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次期理事長選挙:候補者所信表明

希望者のみ掲載:3名 ABC順 氏名、所属、出身大学、卒業年)

深山正久
(東京大学大学院医学系研究科、東京大、1978年)

病理学会員の皆様に心より訴え、推し進めたいことがあり、立候補いたしました。日本病理学会の最重要課題は「後継者のリクルート・育成」であり、これは学 術評議員全員が心をひとつにして、着実に推し進めていかなければならない緊急課題です。以下、行動指針を示します。病理医の重要性についての広報(1、 3)、研究医・病理医育成(2、5)、基盤整備(4、6)の三本柱です。

  1. 「医療における病理学」を実践し、病理医の重要性を国民に訴える:広報の方策の一つとして、「病 理専門研修への公的補助」を求める要望書を政府に提出します。がん対策推進基本計画見直しに当たり、病理医不足が取り上げられました。臨床研修における CPCの充実、診療関連死調査という場面でも、病理医が果たす役割が大いに期待されています。粘り強い活動が実を結んでいます。
  2. 病理学を入り口とした研究医の育成:文部科学省においても研究医の育成の重要性が認識されるようになっています。研究医を志す医師の養成課程に、病理研修を取り入れる施策を提案し、医学研究における病理学の重要性を積極的に訴えていきましょう。
  3. 病理学の重要性を学生、研修医に伝える:病理研修手帳の配布、研修登録システム構築により病理研修へのアクセスを高めます。各支部における夏の学校、学術総会における学生ポスターなど多くの取り組みが行われています。これらのために病理学会の学術医療振興基金の積極的活用を考えていきます。
  4. 病理医の立場を強化する:診療所での病理診断料の算定、保険医療機関としての病理診断科開業、病理診断料毎回算定など着実な成果を勝ちとっていくために行動します。一方、生涯教育委員会の設置などにより、病理専門医の生涯教育の充実を図ります。
  5. 基礎生命科学と臨床医学の架け橋:病理学を強化するため,研究者と病理医の交流の場を積極的に設けます。「病理医と研究医」をテーマとした市民公開講座を開催します。
  6. 支部活動支援をはじめとした情報基盤整備:病理ITネットワーク作りを進め、支部活動支援を積極的に行うほか、教育環境の整備,病理診断精度向上,国際交流の促進を図ります。
病理診断と病理学研究、これらを両輪として前進させることが必要です。病理学会員の熱意と力をひとつにして、広い視野に立った病理学を前進させるため、皆様とともに進んで行きたいと存じます。是非とも、ご支援をお願い申し上げます。

黒田  誠
(藤田保健衛生大学病理診断科、名古屋保健衛生大、1978年)

この度の役員選挙におきましては前回に引き続き多くの皆様からの多大なご支援をいただき厚くお礼申しあげますとともに、日本病理学会において私に与えられました責務・使命の大きさに身の引き締まる思いでございます。
私は、100周年を迎えた伝統ある日本病理学会が新たな一歩を踏み出すに当たり、このような多大なご支持をいただいた皆様のご期待にお答えすべく、このた びの理事長選挙に立候補する決意をいたしました。今さら申すまでもなく病理学においては研究と診断は車の両輪のような関係にありますが、病理学の診療への 責任が重くなって行く一方で、科学の急速な発展を背景として病理学研究への期待も大いに広がってきています。今後も日本病理学会において、「研究」と「診 断」が密に連携して、その魅力を発揮できるシステムを構築して行く所存でございます。近年、会員への連絡などがペーパーレスとなり決定事項の会員への周知 がより重要性を増し、皆様のご意向の把握、更には医学生の啓発などと幅の広い活動が支部でなされています。私は地方を大切にし、支部活動の強化と、理事会 との連携に努めたく存じます。また会員の皆様との学会内の議論を元に、そこで抽出された学会のみでは打開できない大きな課題を学会外へ積極的に情報発信し てその解決に努めます。そのために対外的に関係の深い諸団体と交流を深め、所轄省庁への活動にも更に力を入れて、広い視野から、国民が日本病理学会に期待 している様々な事項の実現に尽力したく存じます。積極的な、前向きの活発な議論をし、課題を解決しつつ前に進むことにより、「病理医不足」も解決して行く ものと確信しております。今年は国民皆保険が実施されてから50周年を迎えます。国民の医療を支える柱として期待に応える学会になろうではありませんか。 私の基本的なスタンスは現場の生の声に耳を傾け、その課題を抽出し、政策として現場にフィードバックする学会の体制を構築することにあります。
課題として、
  1. 病理学の国民への周知・啓発
  2. 病理専門医の現場の環境改善・女性病理医の支援・そのための諸団体・省庁などとの折衝
  3. 病理学の科学・教育の充実
  4. 病理医倍増へ向けての緻密な活動 など
皆様のお力添えで進めて行く所存でございます。
これまでの経験を生かし、全力で取り組む覚悟でございます。日本病理学会の更なる発展に向けて、皆様のご支援をどうぞ宜しくお願い申し上げます。

上田 真喜子
(大阪市立大学医学部病理病態学、千葉大、1975年)

 多くの先生方からの御支援の声に励まされて、この度、日本病理学会の理事長選への立候補を決意しました。私は、平成20年・21年度は理事および人材育 成委員長として活動させていただき、平成22年度からは、常任理事および財務委員長として、青笹理事長のもと、地方からの病理学会の活性化を念頭に、多く の改革の実行に参画させていただきました。この改革路線を継続していくことは、100周年を経た伝統ある日本病理学会をさらに発展させていくためには、必 須であります。特に、他学会に比較して高額である病理学会の会費(病理専門医部会費を含む)の値下げを実現するべく、私は財務委員長として全力で取り組ん できましたが、そのためにはまず、一般会計が約6,000万円の大幅赤字をかかえて、剖検輯報会計や専門医部会会計の繰越金からの内部借受により運営して いるという病理学会の財務の現状を健全化させることが急務です。すでに問題点は把握しておりますので、それらの解決・改善に努め、2年間の任期中に会費の値下げ、および財務の健全化を必ず実現したいと存じます。そして今後は、病理学会の将来を担う若手病理医のリクルートや育成、生涯教育、病理診断精度向上、支部活動の充実、会員からの意見・要望を反映した新企画の実施などにこそ、より多くの財源をあてるような財務運営をするべきと考えます。
 日本病理学会、さらには日本の医療において、病理診断業務の重要性は言うまでもありません。そのためにも、病理診断 科/診断医の地位のさらなる向上、女性病理医が継続的に働くことができる勤務システムの確立、一人病理医をめぐる諸問題の解決、そして何よりも医学生や研 修医に魅力を感じさせ、興味や期待を抱かせるような病理学イメージのあり方、などについて病理学会全体で取り組む必要があります。
 病理学は病気の発生・進展メカニズムを追究する学問であり、日本病理学会としてはヒト疾患の病理・病態の解明を一層推進していく責務があります。この研究活動を基盤とした病理学教育の実践を通じて、病理学の魅力と重要性を学生や若手医師に伝えることが必要です。このことが、日本病理学会のさらなる活性化や発展に最も重要と確信しております。
 皆様の御支援を賜わればありがたく、なにとぞよろしくお願い申し上げます。