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病理診断体制専門委員会報告

平成19年2月15日
病理診断体制専門委員会

 医療業務委員会の下に昨年度より組織された病理診断体制運営委員会では、病理診断を実施している施設の法的規定に関する問題を中心に論議を重ねてきました。


まず、標榜科問題に関する歴史的な経緯を明らかにし、その中の問題点の整理を行いました。その上で、社会情勢の推移について分析を加え、一般市民に 最も益するような病理業務の広告方法について検討を重ねてきました。標榜科の問題について病理学会の一般会員に内容を充分にご理解いただき、また会員から ご意見を戴くために第95回総会の中でワークショップを開催いたしました。各演者のご発表内容は、病理学会ホームページの会員向けのページに掲載しております。同ページにある用語集と合わせてご覧頂くことで、歴史的経緯や標榜科に向けての問題点がご理解戴けるかと存じます。


 病理診断施設の存在を患者(一般市民)に広告することは、医療の情報公開という点から見て非常に重要です。それは患者が病院を選ぶための情報を提 供するという点だけでなく、病院機能評価でも明らかなように、病理医の存在が病院の医療の質を向上させることにも繋がっているからでもあります。また、現 在の病理専門医数の不足は深刻ですが、病理診断業務が社会的に認知されることで、病理志望者の増加も期待されます。「病理」の名前が表に出ることで、病理 診断医の責任も明確となりますが、それだけ「やりがいのある仕事」であることが理解されるでしょう。一方、日本の病理診断の60%以上が衛生検査所を通し て行われている現状を鑑みると、「臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律」ではなく「医師法」の下で、病理診断を行う施設という表示で開業ができるよ うな方法を早急に検討しなければなりません。このような視点から、病理学会では厚生労働省への働きかけ、日本医師会との会談を続けてきました。


現在、病理を広告するための選択枝として(1) 通常の診療科としての「標榜」(ただし医師免許を持つ者は誰でも標榜が可能となる。審査委員会開催は未定。)(2) 特殊診療科(厚生労働大臣の認可)としての標榜(現在は麻酔科のみ。病理学会は平成9年に要望書を提出しているが、実現は困難が予想される。)(3) 診療科名ではなく、病院の機能表示として「病理診断部」の標榜(情報公開の立場で審議会が開催されれば、強く要望していくことが可能)の3つが考えられま す。今後委員会では(1) 、(2) についての検討を続けるのは勿論、実現の可能性が高い(3) について積極的な運動を続ける予定です。


患者に必要な情報については、規制が緩和される方向で進んでいます。一般社会の方々から、病理診断施設に関する表示を求める声が挙がることが、問題 の解決にも繋がります。現在、病理診断部門の存在を院内に表示することに関して規制はなく、また病院のホームページなどで病理診断部門に関して広告するこ とも許されています。会員の皆様には、そのような広告方法を通じて一般市民に病理診断部の存在をアピールし、社会的認知を高め、病理診断に関する理解者を 増やして頂くことも重要と考えております。ご理解とご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。