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新型コロナウイルス感染等、病理検体取扱いについて

術中迅速病理標本作製・病理診断および病理組織未固定検体、細胞診検体の取り扱いについて―新型コロナウイルス関連―

令和2年4月27日
一般社団法人日本病理学会
理事長 北川昌伸
医療業務委員長 佐々木毅

術中迅速病理組織標本作製時の検体処理・病理診断および病理組織未固定標本、細胞診検体等の取り扱い及び感染予防策に関しては、これまでも各医療機関等の病理部門におかれましても様々な工夫をされていることと存じますが、日本病理学会としての見解を下記にまとめますので、病理部門あるいは医療機関全体等で共有、ご参考にしていただきますよう周知の程、何卒よろしくお願いいたします。

1.新型コロナウイルスに感染していないことがPCR検査等で確認された患者の未固定検体に関して
これまでと同様の感染対策を行って、検体処理等を行うこと。

2.COVID-19患者およびPCR検査未実施患者(全患者対象)の未固定検体に関して
検体を扱う場合は、個人防護服(キャップを含む)を身につけ、マスクはN95マスクまたはPAPR(Powered Air Purifying Respirators)マスクを着用のこと。なお、N95マスクに関しては、厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策推進本部より発出された事務連絡に従って、再利用することも可能である。事務連絡には、滅菌器活用等による再利用に努めること(ただし、3回の再利用でN95マスクの換気能が低下するため、再利用は2 回までとすること、必要な場合は有効期限に関わらず利用すること、N95マスクには名前を記載し、交換は1 日1 回とすること、KN95 マスクなどの医療用マスクもN95 マスクに相当するものとして取り扱い活用するよう努めること、目に見えて汚れた場合や損傷した場合は廃棄すること、等の記述がある)。
各種マスクを滅菌せずにビニール袋等に入れて保管の際には、ビニール袋に「外面」「口側面」などの記載を施し、外面と口側面がコンタミネーションしないように工夫を施すことも推奨される。
気管支肺胞洗浄液、気管支ブラシ、喀痰、胸水、超音波気管支鏡下針生検、肺のコア生検の捺印細胞診標本といったすべての呼吸器検体は、すべてハイリスク検体であることから、取扱いには特に細心の注意を払うこと。
結膜からの感染防止のため、フェイスシールド付マスクあるいはゴーグルを着用することが望ましい。
検体の処理はBiological Safety Cabinet (BSC) Class IIで行うことが望ましい。
ROSE(Rapid On-Site Evaluation)などの場合も、個人防護服やマスク着用が必須である。この場合の個人防護服やN95マスクは新品、あるいは滅菌後のものを使用することが推奨される(医療者が身に着けた個人防護服やマスクから患者に感染するリスクがある)。
ROSEの際、立ち会う人員は最小限とすること。なおエアロゾール感染の危険性が伴うことから、当面行わないことも推奨される。

以上、文献等からは上記の取り扱いになりますが、医療資源が枯渇しつつある現状を鑑みて、各施設で可能な限りの対応をお願いいたします。
通常の感染対策よりも厳重な感染対策が必要となるため、不急の病理検査症例についてはできる限り検査を回避し、必要不可欠の場合に限り行うなどスケジュール調整等をし、後日、個人防護服など感染対策が可能になった段階で行うことも推奨されます。
「パンデミック発生状況下における病理検体(組織・細胞)の取り扱い:CAPの指針(日本語訳)」を日本病理学会 元理事長 長村義之先生よりご提供いただきました。こちらをご参照ください。

ご質問、ご意見等は「日本病理学会事務局(jsp-admin@umin.ac.jp)」まで、メールにてお願いいたします。大変に恐縮ですが、現在、日本病理学会事務局は政府および東京都の方針に従い、原則テレワークとさせていただいております。電話での対応はお受けいたしかねますので、ご了解の程お願いいたします。