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2015年5月31日

第104回日本病理学会総会市民公開講座の開催のご報告

第104回日本病理医学会総会「市民公開講座」は第3日目の平成27年5月2日、午後4時より、名古屋国際会議場のレセプションホールにて開催されました。
テーマは、「もっと知っておこう、子宮頸がん ~あなたとあなたの大切な人のために~」で、司会は、高橋雅英総会会長と名古屋大学大学院医学系研究科産婦人科学教授、吉川史隆先生が務めました。 
子宮頸がんは検診による早期発見が可能ながんであり、日本において特に若い世代への普及が重要な課題になっています。検診の際のがんの組織診断においては病理医が大きな役割を果たしています。
本市民講座ではまず、吉川教授の開会挨拶の後、最初の演者として、女優の仁科亜季子さんが「元気な明日のために ~がんに負けない~」をテーマに講演しました。24年前に子宮頸がんを患った仁科さんは、抗がん剤の治療、副作用、手術、術後の後遺症などの経験から病気に負けないために心がけていることを話され、検診の重要性を訴えました。がん患者としての立場でしかわからない貴重な体験を話しました。
2番目の演者である和歌山県立医科大学 産科婦人科教授の井箟一彦先生は、子宮頸がんを予防しよう ~女性の健康を守る~をテーマに、産婦人科の専門家として子宮頸がんの原因や治療法を解説すると共に、子宮頸がん検診と早期発見の重要性、予防ワクチンに関する最近の国内の取り組みについて講演しました。
最後の演者は、順天堂大学医学部 病理・腫瘍学教授の樋野興夫先生でした。純度の高い専門性と社会的包容力 ~病理医の役割~ について、がん哲学という観点から講演しました。「がん哲学外来」でがん患者と接している樋野先生は、医師としての立場と患者としての立場からがんに向き合うために必要なことを一般の方にもわかりやすく講演し、心のケアについては多くの参加者も感銘を受けていました。
講演後、演者を交え、パネルディスカッションが行われました。司会の高橋会長、吉川先生から講演内容をもとに3名の演者にコメントを求め、それぞれの立場からさらに子宮頸がんと向き合うための心得を聞きました。
会場には、250名近くの参加者が集まり、熱心に耳を傾けていました。
最後に高橋会長から3名の講演者にまた、本日ご参加いただいた方々に感謝するとともに、皆様のこれからの人生が健康であることを祈って閉会の挨拶としました。


市民公開講座の様子

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司会:吉川史隆先生(名古屋大学大学院医学系研究科産婦人科学)
   高橋雅英先生(名古屋大学大学院医学系研究科分子病理・腫瘍病理学)

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仁科亜季子さん

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井箟一彦先生(和歌山県立医科大学産科婦人科学)

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樋野興夫先生(順天堂大学医学部病理・腫瘍学)

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パネルディスカッションの様子

2014年6月11日

第103回日本病理学会総会市民公開講座の開催のご報告

国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター副院長 谷山清己

本市民公開講座は総会第3日(2014年4月26日)午後4時半から、広島国際会議場地下2階ヒマワリ会場にて開催されました。テーマは、「市民と病理の接点を探る-乳がんの診断と治療を通して-」です(写真1)。座長は、中川けいさん(特定非営利活動法人乳がん患者友の会きらら理事長)と筆者が務めました。演者は4人です。治療医代表として、京都大学大学院医学研究科乳腺外科学教授戸井雅和先生が、「乳がん治療の最新動向」という演題で講演しました(写真2)。従来の薬よりも有効性が高く、副作用の少ない新しい薬が次々と開発されることや日本発の素晴らしい薬の紹介などとともに外科手術の進歩などについてわかりやすい講演でした。続いて筆者が病理医代表として講演しました(写真3)。演題名は「がん診断の決め方、伝え方」としました。病理診断が決まるまでの流れを、病理診断科の現場写真や臓器写真を用いて説明し、併せて、病理診断を病理医が患者に直接説明する「病理外来」の目的と効用を概説しました。この「病理外来」は、筆者が10年以上前から継続して行っている活動であり、近年では多くの病理医が実際に行いつつあります。3人目は、筆者と同じ施設に勤務する緩和ケア認定看護師の中西貴子さんが看護師を代表して講演しました(写真4)。題名は「心のケアを考える」です。治療医から"がん"という診断名を告知された時、治療法を選択するように求められてとまどう時や有効な治療法がないと告知された時などに、「心のケア」がいかに大切であるか、そして、病理外来で得られる「正しい病態理解」が患者の心を和ませるのに有用という報告でした。最後は、患者代表として中川けいさんが「明日はきっといい日」という演題の講演を行いました(写真5)。ある日突然に"がん"と告知され、全く何の準備もしていない状況から始まるいろいろな混乱、不安をご自身の体験談を交えて説明し、大変な状況であるけれども患者はもっと自らの病気を知らなければならない、病理診断にもっと注意を払わなくてはいけないと熱く語りました。筆者が行う「病理外来」を高く評価し、全国的にこの活動が広がることを期待すると述べました。最後に司会者が、「病理診断」が"がん医療"の根幹であること、病理医は患者の立場に寄り添う存在であることなどを「まとめ」として述べました。
 会場には約200人の参加者がつめかけ、熱心に耳を傾けていました(写真6)。また、地方テレビ局や新聞社による取材が行われ、後日、新聞やテレビで本公開講座が盛況であったことや病理診断が医療に大切な要素であることなどが報道されました。
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写真1
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写真2 戸井 雅和先生 (京都大学大学院医学研究科外科学講座乳腺外科)
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写真3 谷山 清己 (国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター 病理診断科)
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写真4 中西 貴子さん (国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター 緩和ケア認定看護師
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写真5 中川 けいさん (特定非営利活動法人 乳がん患者友の会きらら)
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写真6 参加者の方々

2014年3月28日

第103回日本病理学会 市民公開講座 「市民と病理の接点を探る-乳がんの診断と治療を通して-」

【日時】
平成26年4月26日(土) 16:30~18:30


【場所】
広島国際会議場B2F ヒマワリ


【司会】
谷山 清己(国立病院機構呉医療センター・四国がんセンター臨床研究部)
中川 けい(特定非営利活動法人乳がん患者友の会きらら)


【講演タイトル】
1.「乳がん治療の最新動向」
 戸井 雅和 (京都大学大学院医学研究科外科学講座乳腺外科)

2.「がん診断の決め方、伝え方」
 谷山 清己 (国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター 病理診断科)

3.「心のケアを考える」
 中西 貴子 (国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター 緩和ケア認定看護師

4.「明日はきっといい日」
 中川 けい (特定非営利活動法人 乳がん患者友の会きらら)


【申込方法】
参加費:無料 (先着400名)
>>申込詳細はこちらから


【主催】
第103回日本病理学会総会


【後援】
広島県、 広島市、 広島県医師会、 広島市医師会、 公益財団法人広島がんセミナー、中国新聞社

2013年7月 2日

第102回日本病理学会総会市民公開講座開催のご報告

平成25年6月15日

 本市民公開講座は総会第3日の2013年6月8日午後5時よりさっぽろ芸文館の会場で行われた。300人収容のホール(瑞雪の間)が事前の入場券取得者ばかりでなく、事前に北海道新聞、読売新聞、NHKテレビ,FMアップル等で紹介されていたこともあり、当日の入場者も多数つめかけ、ほぼ満席のもとで行われた。司会は私と、現在、病理学会北海道支部長で北海道大学大学院医学研究科分子病理学分野教授 笠原正典先生とで行われた。
 テーマ「がんと脳をよく知ろう」のもと、まず笠原先生の開会挨拶があり、そのあと各講師のご講演がなされた。がんを外科医と病理医の2名の講師から、また脳を1名の講師から市民の皆様に解説をいただいた。
  JR札幌病院外科部長 鶴間哲弘先生は「創が少なく体に優しい手術:がん外科手術の進歩」という内容で内視鏡手術の歴史や進歩、現況および近い将来どのような手術になるのか話された。
 札幌医大医学部第1病理准教授 鳥越俊彦先生からは「がん免疫治療と病理学の深いつながり」というテーマで、がん患者さんはどのように自分の免疫系ががんに働いているのか,またそれを利用してがん治療は可能なのか、がんペプチドワクチンとはどういうものなのかの解説をされた。
 また「脳の中を見て自分を知ろう」というテーマで、北海道大学大学院医学研究科腫瘍病理学分野 田中伸哉教授は、脳の構造と機能、さらにアルツハイマー病等の病態について分かり易いお話をされた。
 会の進行予定では質疑応答の時間を設けていたが、講師の方々の熱弁により、90分の時間がほぼ満了になり、講師のご講演だけで終える形になった。そして、最後に、私から閉会のご挨拶を申し上げ、今回の市民公開講座を閉じた。
 出席された市民の方々は皆さん熱心にメモもとられ、時に講師のお話にうなずかれ、多くの点で参考にされたとおもわれる。その意味で、ほほ満席の会場もふくめ、今回の市民公開講座開催の意義を強く感じた次第である。
 最後に、大変お忙しい中、出席いただいた市民各位、および講師の労を快くお引き受けいただいた各先生に心からの感謝を申し述べたい。


<市民公開講座の様子>

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左:佐藤 昇志 先生(札幌医科大学 医学部 病理学第一講座)
右:笠原 正典 先生(北海道大学 大学院医学研究科 分子病理学分野)


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鶴間 哲弘 先生(JR札幌病院 外科)


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鳥越 俊彦 先生(札幌医科大学 医学部 病理学第一講座)


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田中 伸哉 先生(北海道大学 大学院医学研究科 腫瘍病理学分野)

2012年6月 5日

第101回日本病理学会総会市民公開講座開催のご報告 

平成24年5月21日
 日本病理学会では社会に開かれた学会活動の一環として、病理学会総会時に市民公開講座を開催している。今回の市民公開講座では、『我が国における最先端のがん治療』と題して、市民の皆さんにがん治療に関する最新情報を提供した。産婦人科医や小児科医等の不足が社会問題化し、新聞やTV等のメディアが取り上げるに至って官民一体となった取り組みの結果、その減少には歯止めがかかり現在では改善傾向にある。翻って病理医の充足度はどうかというと、病理医の最低必要な医師数は現状の3.8倍であり、最も足りないのが現状である[「医師確保のための実態調査」(日本医師会発表資料2008)]。このような観点から、今回の市民公開講座では、がん治療の最新情報に加えてがんの診断や治療法策定における病理医の役割や病理医の置かれた現状についても強調し、200人を超える多くの市民、患者会の方にご出席頂いた。
 4人の先生にご講演頂いた。まず、中村清吾先生(昭和大・教授)から、乳癌の診断によってその後の治療方針が決まるため、病理診断が如何に重要かということを分かり易くご講演頂いた。次の田邉稔先生(慶應大・准教授)から、従来の開腹手術から内視鏡下での手術まで患者負担の軽減を目指した外科手術の進歩についてご紹介頂いた。続いて、病理学会会員を代表して増田しのぶ先生(日本大・教授)からは、病理診断の実際と必要性について分かり易くご講演頂き、最後に畠清彦先生(がん研究有明病院・部長)から最近発売された分子標的薬の効果や副作用について、またそれらを実施するにあたり病理診断が如何に必要であるかを強調して頂いた。座長は、坂元亨宇先生(慶應大・教授)と松本陽子さん(愛媛おれんじの会・理事長)が努められ、パネルディスカッションでは会場からの多くの質問があったため、時間一杯対応をして多くの質問に回答を行った。
尚、今回は読売新聞、朝日新聞を始め計4紙で紹介頂いた他、当日は3名の記者が参加された。このような日本病理学会の活動が、市民の皆さんの病気や治療に関する正しい理解とともに病理への関心の向上の一助になれば幸いである。

<市民公開講座の様子(共催:中外製薬株式会社)>

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座長  左:坂元亨宇 先生(慶應大・教授)  
右:松本陽子さん(愛媛おれんじの会・理事長)

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左:田邉 稔 先生(慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科)    
右:中村清吾 先生(昭和大学医学部 乳腺外科) 

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左:畠 清彦 先生(公益財団法人がん研究会有明病院 化学療法科・血液腫瘍科)
右:増田しのぶ 先生(日本大学医学部 病態病理学系病理学分野)


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パネルディスカッション風景