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現在における剖検費の試算について |
平成17年1月18日
日本病理学会理事長 森 茂郎
日本病理学会医療業務委員長 黒田 誠
日本病理学会剖検・病理技術小委員長 谷山清己
数年来、病理学会の会員の皆様から、剖検費は現在いくらとして考えればよいのかという質問をされており、特に受託解剖をする場合に背景のしっかりとした料金設定が必要であり、早急に対応していただきたいとの要望をいただいておりました。
長きにわたり病理学会として正式に対応しておりませんでしたので、医療業務委員会の剖検・医療技術小委員会で人件費,施設にかかわる経費,剖 検の執刀にかかわる経費,標本作製にかかわる経費,診断にかかわる経費,その他の雑費等を詳細に検討し、1体約25万円という試算をいたしました。これは 卒後10年目の病理医が執刀し、介助と標本作製に臨床検査技師各々1名が担当した場合のモデルケースです。(病理医の労働時間は合計12時間と設定してあ ります。)
内容は以下の如くです。これをもって日本病理学会の私見とさせていただきます。
剖検費用 (一体につき)
項目 | 金額 | ||
1.人件費 医師 | ¥48,163.7 | ||
技師 | ¥18,711.1 | ||
2.遺体収集費(遺族への謝金) | ¥10,000.0 | ||
3.葬祭費(慰霊祭経費) | ¥5,000.0 | ||
4.剖検室使用費および剖検時関連諸経費 | ¥26,318.0 | ||
5.組織標本作製費 | ¥26,472.0 | ||
6.病理解剖特別検査費 | ¥14,076.2 | ||
小計A | ¥148,741.0 | ||
7.剖検診断費 | |||
(保険加算相当点数を参考とした場合) | |||
3臓器 | 880点x3 | ¥26,400.0 | |
細胞診(その他) | 190点x1 | ¥1,900.0 | |
組織診断料 | 255点x1 | ¥2,550.0 | |
検体検査管理加 | 300点x1 | ¥3,000.0 | |
免疫抗体法加算 | 300点x1 | ¥3,000.0 | |
電子顕微鏡加算 | 1200点x1 | ¥12,000.0 | |
組織培養陽性1臓器 | ¥3,010.0 | ||
動脈血培養陽性 | ¥3,896.0 | ||
診療情報提供料 | 520点x1 | ¥5,200.0 | |
小計B | ¥60,956.0 | ||
8.諸費 | |||
報告書作成費 | ¥10,000.0 | ||
光熱水道費 | ¥6,000.0 | ||
標本管理費 | ¥5,000.0 | ||
危険手当(医師,技師) | ¥15,000.0 | ||
剖検室清掃・遺体清拭料 | ¥5,000.0 | ||
小計C | ¥41,000.0 | ||
総計 | ¥250,697.0 |
人件費は国家公務員の給与を基盤に算定していますが、最低基準とお考え下さい。
報告書作成費は剖検診断書に該当し、診療情報提供料は剖検報告書内の臨床経過を含む症例の概略提示に該当すると解釈しています。
なお、遺体搬送費およびCPC等については含まれておりませんので、個々の症例の状況に応じ当事者間で御協議下さい。
また、現在論議されている医療関連死の症例についてはこの限りではありません。
この件につき、お問い合わせのある方は病理学会までお問い合わせ下さい。医療業務委員長が対応させていただきます。