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早期・進行性乳癌におけるHER2判定の変更についてのご報告

トラスツズマブ病理部会よりHER2検査ガイドの改訂の報告がございましたのでお知らせ致します。

医療業務委員長
根本 則道

ASCO/CAP ガイドラインの準拠に関して

 5月19日に開催されました第18回トラスツズマブ病理部会にて、HER2検査・判定の更なる精度向上ならびに精度管理を目指して、我が国におきましてもASCO/CAP ガイドラインを準拠することといたしましたので、ご報告申し上げます。
ご承知の通り、2007年にASCO/CAP HER2 検査ガイドライン(*2)が定められ、現在、 北米、ヨーロッパ、オーストラリア等においては、幅広くこのガイドラインが導入されております。
本邦におきましては、2001年6月にHER2陽性転移性乳がんを適応としてトラスツズマブの投与が認可となり、同時に提唱されたガイドラインに沿ってこ れまで治療の基本となるHER2過剰発現/遺伝子増幅の判定が行われてきましたが、更に2008年2月にトラスツズマブは術後補助療法の適応追加がなされ ました。このことにより、HER2検査の正確性は益々重要となってきており、更なる精度管理が求められているところであります。
以上を鑑み、我が国におきましても、より正確なHER2検査・判定を目指してASCO/CAPガイドラインを準拠することといたしました。HER2検査の 依頼元である臨床医・病理医、検査・判定にあたられる技術員・病理医の方々には、精度向上のグローバルスタンダードである旨をご理解の上、本件よろしくご 了解・ご協力の程お願い申し上げます。

なお、従来の判定基準に比べ、変更の要点は、以下の2点です。骨子は、equivalentの巾を広げre-testして精度を向上させようとするものです。
1. 対象は、免疫組織化学IHC法とFISH法。
2. Equivocalの巾を広げ、Re-test, re-countによる再確認を行う。
(1) IHC法の場合: 
 強い完全な細胞膜の陽性染色がある癌細胞の30%を超える場合を3+とし、陽性とする。(従来は10%以上)
(2) FISH法の場合: 
1.8-2.2をequivocalとしてFISH法のre-count(あるいはre-test)を行う。再度のFISH判定でもEquivocalの場合は2.0以上を陽性とする。

※詳細は新HER2検査ガイド 第3版(PDFファイル参照)をご覧ください。
>>新HER2検査ガイド 第3版(PDFファイル)はこちら

2009年9月吉日
トラスツズマブ病理部会(*1)
代表 長村義之


(*1)トラスツズマブ病理部会 
顧問: 坂元吾偉(坂元記念クリニック乳腺病理アカデミー・院長)
代表:
長村義之(東海大学医学部基盤診療学系病理診断学・教授)
笹野公伸(東北大学大学院医学系研究科・教授)
津田均(国立がんセンター中央病院臨床検査部病理検査室・医長)
徳田裕(東海大学医学部乳腺・内分泌外科・教授)
渡辺亨(浜松オンコロジーセンター・センター長)
戸井雅和(京都大学大学院医学研究科乳腺外科学・教授)

検討委員会
委員長:
津田均(国立がんセンター中央病院臨床検査部病理検査室・医長)
秋山太(癌研究会癌研究所病理部・臨床病理担当部長)
黒住昌史(埼玉県立がんセンター病理診断科・科長兼部長)
梅村しのぶ(東海大学医学部基盤診療学系病理診断学・准教授)
(50音順)

(*2) ASCO/CAP HER2ガイドライン
Wolff AC, et al.: J Clin Oncol 25, 118-145(2007)