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平成18~21年度理事長 長村 義之 ごあいさつ |
(社) 日本病理学会理事長 長村 義之
日本病理学会のホームペーをご覧いただきありがとうございます。
理事長を仰せつかっております長村義之(おさむら よしゆき)です。約4000名の会員を擁する日本病理学会のご紹介をさせていただきたく存じます。
まず、病理学という学問は、様々な疾患の特徴を解析し、原因を解明し、さらには有効な治療法を開発するなど、疾患(やまい:病)を理解す る伝統ある学問と言えます。その中には、実験的に実証する分野も含まれます。わが国から出される優れた研究成果は国際的にも高く評価されてきています。病 理学の実務面では、このような研究成果も踏まえ、長年培われた知識に基づいて、患者さんから採取された組織(内視鏡による胃粘膜など)を顕微鏡で観察し、 どのような疾患なのか(癌か良性かなど)を決定します。これは病理診断と呼ばれており、患者さんの治療の根幹となる最終診断です。このような、最終診断を 下す病理医は、病理学会に所属する医師(病理医Pathologistパソロジスト)であり、医学部卒業後2年間臨床研修を終えた後、4年間の病理専門医 教育を終え、実地も含めた試験に合格した病理専門医です。わが国で行われる病理診断は、学会が認定するこのエキスパート(病理専門医)によって行われてい ます。この病理専門医は、全国で現在約1900名であり、病院の看板などに公告できるようになっています。病理学において研究と診断は、車の両輪のような 関係で、両者がうまく協調して最先端の研究成果と最善の医療の提供が可能となります。例えば、現在男女とも疾患の罹患率が最も高いのは癌ですが、癌の治療 も、手術、放射線、化学療法に加えて、その"患者さんの癌"に最も適した治療"個別化医療"あるいは"分子標的治療"が最近実践されています。この際に、 有力な手段は最先端の研究成果・最新情報に基づいた病理診断です。病理医は、常に患者さんへ最先端かつ最善の治療が行われるように、研鑽しており、学会と してもあらゆる「生涯教育」の機会を提供して社会への責任を果たしてきています。
我々が、医療・社会に責任を果たして行く上で、学会として幾つかの課題に直面しており、短期、中長期的な視点から、積極的に取り組んでい ます。 その中の一つにすでに新聞などで報道されているように全国的な病理医不足があげられます。わが国の病理専門医の数は、米国に比べ、人口比にして約 五分の一と言われています。病理医を増やし、新しい研究成果や臨床情報を踏まえて、より有効な病理診断を提供してゆくために、多くの若手医師、医学部学生 に我々の魅力を示して行きたいと思っています。そのためにも、皆様が病理学、病理診断、病理医などを理解くださり、ご支援いただくことが不可欠と思いま す。どうぞ宜しくお願い申し上げます。
「病理診断てなあに?」をご参照ください。(2006年8月記)