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病理医とは |
病理医はいつも患者さんとともに病気と健康について考えています!
病理医は、大学や研究所以外の身近な一般病院にも、病理診断を行う医師として働いています。これまで、患者さんと直接対面する機会が少ないため、市民のみなさんにはあまり知られてきませんでした。そこで、当学会も『病理診断ってなあ~に』という一般向けリーフレットを作成しました。「病理診断について」の項目に提示していますので、ぜひご参照ください。その中にも説明してありますとおり、病理医の本業は『病理解剖(剖検)』、『組織診断(生検および手術材料)』、『細胞診断』です。
病理解剖は病院で不幸にして亡くなられた患者さんの死因、病態解析、治療効果などを検証し、今後の医療に生かすことを目的に行います。
組織診断は内視鏡医がみつけた病変部から採取(生検といいます)した、小さい組織片を顕微鏡でみて診断したり、手術して切除された検体から臨床診断を確認したり、どの程度病気が進展しているかなどを検証する作業を行うことです。手術中の短時間に病理診断を下して、手術方針を決めるのに役立つ「術中迅速診断」も病理医の重要な業務です。
細胞診断は婦人科医が子宮粘膜表面から細胞を採取したり、外科医が乳腺など体表に近い病変部から注射器で針を刺して細胞を採取して検査することです。細胞診断は細胞検査士という日本臨床細胞学会が認定した資格をもつ専門技師と共同で診断します。病理医は病理診断に迷うこともあります。その時はこれが自分や自分の家族だったらどう診断するかと思いをめぐらせることで、答えが自ずと見えてくることがあります。もちろん、難解で自分の手に負えないと思えば臓器別専門の病理医に標本を送ってアドバイスを請うことも少なくありません。これをコンサルテーションシステムとよび、日本病理学会の重要な業務の一つとなっています。
この3大業務以外にも臨床各科と合同で解剖例や手術例についてカンファレンスを行ったり、院内医療安全検討会のメンバーとなって病理の立場から意見を述べたりすることもあります。最近は主治医の立ち会いのもとで、病理医が患者さんに写真や図を示しながら病理診断の説明を行う病理外来を実施する施設も見られるようになってきました。また、蓄積された病理データを使って臨床研究も積極的に行っています。そして、病理研修を始めた医師の指導のみならず、当学会などで研究発表する医学生の指導や高校生に病理学入門の授業の試みといった、新しい医学教育に取組んでいる施設もみられるようになりました。
このように病理医は病院医療の質を保つために必要かつ欠かすことのできない存在となっているにもかかわらず、まだ全国に2,232名(平成26年9 月現在)しか病理専門医がおらず、決して十分とは言えません(日本病理学会では、実地試験による「病理専門医」の資格認定を行ってきております)。当学会としても、病理の標榜科とともに、病理医増加対策には最も力を入れている喫緊の課題の一つとなっています。
病理医のつよみは、何と言っても、『病気の総合的判断が可能な医師である』点です。その理由として、全科の検体を扱っていること、剖検による全身の病態診断に慣れていること、病理総論的見方を訓練されているために全身の臓器に共通した病変の概念を理解していることなどがあげられます。言い換えれば、病気を正常からの逸脱の度合いという見方からとらえ、病気の本質的な部分を深く考えている医師が病理医と言えるでしょう。
一般病院を受診した際には、病理部、病理科、検査科などという部署に病理医がいるかどうか、ぜひ確かめて下さい。病理医の名は院内表示されています。病理医はいつも患者さんとともに病気と健康について考えています。