は、これまでもチーム医療の一員として、病理診断やカンファランスを通して患者さんがより良い適切な医療を受けられるように努力してまいりまし た。今後は「見えない病理医」から、病理診断科を通じて患者さんとより積極的なかかわりを持つ「見える病理医」へと変わっていくことになりますが、チーム 医療における立場は決して変わることはなく、より正確でかつ的確な病理診断を通じて医療のために尽力していくことをお誓いします。今後とも病理学会の活動 にご支援いただけますよう何卒宜しくお願い申し上げます。