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病理専門医研修カリキュラム細目(案)

日本病理学会では、平成16年6月に、2年間の臨床研修修了後の病理専門医研修カリキュラムを提示いたしました。今回、このカリキュラムに基づき、 各行動目標をどのように履修していくかという細目案を作成いたしました。病理専門医となるための研修期間は最短で4年間と決まりましたが、日本病理学会と してその4年間の研修期間に習得すべき各項目について、Basic、Advance-1、Advance-2、またはSkill Level I~IIIとして段階的な目標設定をしております。これは各研修施設での実情に合わせたカリキュラムを立案する上で、参考にして頂くためのものです。

ご意見やご質問は、8月末日までに病理学会事務局(jsp-admin@umin.ac.jp)宛お寄せください。

病理専門医研修カリキュラム細目(案)

一般目標:病理専門医として適切な医療に貢献するために、診断病理学に必要な知識、技能、態度を身につける。

行動目標

I. 必要な知識

1) 病理業務に関わる知識
1. 病理業務に関連する法および制度を説明できる。
Basic
(1) 医事法制および死体解剖保存法の概要について説明できる。
(2) 病理解剖許諾に関する法的事項、法医学的な検索を必要とする病理解剖の分類について説明できる。
(3) 病理解剖承諾書の必要項目を列記できる。
(4) 医療の中で果たす病理業務の役割を説明できる。
a.病理解剖の役割と適応について説明できる。
b.病理組織診断、細胞診断の役割と適応、限界について説明できる。
c.病理専門医制度の基本を述べ、その責任と社会的役割を説明できる。
Advance-1
(1) 医療関連死の定義およびその取り扱いの基本について説明できる。
(2) 医療関連死の疑いのある症例を判別し、適切に対処できる。
(3) 病理検体(臓器・組織・細胞)取り扱いに関わる法的事項、倫理的事項を説明できる。
Advance-2
(1) 医療過誤訴訟に関する法的知識と、被告側の立場あるいはコンサルタントとしての病理医の役割を説明できる。
(2) 病理認定施設の条件と役割について説明できる。
(3) 医療経済の知識を有しており、病理診断学上の費用対効果の評価に関する原則を説明できる。
(4) 病院全体の管理・運営および医療監査の中で果たす病理部門の役割について説明できる。
(5) 病理部門の経営、収入、人事管理についての基本事項を説明できる。

2. 病理業務に関するリスクマネージメント(医療廃棄物処理を含む)を説明できる。
Basic
(1) リスクマネージメントの基本について述べることができる。
(2) 医療法上の責任が関わる場合のリスクマネージメントの考え方を説明できる。
(3) 病理検査室でのインシデント・アクシデント報告の方法について説明できる。
(4) 病理診断検体の、依頼伝票・検体の確認を適切に実行できる。
Advance-1
(1) 病理業務に関連して発生する医療廃棄物の処理方法について説明できる。
Advance-2
(1) 検体取り違え、検体紛失、針刺し事故などのアクシデント発生時の対応法について説明し、事象が生じた時は適切に対処できる。
(2) 病理診断関係の保険に関して述べることができる。

3. 病理業務の資料を管理し、保存できる。
Basic
(1) 病理組織標本および報告資料の保管についての基本事項を述べることができる。
(2) ローカル・コンピュータ・ネットワークの利用方法を説明できる。
(3) 症例の既往病理診断について検索し、病理診断に対して適切に利用する方法について述べることができる。
Advance-1
(1) 外科病理の全ての標本に適切なコード(国際疾病分類など)を付けて管理する方法を述べることができる。
Advance-2
(1) 病理業務の資料の管理・保存状況について、査察が必要な項目や留意点を述べることができる。
(2) 日本病理剖検輯報について理解し、適切な登録方法について説明できる。

4. 病理業務で得られた人体材料を研究に用いる際の手続きを説明できる。
Basic
(1) 患者プライバシーの保護についての基本を説明できる。
(2) 病理業務で得られた人体材料を教育・研究に用いる場合の注意事項を述べることができる。
Advance-1
(1) 病理業務で得られた人体材料をその症例の診断以外の目的(教育、研究、精度管理など)で用いる際に必要な手続きについて説明し、実行できる。
Advance-2
(1) 病理検体の目的外使用についての判断基準を理解し、倫理委員会での審査の必要性について説明できる。
(2) 病理解剖の承諾書、外科病理検体を教育・研究に使用することに関する患者・家族の同意書に盛り込まれるべき項目について述べることができる。
(3) ヒト組織バンクに関する適切な取り扱いを説明できる。

2)病理診断に必要な知識
1. 基本的な病理組織標本の作製過程を説明できる。
Basic
(1) パラフィン包埋標本の作製過程(固定、切り出し、包埋、染色)を説明できる。
(2) 迅速診断標本の作成過程を説明できる。
Advance-1
(1) 良い組織標本を得るための要因と、標本が不適切となる理由について挙げることができる。
Advance-2
(1) 病理診断に不適切な標本ができた場合、その原因を推定できる。(注:標本作製実習はII-6で行う)

2. 免疫組織化学(免疫)染色を含む特殊染色の原理を説明し、結果を評価できる。
Basic
(1) 病理診断で一般的に用いられる特殊染色について、目的別に列挙できる。
(2) 免疫組織化学の基本原理を説明できる。
Advance-1
(1) 特殊染色(免疫組織化学を含む)のための適切な固定方法について述べることができる。
(2) 病理診断における一般的な特殊染色の必要性を判断し、適切に選択できる。
(3) 一般的な特殊染色標本について、結果を評価できる。
(4) 代表的な酵素組織化学の病理診断への応用について説明できる。
(5) 免疫組織化学の陰性・陽性を判定できる。
(6) 各種腫瘍性疾患の鑑別診断や予後判定に必要な免疫組織化学の抗体を、適切に選択できる。
Advance-2
(1) 特殊染色に関する不良標本を識別し、不良となった原因について推定できる。
(2) 代表的な酵素組織化学の染色結果を判読できる。
(3) 神経病理・筋病理分野での特殊染色(筋病理の酵素組織化学を含む)を理解し、その結果について評価できる。
(4) 免疫組織化学の結果に影響するartifactについて説明できる。
(5) 免疫組織化学における抗原賦活化法について述べることができる。
(6) 蛍光抗体法、フローサイトメトリーのための適切な組織や液状検体を集め、保存できる。
(注:標本作成実習はII-6で行う)

3. 電子顕微鏡(電顕)標本の作製過程を説明し、結果を評価できる。
Basic
(1) 細胞の基本構造に関する知識を有し、超微形態を説明できる。
(2) 電顕標本提出の手順を述べることができる。
(3) 電顕試料の採取と取り扱いについて説明できる。
Advance-1
(1) 一般的に電顕が必要もしくは有用な代表的疾患の電顕所見について説明できる。
(2) 電顕用標本を適切に採取し、固定できる。
(3) 電顕標本の作成過程について説明できる。
(4) 電顕の操作方法の基本について述べることができる。
Advance-2
(1) 病理診断に有用な超微形態所見を評価できる
(2) 電顕による検索が必要な症例の場合、臨床医に助言を行い、適切な標本の提出を求めることができる。
(3) 電顕標本の作成、電顕操作、基本的な電顕診断ができる。(適宜)

4. 分子病理学的検索の原理を説明し、結果を評価できる。
Basic
(1) 疾患の診断に関連する分子病理学について基礎的原理を説明できる。
Advance-1
(1) Southern blotting、PCR、RT-PCR、FISH、karyotyping、fluorescence in situ hyblidizationの基本的手法について説明できる。
(2) 臨床診断に用いられる分子病理学的検査の方法、適応、範囲について説明できる。
(3) 頻度の高い遺伝性疾患の診断における分子病理学検査の役割を説明できる。
(4) 腫瘍性疾患、特に血液リンパ系疾患での診断における分子病理学的検査の役割を説明できる。
(5) 感染症診断における分子病理学的検査の役割を説明できる。
(6) 分子病理学的検査の報告を解釈できる。
Advance-2
(1) 臨床医に分子病理学的検査を適切に利用するように助言できる。
(2) 分子病理学に関する新しい検査方法を評価するための文献を検索できる。
(3) Southern blotting、PCR、RT-PCR、FISH、karyotyping、fluorescence in situ hyblidizationを実施できる。(適宜)

5. 病理診断に必要な臨床的事項を的確に判断し、病理診断との関連性を説明できる。
Basic
(1) 患者の病歴から、病理診断に必要な適切な情報を得ることができる。
Advance-1
(1) 臨床医に対して、病理診断に必要かつ十分な病歴を求めることができる。
(2) 病理標本作製に至急を要するものと要さないものの一般的状況について判断できる。
Advance-2
(1) 臨床的事項と病理診断との関連性を臨床医または患者に説明できる。

6. 病理診断に対してコンサルテーションの必要性を判断できる。
Basic
(1) 病理診断におけるコンサルテーションの意義について説明できる。
Advance-1
(1) 病理学会のコンサルテーション・システムの手続き、手順と、必要な標本やブロックの準備について説明できる。
(2) 院内コンサルテーションが実施できる。(適宜)
(3) 指導医の指導下に、院外コンサルテーションを実施できる。
Advance-2
(1) 病理診断(病理解剖・外科病理・細胞診)についてコンサルテーションの必要性を判断し、自ら実施できる。
(2) コンサルテーションの結果を臨床医または患者に適切に報告することができる。

II. 必要な技能

1. 病理解剖を執刀できる。
Skill level I
(1) 病理解剖の基本的手技(Rokitansky法:en bloc法、Virchow法)について説明できる。
(2) 病理解剖に必要な設備および器具の特徴と使用法を説明できる。
(3) 基本手技(Rokitansky法、Virchow法)で行われる病理解剖の胸腹部について、解剖介助ができる。
(4) 喉頭蓋と舌の摘出、下肢の血管、骨、関節の検索ができる。
(5) 病理解剖開始にあたり臨床経過をもとに、病理解剖で観察すべき臓器所見、採取すべき病変について述べることができる。
(6) 一般的な疾患について、指導医の指導のもとに、適切な臓器・組織の切り出しおよび保存ができる。
Skill level II
(1) Rokitansky法およびVirchow法による病理解剖が実施できる。
(2) 少なくとも1例の成人例、1例の小児例の病理解剖を(指導者や病理技師の助けをかりて)自ら執刀する。
(3) 脳を傷つけることなく取り出すことができる。
(4) 針による検体採取、関節液の採取、脊髄液の採取を含む、さまざまな病理解剖手技について基本的事項を説明できる。
Skill level III
(1) ルーチンの技法により、単純な症例であれば3時間以内、複雑な症例でも4時間程度で肉眼所見の検索を終えることができる。
(2) 当該症例に最も適切な解剖方法を選択し、指示または実施できる。
(3) 脊髄を傷つけることなく取り出すことができる。
(4) 眼球摘出、内耳や中耳の採取方法について説明できる。
(5) 血液や眼球内液を生化学的検査のために採取すべき状況とその採取方法を説明できる。
(6) 液状検体や組織を薬物検査のために保存すべき状況とその方法を説明できる。
(7) 病理解剖時に検体の特殊な取り扱いを要する検査(培養、捺印、遠沈、塗抹、flow cytometry、結晶成分の検出、電顕、免疫組織化学)について、基本的な検体採取方法および保存方法を説明できる。

2. 臨床事項と考察を含めた病理解剖報告書を作成できる。
Skill level I
(1) 症例の臨床経過を理解し、問題点の抽出・把握ができる。
(2) 執刀医の述べる肉眼所見を理解し、適切に記録することができる。
(3) 一般的な疾患について、肉眼所見を正しく把握し、適切に記載することができる。
(4) 指導医の指導のもと、病理解剖終了後24時間以内に、暫定病理解剖診断(Provisional Anatomical Diagnosis:PAD)を作成できる。
Skill level II
(1) 肉眼所見をもとに、臨床医または遺族に病理解剖結果について適切な説明ができる。
(2) 一般的な疾患について、顕微鏡所見を正しく記載することができる。
(3) 適切な肉眼写真、顕微鏡写真をフィルムもしくはデジタルカメラで撮影することができる。
(4) 一般的(単純)な症例について、臨床病理学的な病態生理の考察を含めた、決められた形式に則った最終病理解剖診断報告書を、解剖終了後3ヶ月以内に作成できる。
Skill level III
(1) 複雑な症例について、肉眼所見、顕微鏡所見を適切に記載し、臨床病理学的考察を加えた最終病理解剖報告書を作成できる。

3. 偏らない臓器・組織から得られた生検、手術材料を的確に診断し、報告書を作成できる。
Skill level I
(1) 各臓器の「癌取り扱い規約」の概要を述べることができる。
(2) 外科病理診断報告書に含まれるべき基本項目について述べることができる。(患者氏名、病院名、受付検体個数、提出年月日、必要な臨床情報、肉眼所見、顕微鏡所見、最終病理診断など)
(3) 外科病理診断結果が患者の治療方針決定や予後判定、治療効果判定に果たす役割について説明できる。
(4) 悪性腫瘍の一般的なstaging, gradingについて説明できる。
Skill level II
(1) 外科病理検体の肉眼所見、顕微鏡所見を正しく記載できる。
(2) 適切な肉眼写真、顕微鏡写真をフィルムもしくはデジタルカメラで撮影することができる。
(3) 特殊な取り扱いを要する検査(培養、電顕、遺伝子検索など)について説明し、そのための適切な処置を実施できる。
(4) 病理診断のための特殊染色、免疫組織化学、分子病理学、電顕などの応用技術の必要性を判断し、必要があれば実施して、結果を解釈することができる。
(5) 一般的な外科病理検体に対して、適切な病理診断報告書を作成できる。
(6) 一般的な外科病理検体の病理診断について、鑑別診断、治療効果判定、予後判定を含めた説明ができる。
(7) 一般的な外科病理検体の病理診断について、必要に応じて再切り出しを指示または実施することができる。
(注:ここで言う「一般的な外科病理検体」とは、当該病理研修医が研修する施設で一般的に多く扱われている分野の検体を指す。)
Skill level III
(1) 複雑な症例の外科病理診断について、Skill level IIで挙げた一般的な外科病理検体に準じて診断・報告ができる。
(2) 稀少例や特殊例に関して適切な文献検索を行い、最新の知見に基づいた診断ができる。
(3) 特殊領域(神経病理、筋病理など)の疾患に関する診断ができる。
(注:ここで言う「特殊領域」とは、当該病理研修医が研修する施設での検体数が少ないもの、あるいは取り扱う臨床科がないものを含み、必要に応じて他の研修施設での実地あるいは見学、講習会での診断知識の履修なども考慮する。)
(4) 他の初期研修医や病理医が扱った検体を含めて、一般的および複雑な症例の病理組織学的報告について、必要に応じた診断書の形式統一、鑑別診断の追加、特染や他の諸検査追加などにより、修正や追加報告を加えることができる。

4. 細胞診材料を診断し、報告書を作成できる。
Skill level I
(1) 各臓器の一般的な細胞診検体に関して、代表的細胞採取方法、標本作製方法とそれに要する時間を知り、細胞診検査で得ることのできる情報について述べることができる。
(2) 細胞診依頼伝票に含まれるべき内容、検体受付時の確認事項について説明できる。
(3) 一般的な細胞診検体に見られる正常、反応、炎症、異型性、腫瘍の細胞形態に関して説明できる。
(4) 細胞診検体のスクリーニングの方法について説明できる。
Skill level II
(1) 諸臓器の各種検体(婦人科、喀痰、気管支洗浄、擦過、体腔液、尿、穿刺吸引)を適切に処理できる。
(2) 塗抹、捺印、圧座、セルブロック作製を適切に選択し実施できる。
(3) 湿潤固定、乾燥固定の手技、意義、対象となる染色法を理解し、適切に選択して実施できる。(染色はパパニコロー染色およびギムザ染色について自ら行う。)
(4) 細胞診検体のスクリーニング(異型細胞の識別)ができる。
(5) 細胞診検体の適正、不適正を判定し、不適正な理由を述べることができる。
(6) 細胞診検体に含まれる病原体の識別ができる。
(7) 研修施設で一般的に行われている細胞診検体(婦人科、喀痰、気管支洗浄、擦過、尿、穿刺吸引)の典型例について、悪性度の評価(陰性、疑陽性、陽性の評価)と推定診断が正しくできる。
(8) 放射線、化学療法など、治療による細胞形態の変化を説明し、典型例について正しく判定できる。
(9) 婦人科領域の細胞診に関するBethesda systemについて説明し、これに従った診断ができる。
(10) 婦人科領域のHPV感染検査(プローブ分析)の原理・応用を説明できる。
(11) 婦人科以外の領域の細胞診に関する報告様式を説明し、これに従った報告ができる。
(12) 穿刺吸引細胞診について、施行方法(使用機材や材料、実施技術、実施に際しての患者・家族へのインフォームドコンセントなどに関する知識を含む)、細胞採取と処理について説明できる。
Skill level III
(1) 研修医の所属する研修施設で一般的に行われていない細胞診検体(例えば骨軟部、脳、リンパ節、口腔など)についての、細胞診所見を説明し、代表的疾患について正しい判定および推定診断ができる。
(2) 細胞診検体について画像分析、免疫細胞化学、flow cytometry、細胞遺伝学、電顕、分子病理(FISH法、PCR法)などの必要性を判断して実施し、結果を解釈できる。
(3) 細胞診報告書について、求められる内容に正しく答えているか評価できる。
(4) 細胞検査士と情報交換し、その指導ができる。
(5) 婦人科領域の自動スクリーニングの原理について説明できる。

5. 迅速病理診断において良悪性の判定をし、適切な報告ができる。
Skill level I
(1) 術中迅速組織診断の適応(意義)、手技、問題点、診断の限界について説明できる。
(2) 術中迅速細胞診の適応(意義)、手技、問題点、診断の限界について説明できる。
(3) 術中迅速診断検体の取り扱い方法および取り扱い上の注意点について説明できる。
Skill level II
(1) 術中迅速診断に際して、肉眼所見をもとに適切な切り出し部位を選択できる。
(2) 一般的な疾患について、迅速標本を受理後15分以内に適切な診断を下し、術者に報告できる。
(3) 術中迅速診断に際して、迅速細胞診併用の必要性を適切に判断し、実施できる。
(4) 凍結切片や捺印標本を用い、腫瘍切断端について適切な判定ができる。
(5) 術中迅速診断検体を適切に保存し、必要に応じて電顕や分子病理など応用技術のための処理をし、また永久標本として迅速診断結果の確認を行うことができる。
Skill level III
(1) 術中迅速細胞診標本の作製準備について説明できる。
(2) 術中迅速診断の凍結切片を作製して染色することができる。
(3) 凍結切片の質の良悪を判定して、技師への指導ができる。
(4) 術中迅速診断結果に基づいて、適切な治療法の選択について術者と協議できる。

6. 基本的な病理組織標本の作製(切出しから標本作製まで)を実施できる。
Skill level I
(1) 一般的な外科病理検体についての固定、保存方法とその注意点を説明できる。
(2) 各臓器の腫瘍取り扱い規約に基づく基本的な切り出し方法を説明できる。
(3) 病理解剖および外科病理検体における諸臓器の基本的な切り出し法について説明できる。
Skill level II
(1) 一般的な病理解剖および外科病理検体について、適切な切り出し部位や保存部位を選択し、切り出しができる。
(2) 病理組織検体を適切に固定し、包埋(パラフィンブロック作製)し、薄切ができる。
(3) 病理診断に必要な基本的な組織染色について、自ら実施できる。
(4) 病理組織標本の質を評価できる。
Skill level III
(1) 複雑または特殊な病理解剖例および外科病理症例について、臨床病理学的な検討や教育に利用可能で、かつ病理所見が保存されるような組織の取り出しと固定保存を実施できる。
(2) 病理診断に関する不適切標本を判断し、原因を推察して技師と情報交換し、あるいは指導できる。

7. 病理業務におけるバイオハザード対策を実行できる。
Skill level I
(1) 病理検査室で従事者に感染しうる病原体について説明できる。
(2) 病理解剖室での基本的な感染対策について、説明できる。
Skill level II以上
(1) 病理解剖室、病理検査室でのバイオハザード対策を実施できる。
(2) 院内感染対策に関して病理医として助言し、自らも実施できる。
(3) 細胞診検体取り扱い上の感染に関する注意点を説明、実施し、コメディカルの指導ができる。
(4) 術中迅速診断検体取り扱い上の感染に関する注意点を説明、実施し、コメディカルの指導ができる。
(5) 病理解剖室、病理検査室での感染防御のために必要な設備について説明し、病院としての対策に助言ができる。

8. CPC(Clinicopathological conference)や臨床とのカンファレンスにおいて、病理所見を的確に説明できる。
Skill level I
(1) 上級医の指導のもと、カンファレンスやCPCで病理所見の呈示資料を的確に準備し、説明ができる。
(2) CPCや臨床とのカンファレンスで、積極的に発言できる。
Skill level II以上
(1) 臨床とのカンファレンスで、症例を呈示し、合理的な結論を導き出すことができる。
(2) 自らが解剖した症例について、CPCで病理所見と臨床病理学的考察の呈示ができる。

III.求められる態度

1. 病理診断、病理解剖およびCPCなどに際して患者や遺族に対する配慮ができる。
Basic
(1) 病理診断業務で、患者または遺族に直接会って話をする場合の注意点を述べることができる。
(2) 病理診断、病理解剖およびCPCなどに際して、患者や遺族に対して適切な倫理的配慮ができる。
Advance-1以上
(1) 患者や遺族と適切なコミュニケーションを取ることができる。
(2) 求められた場合、患者や遺族に病理診断結果を適切に伝えることができる。

2. 病理業務において、臨床医と適切に対応できる。
Basic
(1) 病理業務において、臨床医との適切な情報交換・意見交換ができる。
Advance-1以上
(1) 病理業務において、臨床医に適切な助言ができる。
(2) 臨床医が求める病理学的情報や考察を、適切に伝えることができる。

3. 学生、臨床研修医および病理専門医初期研修医に対する病理の指導ができる。
Advance-1
(1) 学生、臨床研修医に対する病理の指導を補助できる。
Advance-2
(1) 学生の指導ができる
a.学生に対して基本的な病理学総論の講義ができる。
b.BSL(Bedside learning)の学生に、病理業務についての説明や、基本的事項の講義ができる。
c.BSL学生のCPC指導ができる。
(2) 臨床研修医の指導ができる。
a.臨床研修医の病理部研修について、適切な指導ができる。
b.臨床研修医のCPC研修について、適切な指導ができる。
(注:臨床研修医の指導医は、原則として病理専門医が担当する。)
(3) 初期研修医の指導ができる。
a.一般的な症例について、初期研修医の病理解剖実施を適切に介助し、病理解剖指導ができる。
b.依頼病理解剖例を初期研修医のために選択することができる。
c.初期研修医の病理解剖報告書作成を指導できる。
d.初期研修医の生検、手術材料の病理診断について、一般的な症例に関する指導ができる。
e.初期研修医の細胞診診断について、一般的な症例に関する指導ができる。

4. 病理業務に関してコメディカルと協調できる。
Basic
(1) コメディカルと良好な対人関係を構築し、適切なコミュニケーションを取ることができる。
Adcance-1以上
(1) コメディカル、臨床検査技師に適切な助言を与え、指導することができる。

5. 病理診断の精度管理について積極的に関与する。
Basic
(1) 病理診断の精度管理の基本について述べることができる。
Advance-1以上
(1) 病理学会が定める、認定施設に求められる精度管理要綱を説明できる。
(2) 病院(大学)および病理学会に提出が求められる精度管理内容について、組織し、実行し、分析することができる。
a.病理解剖室、病理検査室の作業管理について説明し、指導医の指導下に実施できる。
b.病理解剖室、病理検査室の安全管理について説明し、指導医の指導下に実施できる。
c.組織標本、特染についての精度管理について説明し、指導者の指導下に)実施できる。
d.病理組織標本の質(切片の厚さ、染色性など)を判断し、不良標本の原因を推察し、技師に指導できる。
e.病理診断精度の向上に対して適切な実施策を取れる。
(3) コンピュータを用いた最新の情報交換(文献検索を含む)を実施できる。
(4) 分子病理学など特殊検査に関する精度管理、精度向上、リスク、経済性、検査室管理について説明できる。

6. 学会、研修会、セミナーに積極的に参加する。
Basic
(1) 病理診断学に関する生涯学習について述べることができる。
Advance-1以上
(1) 学会、研修会、セミナーに積極的に参加する。
(2) 各種セミナーを通じて各自の診断や相談内容を自己調査して評価し、科学的事実を明らかにして評価し、患者の診療に役立てることができる。

7. 病理業務の社会的貢献に積極的に関与する。
Basic
(1) 病理業務の社会的貢献について述べることができる。
Advance-1以上
(1) がん検診における病理に役割について説明し、積極的に関与することができる。
(2) 病理業務の地域医療へのかかわりについて説明し、関与することができる。
(3) 医療における病理の役割(予防医学を含む)について、一般市民への啓発活動に関与することができる。

8. 人体病理学に関する研究を行い、結果を報告できる。
Basic
(1) 人体病理学に関する研究方法を説明できる。
(2) 倫理面に配慮した研究材料の収集ができる。
Advance-1以上
(1) 人体病理学の研究計画を立てることができる。
(2) 人体病理学に関する研究を実施し、結果をまとめることができる。
(3) 症例報告または人体病理学に関する研究成果を学会に発表できる。
(4) 症例報告または人体病理学に関する研究成果を論文としてまとめることができる。