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日本病理学会認定病院の新規認定および更新条件に関する提案 |
医療業務委員会精度管理小委員会では,病理診断業務の向上を目的に各施設での精度管理体制の導入,さらなる充実を働き掛けるべく検討,活動 を行なっています。診断業務に携わる全施設で適切な精度管理が行なわれるべきでありますが,過日行ないましたアンケート調査ではその重要性の認識はあるも のの,ほとんどの施設で十分なレベルでの精度管理は行われていませんでした。そこで,当小委員会では,外部精度管理の一つとして認定病院の新規認定および 更新条件に,精度管理の実施を盛り込む必要があると考え,下記のような提案をさせていただきたいと思います。本内容に関しまして会員の先生方でご意見、ご 質問がありましたら病理学会事務局(jsp@ma.kcom.ne.jp)までご一報いただければ幸いです。
日本病理学会医療業務委員会 委員長 黒田 誠
日本病理学会医療業務委員会精度管理小委員会 委員長 廣川 満良
記
日本病理学会が認定する病院では、外科病理診断、細胞診断、および剖検が適切な精度管理体制のもとで行われているべきであり、そのような施設
のみを認定病院として認める方向に進むべきと思います。本来は学会の専門委員もしくは委託された団体を派遣し、審査する方法がとられるべきでありますが、
費用や人的な問題があり、現体制での実施は困難だと思われます。実際に可能な手段としましては、日本病理学会認定病院および大学病院の新規認定および更新
時の条件の中に,精度管理を行っている旨を入れ込むことだと思います。具体的には、認定病院の申請時・更新時に下記の精度管理項目の書類を提出していただ
きます。この際、患者の個人情報の保護に十分な注意が必要です。各記録簿の形式は自由ですが、別紙に見本を掲載したので参考にしてください。最終的にはす
べての内容を行うべきですが、段階的な過程を踏む必要があります。つまり、1)3年あるいは5年後から実施する、2)下記の項目の内容を行っていれば認定
病院として認める、等の条件付きでスタートして、後にその条件内容を再検討することが望ましいと考えます。
精度管理項目の内容
1.事務作業・標本作製業務
1)検体受付,標本作製,報告書作成:特に患者・標本番号の取り違えの防止
2)染色液,試薬,排液,機具,ブロックなどの管理
3)作製標本の品質管理
2.病理診断の精度管理
1)生検診断/摘出標本の突き合わせ
2)術中迅速診断/最終診断の突き合わせ
3)細胞診/組織診の突き合わせ
4)二次スクリーニング(ダブルチェック)
5)外部コンサルテーション
・精度管理項目の「1.事務作業・標本作製業務」に関しては,実際に日常業務として施行されていることが大前提で,現時点では記録として提出する必要はないものとする.
・精度管理項目の「2.病理診断の精度管理」に関しては,5項目のうち少なくとも3項目を実施していることを大前提とし,現時点では記録として提出する必要はないものとする.
・提出すべき書類は,1)年2回(1回につき迅速診断2例を含む20症例)の病理報告書の再審査記録(表1),2)病理組織診断・迅速診断・細胞診・剖検の統計(表2),の2点とする.
参考例 PDFファイル
表1 病理報告書の再審査記録
表2 病理組織診断・迅速診断・細胞診・剖検の統計