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第101回日本病理学会総会市民公開講座開催のご報告 

平成24年5月21日
 日本病理学会では社会に開かれた学会活動の一環として、病理学会総会時に市民公開講座を開催している。今回の市民公開講座では、『我が国における最先端のがん治療』と題して、市民の皆さんにがん治療に関する最新情報を提供した。産婦人科医や小児科医等の不足が社会問題化し、新聞やTV等のメディアが取り上げるに至って官民一体となった取り組みの結果、その減少には歯止めがかかり現在では改善傾向にある。翻って病理医の充足度はどうかというと、病理医の最低必要な医師数は現状の3.8倍であり、最も足りないのが現状である[「医師確保のための実態調査」(日本医師会発表資料2008)]。このような観点から、今回の市民公開講座では、がん治療の最新情報に加えてがんの診断や治療法策定における病理医の役割や病理医の置かれた現状についても強調し、200人を超える多くの市民、患者会の方にご出席頂いた。
 4人の先生にご講演頂いた。まず、中村清吾先生(昭和大・教授)から、乳癌の診断によってその後の治療方針が決まるため、病理診断が如何に重要かということを分かり易くご講演頂いた。次の田邉稔先生(慶應大・准教授)から、従来の開腹手術から内視鏡下での手術まで患者負担の軽減を目指した外科手術の進歩についてご紹介頂いた。続いて、病理学会会員を代表して増田しのぶ先生(日本大・教授)からは、病理診断の実際と必要性について分かり易くご講演頂き、最後に畠清彦先生(がん研究有明病院・部長)から最近発売された分子標的薬の効果や副作用について、またそれらを実施するにあたり病理診断が如何に必要であるかを強調して頂いた。座長は、坂元亨宇先生(慶應大・教授)と松本陽子さん(愛媛おれんじの会・理事長)が努められ、パネルディスカッションでは会場からの多くの質問があったため、時間一杯対応をして多くの質問に回答を行った。
尚、今回は読売新聞、朝日新聞を始め計4紙で紹介頂いた他、当日は3名の記者が参加された。このような日本病理学会の活動が、市民の皆さんの病気や治療に関する正しい理解とともに病理への関心の向上の一助になれば幸いである。

<市民公開講座の様子(共催:中外製薬株式会社)>

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座長  左:坂元亨宇 先生(慶應大・教授)  
右:松本陽子さん(愛媛おれんじの会・理事長)

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左:田邉 稔 先生(慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科)    
右:中村清吾 先生(昭和大学医学部 乳腺外科) 

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左:畠 清彦 先生(公益財団法人がん研究会有明病院 化学療法科・血液腫瘍科)
右:増田しのぶ 先生(日本大学医学部 病態病理学系病理学分野)


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パネルディスカッション風景