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病理診断に関するセカンドオピニオンを求める場合 |
ここでは病理診断について、別の病理医の意見を聞いてみたい、と思う場合にどのような方法があるかをご説明します。
組織や細胞の病理診断について、他の病理医からのセカンドオピニオンは、どなたでも受けることができます。これらの病理診断は、その後の治療方針決定にも関わる重要な診断であり、セカンドオピニオンを受ける対象になります。
病理解剖結果について、他の病院の病理医が意見を述べることは一般に行われていません。病理解剖は全身の組織・臓器を調べ、臨床経過と対比していき ます。顕微鏡用の標本だけは正しい診断は難しく、詳細な臨床情報、解剖時の肉眼所見なども重要なのです。同じ病院に所属する病理医だから、病院側に都合の良い診断を下すのではないか、という心配は無用です。病理医は医療の質を高めるため、臨床医とは別の第3者の立場で公正に診断します。
なお、"医療関連死"が疑われる場合の対応に関しては、現在、厚生労働省と日本病理学会を含む19学会(基本的診療科)が、「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」を立ちあげており、本年度から一部の都府県で開始される予定です。詳しくは、以下のサイトをご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/08/h0810-1.html
一般的に行われているのは、標本を別の病理医に見せて報告書をもらうという方法です。たとえば、担当医に頼んで、手紙と標本を他の病理医に送ってもらい、診断してもらう手順は以前から行われています。このような場合、報告書は主治医に対して書かれ、主治医から結果が説明されますから、「病理医から直接話を聞く」のとは異なります。また、診療情報提供書(紹介状)と病理標本を持って、他の病院の診療科(内科や外科など)の外来を受診される場合も同じです。必要に応じて臨床の外来担当医がその病院の病理医に標本の診断を依頼し、得られた結果をその臨床担当医がお伝えすることになるのが一般的です。
他の病理医の意見を直接聞いていただくには、まず主治医にその希望を伝え、病院から診療情報提供書(紹介状)を出してもらい、病理の標本を借りる必 要があります。これを、病理医が直接お会いしてお話するシステムを採用している病院に送ります。最近はセカンドオピニオン外来の中に、病理医が加わっている病院も増えていますので、電話などで問い合わせてみると良いでしょう。郵送の宛先は、大きな病院では医療連携室などが扱っていますが、そのような窓口がなければ、病理医の所属する病院に問い合わせいただくことになります。また、個人で「相談」を受け付けるような活動をしている病理医もいます。その場合には、直接その病理医に連絡をとっていただく必要があります。
病理医からの病理診断の説明は、一般的な「外来」のように診察券を出して順番を待って、という形では行われません。セカンドオピニオンを求められる場合、具体的な時間、費用、病理医の話だけで良いか、臨床医の立会いも必要とするか、などを相手先と打ち合わせて、予約する形になるのが一般的だと思います。
依頼を受けた病理医は、送られた臨床情報と病理標本をもとに所見を整理して診断します。難しい症例では、文献を調べたり、他の病理医にコンサルテーション(相談)を行う場合もあります。また、説明を十分に理解していただくために、相談内容に合わせて資料を準備することもあります。従って、あらかじめ 臨床情報や病理標本を送っていただく必要があるわけです。通常は、外来終了後に報告書を書き、標本と一緒に紹介元の病院へ送り返します。
特にがんの場合、病理診断が最終診断となり、治療方針が決定されます。「病理診断の特色ならびに病理診断を病理医から直接お聞きになる意義について」のご説明にある通り、病理診断だけをみると、所見によってはあっちの病院で「がん」と言われ、こっちの病院では「がんではない」と言われることも起こりえま す。その結果、患者さんが「がんではないと言って欲しい」というような、ご自分の望まれる診断を求めて、病院めぐりをするような事態を招くことだけは避けなければなりません。病気は、なるべく早く治療を開始した方が良い結果となる場合がほとんどです。そのような場合には、直接病理医に会って、なぜ病院によって診断名が違ったのかという説明を含めて、お話を聞かれることをお考えください。
1.病理診断の特色ならびに病理診断を病理医から直接お聞きになる意義について