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理事長挨拶

日本病理学会理事長 小田 義直

日本病理学会理事長 小田 義直理事長を拝命しております小田義直(おだ よしなお)です。日本病理学会は約110年前に設立され現在約4700名の会員を擁しています。病理学会が掲げてきた「病理学に関する学理及びその応用についての研究の振興とその普及を図る」という伝統を大前提にした上で、時代の変化に対応して様々な活動を行っています。

・病理学は教育および研究の中核をなす学問です。
病理学は患者から採取された病変の解析により病態解明を行う人体病理学と、細胞培養や動物実験により病態を解析する実験病理学とがあります。解剖学、生理学、生化学、免疫学などの基礎医学全般を基盤として疾患の原因や病態の解明を行う学問で、いわば基礎医学の中の総合医学とでもいうべきものです。さらには臨床医学の様々な分野の疾患を理解する上での礎ともなっていることから、基礎医学と臨床医学の架け橋となる医学教育の中で重要な科目です。
研究面においては基礎医学の他の領域の先生たちと共同研究を行うことはもちろん、様々な領域の臨床医と意見交換を行いながら疾患に直接結びつく研究を展開しています。実際に得られた知見に基づいて多くの治療法や新薬の開発に結びついています。また、多くの医学研究者によるゲノム・オミックス研究に適した質の高い病理組織検体を採取・保管するために2016 年よりゲノム研究・診療における病理検体取り扱いに関する規程を策定し広く国内外に周知しています。

・病理診断により実臨床の診療にも大きく貢献しています。
病理医はヒトの様々な臓器や組織から採取された標本を顕微鏡で観察することにより医行為である病理診断を通して各診療科の実臨床に重要な役割を果たしています。病理診断によって病名の確定や病気の進行程度、治療方針の策定、治療後の効果判定も行うことができます。特にがんの診療において病理診断そのものが最終診断となります。さらに近年のがん治療において特定の薬物選択の根拠となる病理学的なガイドラインの策定に学会として取り組んでいます。
不幸にして患者が亡くなられた場合は病理解剖を行うことによって死因を解明するとともに生前の病気の進行具合や治療の有効性も検証し、医学の進歩に大きく貢献してきました。
このようなことから病理医はDoctor's Doctorとも呼ばれています。病理学会では日本専門医機構と連携して病理専門医制度を整備し病理診断を行う病理専門医および口腔病理専門医の育成や教育を行っています。

・近年の飛躍的発展をとげた医療技術にも対応しています。
がんゲノム医療の実践のためにも病理医は重要な役割を担っており、病理学会では分子病理医専門医制度を2020年から発足させ、分子病理学に卓越した知識と能力を有する病理医を育成し、その専門医を認定しています。
AI の進歩には目覚ましいものがあり、様々な分野での導入が進んでいます。病理学会も総力を挙げて病理診断AI の開発・研究に取り組んできましたが、AI が得意とするのは画像の判別です。病理医は病理画像の判別だけでなく、組織像の背景にある患者の臨床的素因を考慮しつつ診断を行い、未知の病気については新たな概念の確立と病態の解釈を行っており、これは将来にわたりAI が代替できない仕事と考えます。

医学のみに限らず多くの領域でもそうであるように病理学者や病理医にも多様な人材が必要とされています。しかしながら、現状では臨床医学の分野に比べ病理学領域ではまだまだ人材が不足しています。医学生、歯学生、研修医、医学研究関係者の皆様には、是非とも病理学会ホームページをご覧になって病理学の門をたたいていただき、魅力ある未来の病理学を一緒に作り上げていただきたいと思っております。皆様のご理解と、ご支援を心よりお願い申し上げます。
       
   歴代理事長挨拶  
 
 
    >> 平成30~令和3年度理事長 北川 昌伸  
    >> 平成24~29年度理事長 深山 正久  
    >> 平成22~23年度理事長 青笹 克之  
    >> 平成18~21年度理事長 長村 義之  
    >> 平成14~17年度理事長 森 茂郎