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第2回病理検査技師との関係に関する小委員会議事録

平成17年2月11日(金)13:00-15:40 於;東京都江戸川区船堀 コラボ産学官プラザ in Tokyo 6階大会議室

参加者:中島孝(委員長),坂本穆彦,水口國雄,小野謙三,太田浩良,梅宮敏文,佐藤雄一,徳永英博,村田哲也

欠席者;横井豊治

配布資料(1)前回会議議事録案(病理検査技師との関係に関する小委員会議事録案)A4サイズ3枚,(2)アンケート集計結果(小野)B4サイズ3枚+A4サイズ1枚

議事
1. 会議に先立ち,中島委員長による挨拶があった。本小委員会は「まず病理検査士(以下PA)ありき」ではなく,「PAの可能性に関して意見を積み重ねていく場」であることの説明が改めて行われた。

2. 前回の議事録について:出席全委員によって承認された。

3. 米国におけるPA制度視察について:中島委員長より本年3月中旬から下旬にかけて,病理学会海外派遣の一環として中島委員長と佐藤委員が米国に視察に行くことの説明があった。視察先は事前に申し込んだ中から反応のあった2施設で,一つはUniversity of Maryland School of Medicineで,Raymond T Jones, PhD, Professor of Pathology and Oncology, Director Pathologists' Assistant programが,もう一つはシカゴにあるRosalind Franklin University of Medicine and Scienceで,John E Vitale, MHS, Acting Chair, Pathologists' Assistant, Department of College of Health Professionsが対応して頂く予定である。

4. 小野委員のアンケート結果についての検討:小野委員より,前回(89名)より多少数の増えた(92名)アンケート解析結果の報告があった。特に,PAの業務範囲設定との関連で,今回のアンケートでは標本観察は反対意見が強く,臓器切り出しにも抵抗が強いことが示された。

5. 今後の委員会の進め方について:特に,PA制度を病理学会が行う場合,病理検査における医行為との整合性,さらに臨床検査医学同学院の臨床病理技術者(1・2級)との関係について討論がなされた。

* 病理検査における医行為について:
・ まず,医行為の定義がしっかりなされていないと,PAの話は進まない(坂本,小野)
・ アンケート結果では,組織の観察だけではなく,臓器切り出しや電子顕微鏡観察も医行為と考えている病理医が多い(小野)

わが国の現状で,病理医不在施設や中小検査センターなどでは手術材料のかなりの部分が病理医以外の人によって切り出しが行われている。この領域の精度管理ならびに医療レベルをあげるという視点から,切り出しを行っている臨床検査技師にPAの資格を取って頂くようにすることはできないか(村田)。しかしながらこの考えは,病理医による切り出し不要など,病理医の将来の職場減少にも繋がるので賛同できない。病理医にとってのメリット、デメリットをよく検討すべきである。(小野)

・ 剖検は死体解剖保存法などの制約があるため,PAによる剖検執刀は法律上不可能(坂本,村田,中島)
・ 免疫染色結果の判定や,特殊染色における菌体確認(ピロリ菌や結核菌など)は,昭和63年の厚生省(当時)の解釈でも医行為には入らないのでは(坂本,村田)
・ 遠隔病理診断に関しては,実際の作動例が少ないため,今後の検討課題とする(村田,中島)
・ いずれにせよ,「病理医(病理専門医)の指導の下」という縛りを作り,病理検査に関する最終責任は病理医にあると決めない限り,PA制度は成り立たない(全員)

* 臨床検査医学同学院の臨床病理技術者(1・2級)との関係について:
・ 臨床検査技師の業務拡大なしでPA制度を考えると,臨床検査医学同学院の臨床病理技術者資格試験と多くの部分が重なる。同学院との差異化を図るためには,PAの業務範囲の設定が必要(坂本,水口)
・ 現在でも臨床検査医学同学院の臨床病理技術者受験者は多く,関東の試験場だけで毎年100から120名の病理での受験者がいる(佐藤)
・ 医療現場では,同学院から認定されるより,病理学会から認定される方が院長などの管理者に与えるインパクトが大きいのでは(佐藤,村田)
・ 臨床検査技師との病理医がお互いにレベルアップするためにPAを認定するのも病理学会の任務では(中島,坂本)

* 今後の進め方について:
・ 本小委員会は本年度末までの時限委員会であるが,理事会への報告後,次年度にも継続する必要がある(坂本, 中島)
・ 来年は,支部単位で交見会などを利用した公聴会活動を中心としてみてはどうか(坂本)
・ 項目を絞ったアンケートも支部単位で行ってはどうか(小野)

* その他:
・ 日本解剖学会では学術総会の前日に臨床検査技師主体の技術講習会を開催している。講習会参加者は総会の参加料も安くなり,臨床検査技師も学会に参加しやすくなっている。このような仕組みを病理学会でもできないか(佐藤,小野)
・ 最近の4年生大学卒,さらに修士課程を修了した臨床検査技師からは病理は不人気となっている。病理に若い臨床検査技師を集めるためにも,何らかのチャームポイントが必要(佐藤)
・ PAに関するモデル施設を作って,試行する方法もある(中島)。しかしながら,この方法では「まずPA導入ありき」との誤解を与える可能性もあるので注意が必要(坂本)

6. 第3回小委員会について:次回は平成17年4月に横浜で開催される日本病理学会総会会期中に,学会場内で委員会を開催する予定である。

(文責:村田,中島)