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診療に関する警察への届出に対する日本病理学会の見解

平成13年10月12日 社団法人日本病理学会

1.医師法21条の死体検案に関する解釈と警察への届出について


 医師法21条は、犯罪の発見と公安を目的として設けたと考えられるので、医療過誤が明確で重大な健康被害のある症例については、刑法との関係で警察に届けるのが妥当である。病理解剖の途中で届出が必要になる事態もあり得るが、診療過程で起きる合併症のすべてがその対象になるとは考えられない。医療事故の疑われる例を警察に届けても適切な対応が得られないということや、警察が介入すると責任追及に終始し、予防のための検討や医療の質向上をめざす活動が著しく制限されるのが現実である。そのため対象範囲は限定すべきであり、法医学会「異状死ガイドライン」を見直し、別の観点から新たな規定をつくる必要がある。それよりも以下の項目が目的遂行のためには重要であることを申し添えたい。


2.医療者自らが問題例を検討する姿勢


 医療者は自らの社会的責任を果たすため、医療機関は診療科の枠を超え、医療従事者の責任において問題点を十分検討すべきである。それによって問題の重大さを認識する事が、医療事故防止への意識を高める近道である。客観的な批判に耐える公正な討議と内容でなければ情報開示の進む社会への批判に耐えることはできない。もし、医療事故の疑惑がある例すべてを警察に届け、自ら検討しにくい環境や社会状況がつづくなら、かえって医療の質向上の妨げとなり、医療への信頼回復はむずかしくなる。


3.客観的な検討を可能にする解剖(病理解剖ないし行政解剖)の推進


 事故予防策を重視して原因を解明するために、問題例のすべてを解剖する。客観性、信頼性を重視するので、行政解剖制度のある地域では行政解剖が妥当であるが、それ以外の地域では、他施設の病理医、法医学者の協力を得るなど信頼を確保できる方式のもとに病理解剖を実施し、問題の整理、原因の究明にあたる。そのために、病理学会としても目的にかなうよう病理医に十分な自覚と相互の協力を促し、資質の育成に努める。


4.医学会全体として討議し合意を形成することの必要性


 このような重大な問題は、個々の学会単位で見解を出して解決されるべき問題でない。学会ごとに意見の違いがあると社会を混乱させる。事故の予防活動を活発にするため、インシデントレポート並びに死因検討会における発言の免責等については医学界全体で、国家的な課題となっている医療事故に関わる問題であるとの認識のもとに、第三者機関の設置もふくめ国民の納得いく解決策を模索すべきである。日本医学会主催の公開シンポジウムを提案する。


 社会的により良い制度的な改善策が考えられるまでは、2、3の項目に述べたことが基本になるという点を強調しておきたい。