第3部の根拠となる実証解析データ
[実証データ ⑫] 脱灰方法のゲノムDNAの品質に対する影響
- 歯肉扁平上皮癌により顎骨切除された同一症例において、ホルマリン固定後に、以下のブロックを作製し (FFPE)、合計20µm厚以上の薄切標本よりQIAamp DNA FFPE Tissue Kit (Qiagen)にてゲノムDNAを抽出し、以下のDNAの品質を比較した。
- #ルーチンの病理組織診断用にPlank-Rychlo法で急速脱灰したのちにパラフィン包埋
(Plank)
- #研究用に10%EDTAで緩徐脱灰したのちにパラフィン包埋 (EDTA)
- ホルマリン固定期間が数日以内かつEDTA緩徐脱灰を施行したFFPEブロックから、断片化の少ない ゲノムDNAが抽出できる場合がある(赤枠・赤矢印) (A)。
- EDTA脱灰でも脱灰前のホルマリン固定期間が長期にわたる場合は、ゲノムDNAの断片化(約500-300 bp程度)を認める (N)。
- ルーチンの病理組織診断用の急速脱灰(Plank-Rychlo法)では、ゲノム解析可能な品質のゲノムDNAの抽出は困難である (N)。
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