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病理診断を病理医から直接聞く方法 |
ここでは、病理診断の内容・意味を病理医から直接お聞きいただく方法について、ご説明します。
病理診断結果の説明は必ず行われますが、全ての症例について病理医が直接ご説明することは不可能です。大きな病院では年間に1万~3万例の病理診断が行われています。外来や入院病棟から提出されるこれらの検体を診断しているのは病理医ですが、その患者さん全てにお会いできるはずがありません。強いご希望がある場合や、臨床医が「自分で説明するよりも病理医からの話を聞いてもらった方が良い」と判断した場合などに限られてしまうことをご理解いただく必要があります。
受診されている病院に病理医がいるか、その病理医と会って話を聞くことができるかは、病院(あるいは担当医)に直接聞いていただく必要があります。現在、病理科は「標榜科」(診療科の一つとして看板を挙げることを許された科)として認められていませんので、看板を探してもありません。病院のホームページなどに、病理医の名前や専門領域をあげている病院もありますので、参考にされると良いでしょう。
現在、病理専門医は全国に2200名ほどしかいません。大学病院は別として、大病院でも病理医がたった一人だけだったり、常勤病理医がいない病院も少なくありません。病理医がいない場合の病理診断は、非常勤病理医が行っていたり、検査センターを通じて行われていますので、診断した病理医に直接会うのは難しいと思われます。そのような場合、「病理診断のセカンドオピニオン」を求めていただくのが一つの方法になるでしょう。
病院の病理医は、毎日の診断業務に追われています。その中で、何とか時間を見つけてお会いする、ということになると思います。ほとんどの病院では、ご説明のための部屋や設備が整っているわけではありません。これらについては病院に問い合わせていただく必要があります。かかられている病院で行った検査の結果を説明することについては、主治医が行うのと同じであり、保険で賄われますので、病理医が行っても特別な料金は発生しません。他の病院にセカンドオピニオンを求められる場合は、通常、別料金が必要になります。
病理の専門外来を開設している病院は、まだ少数です<記事紹介PDF>。現在、さまざまな病院で病理専門外来について検討されていますが、人手の問題、部屋や設備の問題、費用の設定など、多くの問題が残されており、残念ながらまだ開設には至っていません。<リンク>
専門外来の診療としてではなく、病理医が患者さんやご家族にお会いすることは、昔から行われてきました。このようなセカンドオピニオンの提供の多くは、病理医個人のボランティアとして行われており、費用は発生しません。ただし、プライバシーを保てる場所の確保、説明責任の所在、医療記録(説明内容) の保管とその義務、などについて統一された規約がなく、個人の裁量に任されているのが現状です。
患者さんのために私たち病理医は何ができるのか、どうしたらいいのか、日本病理学会としても検討を続けています。
病理解剖結果のご説明については、病院ごとに体制が異なりますので、病院または担当医にお聞きください。執刀した病理医や病理側の責任者に直接会いたいという希望を伝えていただければ、多くの病院で対応が可能だと思います。
1.病理診断の特色ならびに病理診断を病理医から直接お聞きになる意義について