第2部の根拠となる実証解析データ
[実証データ ②] 急速凍結までの時間・保管温度のRNAの品質に対する影響
- 同一症例手術検体の同一部位 (非癌部)より採取した2-3mm角ほぼ等大の組織片において、急速凍結までの時間・保管温度を変えたのち (#1-#7)、TRIzol (Thermo Fisher)により全RNAを抽出し、その品質を比較した。
- 比較する急速凍結までの処理方法は以下のとおり。
- #1: 摘出後速やかに液体窒素により急速凍結
- #2: 4℃ 3時間保管後液体窒素により急速凍結
- #3: 4℃ 6時間保管後液体窒素により急速凍結
- #4: 4℃ 24時間保管後液体窒素により急速凍結
- #5: 室温 3時間保管後液体窒素により急速凍結
- #6: 室温 6時間保管後液体窒素により急速凍結
- #7: 室温 24時間保管後液体窒素により急速凍結
- RNAの品質評価は、2100 Bioanalyzerシステム (Agilent)によるRNA integrity number (RIN)測定、増幅長994 bpの逆転写 (RT)-PCR反応により行った。
- RNAの品質には臓器による差異があることがうかがえる。検討した限りでは消化管特に胃粘膜検体においては、肝に比して4℃長時間保管ならびに室温保管によるRNAの品質への影響が概して軽度である。
- このため、検証した全検体において解析すると、室温で長時間保管しない限りRIN値の低下は有意でない (P<0.05)。
- 但し、肝TSP-1・TSP-12においては、急速凍結までの時間・保管温度の差異によるRIN値の低下が顕著である。肝TSP-12・大腸TSP-9等において4℃保管6時間でRIN値の低下が開始している
- 多様な臓器の検体の悉皆的収集を行う施設等にあっては、摘出後急速凍結までを可及的に速やかに行うべきであり、 直ちに処理が出来ない場合も、4℃保管3時間以内で急速凍結を行うべきであると結論した。
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