第2部の根拠となる実証解析データ

[実証データ ⑤] 核酸庇護剤のRNAの品質に対する影響

  • 同一症例手術検体の同一部位 (非癌部)より採取した2-3mm角ほぼ等大の組織片において、各種核酸庇護剤に浸漬して液体窒素中で一定期間保管後、TRIzol (Thermo Fisher)により全RNAを抽出し、その品質を比較した。
  • 比較する処理方法は以下のとおり。
    • #1: 摘出後速やかに核酸庇護剤を用いず液体窒素により急速凍結
    • #8: 摘出後速やかに核酸庇護剤Aに浸漬して液体窒素により急速凍結
    • #9: 摘出後速やかに核酸庇護剤Lに浸漬して液体窒素により急速凍結
    • #10: 摘出後速やかに核酸庇護剤Pに浸漬して液体窒素により急速凍結
    • #11: 摘出後速やかに核酸庇護剤Sに浸漬して液体窒素により急速凍結
  • RNAの品質評価は、2100 Bioanalyzerシステム (Agilent)によるRIN測定、増幅長994 bpのRT-PCR反応により行った。

核酸庇護剤のRNAの品質に対する影響

核酸庇護剤のRNAの品質に対する影響の表

  • 核酸庇護剤の種別により、RNAに対する効果にはかなりのばらつきがある。
  • 核酸庇護剤中で凍結した組織を核酸抽出手技に供した場合、核酸庇護剤を用いずに凍結した組織から核酸を抽出する場合に比して、核酸庇護剤の融解を待つ工程が増える等するため、抽出したRNAの品質がかえって低下する場合がある。