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医療法における医療調査制度についての提言

日本病理学会理事長 深山 正久

 平成28年6月に行われた厚生労働省「医療法施行規則の一部を改正する省令(案)に関する御意見の募集について」を受け、日本病理学会では以下の提言を行いました。

※参照:厚生労働省HP


医療事故調査における病理解剖の現状と「提言」の背景
日本病理学会は、医療の質の向上のためには、病理解剖による医療の検証が必須であると考えており、一般の方に病理解剖への理解を訴えている(http://pathology.or.jp/ippan/byourikaibou.html)。
このため、医療事故調査における病理解剖の現状について、平成28年5月に全国大学病院および病理学会認定施設Aの計142施設を対象に、医療事故調査に関するアンケートを行った。その結果、126施設から回答を得、以下の点が明らかになった。

1) 日本医療安全調査機構から発表された医療事故報告数に対し、実施された病理解剖の数は約2割程度と推定された。
2) 都道府県別の病理解剖数では、最多が11件、最小0件と地域差が認められた。
3) 医療事故の届け出はされていないが、医療事故に密接に関係すると思われる症例についての病理解剖が、医療事故による病理解剖の1.5倍存在した。
4) 医療事故死の病理解剖の受け入れ体制について、取り決めがある施設は約半数であった。
5) 外部施設での医療事故死の病理解剖について、依頼があった場合に受け入れる方針を示している施設は約半数であった。
6) 医療事故死の病理解剖費用が決まっている施設は約半数であった。

提言
1. 今回の法改正について:
「病理解剖による検証を積極的に進めるための施策が必要である。」

具体的には、医療事故調査等支援団体協議会の中で、病理解剖を円滑に進めるしくみを作ることが重要である。特に、他施設からの病理解剖の依頼を受け入れる予定のない施設が約半数あるという現状が明らかとなった。受け入れられない理由として人的制約、経費の問題が多く挙げられていることから、病理解剖実施に対する支援体制の強化について対策を検討すべきである。

2. 医療事故の報告の適正化について
「報告対象の明確化、報告の適正化をはかるとともに、病院の管理者は、病理医を含めた検証担当者と情報を共有する院内体制を整備する必要がある。」

医療事故報告症例の病理解剖数について地域差があることが判明した。さらに、「医療事故に相当する可能性があるが届け出ていない症例」が存在し、通常の病理解剖として行われている可能性も指摘されている。医療の質の向上や地域差の無い医療体制の確立を目的とした医療事故調査制度を充実させるために、報告対象の明確化、報告の適正化は必須である。また、病院の管理者は、病理医を含めた検証担当者に適切な対応をとるとともに、情報を共有する院内体制を整備する必要がある。