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病理学の研究でわかること

日本病理学会では、学会員が行なっている学術研究活動を広く知っていただくために、宿題報告担当者による研究の解説を公開しました。病理学の研究によってどのようなことが分かり、どのように医療に活かされていくのか、その成果がどのように市民に還元される可能性があるのか、についてご理解いただけることを期待しています。

日本病理学会宿題報告とは:
 日本病理学会では、病理学領域における特定の課題について卓越した業績を挙げていると判断された会員が、その課題の業績を日本病理学会総会において報告し、もって会員の病理に関する学術、医療の振興とその普及に資することを企図して「宿題報告」を設けています。
 その内容としては、1)国内外の評価のある業績であること、2)断片としての学術情報ではなく、体系として受け取れる内容であること、3)演者の示す問題把握のしかた、課題の解決法、学問観などが会員にとって大いに資するものであること、を要件としています。代表的な論文の学術的評価、その領域自体のもつ重要性や将来性、応募者の学術性や適格性などを含む多面的な判断基準によって学術委員会で厳正に選考されています。
 宿題報告は、明治44年(1911年)の藤浪 鑑先生による「日本住血吸虫-病理解剖的方面」に始まり、100余年の歴史の中で、古くは長与又郎先生、山極勝三郎先生、吉田富三先生など偉大な病理学の先達によって行なわれています。

>>「過去の宿題報告一覧」

※宿題報告順に掲載

    NEW
  • 悪性軟部腫瘍の正確な病理診断と新規治療法開発のための新たなアプローチ  小田義直 (九州大学大学院医学研究院 形態機能病理)

    私たちは、特に病理診断が困難とされています悪性軟部腫瘍の分子生物学的アプローチに基づいた正確な診断と、一歩踏み込んでテーラーメード医療に対応した分子標的治療を目指した研究を行っており、その研究成果の代表的なものをご紹介させていただきます。>>続きはこちら


  • NEW
  • 私達の行ってきた消化管間質腫瘍 (Gastrointestinal stromal tumor, GIST) の病態解析が著効を示す分子標的治療薬の開発に帰結  廣田誠一 (兵庫医科大学 病理学・病理診断部門)

    病理学の使命は病態の解明にあります。病理診断という、医療に直結した個々の患者さんの病態を把握する役割もありますが、基礎的な研究を通して病気の本態を明らかにし、その病気を持つ多くの患者さんの診断や治療に希望を与える役割もあります。私達は、稀少な腫瘍ではありますが消化管間質腫瘍 (Gastrointestinal stromal tumor, GIST) という特殊な腫瘍の基礎的な研究を行い、GISTの大部分がc-kitやPDGFRAという遺伝子の異常によって発生することを病理学的な研究を通して明らかにしてきました。その病態解明は、その後のGISTに対する分子標的薬の開発に結びつき、現在では多くのGIST患者さんの生命予後が改善しています。>>続きはこちら

  • NEW
  • 増殖因子の研究でわかること  笹原 正清 (富山大学 医学薬学研究部 病態・病理学講座)

    細胞増殖因子と言われる一群の分子は主として細胞の増殖や分化を制御し、生体の恒常性の維持に関与しています。その中で、私たちが実施してきた血小板由来増殖因子の研究について紹介します。元来、発がんや動脈硬化症の原因となることが推定されていましたが、研究の進展により、全身の様々な臓器で多彩な役割をはたしていることが明らかとなってきました。今後の再生医療や抗腫瘍療法等の標的分子としての可能性が期待されます。>>続きはこちら



  • 過剰鉄にご用心! 献血のすすめ  豊國 伸哉 (名古屋大学大学院 医学系研究科)

    活性酸素やフリーラジカルとよばれる反応性の高い化学分子は放射線・紫外線・薬剤などにより発生しますが、実は私たちのからだで常時発生しており、その多寡を決める重要な因子は鉄です。活性酸素は両刃の刃であり、外来細菌の殺菌に役立っていますが、重要な生体分子に傷をつけ、がんなどの病気の原因にもなっています。鉄は過剰になると触媒として作用し酸化ストレスを増強するのです。ここでは、過剰鉄が発がんのリスクであり、避けた方がよいことを示す最新の研究成果についてご紹介します。>>続きはこちら


  • 腫瘍微小環境におけるマクロファージの役割 -病理学から見たがん治療へのアプローチ -  竹屋 元裕 (熊本大学大学院)

    マクロファージは白血球の一種で、生体内をアメーバの様に動き回り、死細胞や変性物質を処理したり、細菌などの体外からの異物を貪食処理して、生体の恒常性維持に貢献しています。さらに、免疫担当細胞として種々の生理活性物質を産生し、多くの炎症性疾患、動脈硬化、肥満、がんなどの様々な疾患の病態形成に深く関わっています。私たちは、マクロファージに特異的に発現するスカベンジャー受容体の解析を通して、生体内におけるマクロファージの役割を研究しています。本稿では、がんの増殖に対するマクロファージの役割についてご紹介します。>>続きはこちら


  • 免疫応答の秘密を探る  笠原 正典 (北海道大学大学院医学研究科)

    私たちは個体の免疫応答を支配する主要組織適合遺伝子複合体を研究対象としています。これまでに、この複合体のゲノム構造や主要組織適合遺伝子複合体クラスI分子によって提示されるペプチドを産生するプロテアソームと呼ばれるタンパク質分解酵素の研究を行ってきました。ここでは、主な研究成果についてご紹介します。>>続きはこちら




  • 放射線耐性がんの克服  福本 学 (東北大学加齢医学研究所)

    細胞の放射線に対する応答は複雑で、科学的興味が尽きません。かつての医原病であるトロトラスト誘発肝がんの発がん機構の解析を行う中から、より有効ながん治療に貢献するような放射線治療に耐性を示すがんの分子機構の解明を目指しています。>>続きはこちら





  • 胃癌の発生を抑える胃粘液の糖鎖  中山 淳 (信州大学大学院)

    糖鎖は核酸、蛋白質に次ぐ「第三の生命鎖」とも呼ばれ、発生や免疫、がんなどの様々な生命現象と密接に係わっています。私たちは胃粘液に含まれているα1,4結合型N-アセチルグルコサミン含有糖鎖が二つの異なった作用機序により胃癌の発生を予防していることを明らかにしました。ここでは、その研究成果の一端をご紹介いたします。>>続きはこちら




  • 細胞間接着装置タイト結合はホメオスタシスを維持し治療の標的となる  澤田 典均 (札幌医科大学)

     タイト結合は,細胞と細胞の"すきま"をシールし,そのすきまを通る分子の通過を調節して生体の恒常性(ホメオスタシス)を維持します.また血管の内側を覆っている内皮細胞のタイト結合は,脳や網膜などを守っています.タイト結合機能の破綻は,下痢,黄疸,糖尿病網膜症で認められています.私たちは,タイト結合機能の調節機構を解明し,治療に応用することを目的としています.例として糖尿病網膜症を中心に紹介します.>>続きはこちら



  • がん発生のメカニズム解明に欠かせない動物モデル  中村 卓郎 (公益財団法人がん研究会がん研究所)

     分子生物学やゲノム科学の最新技術が導入され、診断法や治療法が格段に進歩したとはいえ、がんには未解明な部分が多く残されています。とりわけ早期発見や治療が困難ながんほど、その特性を理解し、発生に至るメカニズムを解明することが急がれています。ゲノム・エピゲノム解析など解析技術の革新的な進歩により、多くのがんの病態が遺伝子レベルで明らかにされつつありますが、従来から行なわれてきた動物モデルを用いた実験もいまなお重要です。また、動物モデル自体も格段に進化を遂げています。私たち(以下一人称で)発がん研究部は、遺伝子を操作あるいは改変してヒトと同じがんをマウスに発生させることにより、多くの研究成果をあげています。>>続きはこちら


  • がんの浸潤と転移のシグナルネットワークを探る  宮園 浩平 (東京大学)

     私たちは、β型トランスフォーミング増殖因子(TGF-β)というタンパク質の働きを通じてがんの浸潤や転移の分子機構を明らかにしてきました。多くのがんは上皮細胞という細胞からできていますが、TGF-βは上皮細胞ががん化していく上皮?間葉分化転換(EMT:Epithelial-Mesenchymal Transition)という現象を促進します。一方で、TGF-βはがんに侵入してくる血管の新生やがんの元となるがん幹細胞にも作用することが明らかとなっています。TG F-βは、がんの種類やそれぞれのがんの特質によってがんの進行を促進したり抑制したりすることが特徴ですが、私たちはTGF-βの働きを理解することでがんの浸潤と
                 転移という複雑なプロセスの理解を深めることができると考え、研究を行っています。>>続きはこちら


  • 慢性炎症から癌が発生する:潰瘍性大腸炎‐大腸癌系の観察から新概念を導く  岡安 勲 (北里大学)

     慢性臓器炎-発癌系を提唱し、この概念を証明するために潰瘍性大腸炎-大腸発癌をモデルとして検索し、潰瘍性大腸炎から癌が発生しやすい理由として、反復ないしは持続する炎症によって大腸粘膜上皮細胞にDNA傷害が蓄積し、また癌抑制遺伝子p53の変異が早期に生じることから、癌細胞が出現するリスクが高まることがわかりました。従って、癌発生を予防するには炎症の状況を常に把握して、炎症を適切にコントロールすることが重要です。>>続きはこちら



  • 「難治性の膵がんを糖タンパク質「ムチン」の高感度分析法で早期診断する」  米澤 傑 (鹿児島大学)

     私たちは、膵がんと膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN:Intraductal papillary mucinous neoplasm)では、糖タンパク質の一種「ムチン」の発現パターンが違っていることを発見し、そのパターンの違いを、わずかな量の膵液の分析で検出できる新しい「MSE(Methylation specific electorophoresis)法」を開発しました。この新しい検出法で膵液を分析し、致死率の高い膵がんの早期発見や、他の膵腫瘍での手術の必要性の有無を含めた治療方針決定の指標を示すことを目標にしています。>>続きはこちら



  • 「細胞間を埋めているマトリックス・タンパク質が、難治性の慢性炎症を調節している」  上出 利光 (北海道大学遺伝子病制御研究所)

     私達の体の組織は、働きの異なる色々な細胞が集まって出来ていますが、実は、マトリックスというたんぱく質で、細胞の隙間が埋められています。お肌の張りが無くなって来たと、コラーゲンやプロテオグリカン入りの化粧品を使っておられる女性が多いと思いますが、それもマトリックス蛋白なのです。私達は、細胞を取り囲んでいるマトリックス蛋白が、色々な慢性の難治性の炎症に重要な働きをしている事を発見し、マトリックスをターゲットにしたお薬の開発に取り組んできましたので、その一端をご紹介します。>>続きはこちら


  • 「乳癌は何故閉経期前後の女性で多く発症するのでしょうか?」  笹野 公伸 (東北大学)

     乳癌患者さんの多くはその発症、進展過程でエストロゲンを中心とする女性ホルモンが欠かせない働きをしてます。しかしその多くは血中のエストロゲン値が低くなる閉経期前後で見つかります。この原因として乳癌では血中の副腎から分泌される弱い男性ホルモンを癌組織局所でアロマターゼと呼ばれる酵素によりエストロゲンに転換して癌細胞に作用するイントラクリノロジー(Intracrinology)と呼ばれるホルモン作用機序が関係している事が分かってきました。 そこでここではこのIntracrinologyと呼ばれる新しいホルモンの作用が女性の方々が年を重ねるとどのように関係してくるのかも含めて紹介させていただきます。>>続きはこちら


  • 「ウイルスとがん ―EBウイルス胃がんの研究―」  深山 正久 (東京大学)

     エプスタイン・バー(EB)ウイルスは、バーキットリンパ腫、上咽頭がん、そして胃がんの10%に関連するヒト腫瘍ウイルスです。EBウイルス胃がんでは、感染した胃上皮細胞のDNAメチル化というエピジェネティクス異常が、がんの発生に重要であることが判明しました。ウイルスの増殖をDNAメチル化によって防ごうとする細胞側の仕組みが、過剰に細胞自身にも働いてしまっている可能性があります。これらの仕組みを解明することは、がんの新しい治療法の開発につながります。>>続きはこちら



  • 「胃がんの病理組織から診断・治療に応用できる新しいターゲットを発見する」  安井 弥 (広島大学)

     私たちは、実際のがん組織片や培養がん細胞を研究対象として、そこで機能している遺伝子を網羅的に解析し、正常の組織や細胞と比較することによって、がんがどのように発生し広がっていくかの詳しい仕組みを明らかにするとともに、新しい診断や治療のターゲットを見つけ、それを日常臨床に還元する先進医療開発の基礎的研究を行なっています。ここでは、特に胃がんについての研究のアプローチと得られた成果の一部をご紹介します。>>続きはこちら



  • 「がんの病理研究からがんの免疫・がんワクチン開発へ」  佐藤 昇志 (札幌医科大学)

     がんの免疫によるコントロールを目指し、今日まで多くの研究がなされてきました。その結果、長い間待望されていたがんワクチンが抗体創薬では臨床ですでに一部実用化され、もうひとつの大きな期待、がんペプチドは実用化一歩手前といえます。病理学は、患者さんのがんの組織を直接解析するために、これらの治療法を患者さんに適応する際に、きわめて大きな役割を担ってきています。そして、今後も病理学的研究や解析がますます重要になってくると思われます。それらの一端をご紹介します。>>続きはこちら


  • 「急増する前立腺がんに立ち向かう基礎的研究」  白井 智之 (名古屋市立大学 名誉教授・名古屋総合リハビリテーションセンター長)

     最近急速に増加している前立腺がん。「原因は何か、増えないようにするにはどうしたらいいか、より良い治療法はないか」など前立腺がんを取り巻く重要な課題について病理学的な立場から少しでも解明したい気持ちで取り組んでいます。前立腺がんの発生機構、発生予防法、治療法を明らかにする手立てとして、ヒトの前立腺癌に類似した動物モデルを確立し、そのモデルを用いて種々の研究を進めています。ここではその研究成果についてご紹介します。>>続きはこちら


  • 「マクロファージを活用した診断・治療法の開発をめざす」  内藤 眞 (新潟大学)

     私たちは、マクロファージを対象として、その機能と機能の調節機構を研究しています。マクロファージは体中に存在し、代謝および感染症やがんなどの病変の中で重要な役割を果たしています。その作用の仕組みを研究することによって、病気の診断や治療に役立てることができます。ここではマクロファージの分化因子とマクロファージのスカベンジャー受容体について研究成果の一部をご紹介します。>>続きはこちら




  • 「光で拓く生体組織イメージング」  高松 哲郎 (京都府立医科大学)

     現在医療の現場においてCT、MRIなどのイメージング機器の果たす役割は大変大きいですが、これらのイメージング技術は原理的に低い時間・空間分解能や大掛かりな設備が必要などの問題点があります。一方、光を用いたイメージングは、分子を直接観察できる高い空間分解能とミリ秒のスピードで画像の取得が可能な高い時間分解能を持つとともに、大掛かりな設備は不要なため、病態の解析を簡便に行うことができます。>>続きはこちら


  • 「がんの微小環境と浸潤・転移」  落合 淳志 (国立がん研究センター東病院臨床開発センター)

    写真  「がん」とは、様々な臓器において遺伝子異常の蓄積したがん細胞が異常に増殖し、周りの組織を破壊、離れた臓器に転移・進展する悪性の腫瘍ですが、病理組織学的には、「がん」はがん細胞と炎症細胞、血管・リンパ管、線維芽細胞、細胞外基質などの間質組織より作られています。「がん」の進展は、がん細胞とその周囲組織から作られる微小環境が重要な役割を果たしていることが明らかになってきています。私たちは、がん組織を構築する間質線維芽細胞に注目し、がん間質線維芽細胞の由来や生物学的機能そしてがん細胞への影響を明らかにすることで、がん浸潤・転移機構を理解し、新しい診断法や治療法を検討してきました。 >>続きはこちら


  • 「腎不全への進行阻止を目指した研究戦略:基礎研究からの提言」  追手 巍 (新潟医療福祉大学)

     人工透析や腎移植しか治療法が無いと言われた慢性腎不全の患者数は年々増加し、日本全体で30万人を超えています。また、この予備群である慢性腎臓病の患者数は1,300万人を超え、新しい国民病としてとらえられています。ここでは私どもの腎不全への進行阻止を目指した基礎研究とその成果を紹介します。>>続きはこちら




  • 「肝発癌モデルを通して生体内に癌が発生するメカニズムを解明する」  小川 勝洋 (旭川医科大学 名誉教授)

     私たちは動物の肝発癌モデルを通して生体内に癌が発生するメカニズムを研究しています。肝癌ができるときには、最初にまれな頻度で正常肝細胞が前癌肝細胞に変化します。このような細胞は発癌のプロセスの最初の細胞という意味でイニシエ-テット細胞と呼ばれます。前癌肝細胞は正常では肝組織内ではじっとしていますが、肝臓が慢性的に障害を受けると選択的に増殖して前癌病変を形成します。前癌肝細胞が増殖を繰り返えすと、またまれな頻度で一歩癌細胞に近づいた細胞に変わり、そのようなプロセスを重ねることによって多段階的に肝癌細胞が誕生します。>>続きはこちら


  • 「大腸がんの発生と予防を考える ー動物モデルを基礎としてー」  森 秀樹 (岐阜大学 学長)

     がんの発生と予防を研究するのに動物モデルは有用です。私の研究グループは大腸がんの発生と予防を研究する幾つかのモデルを提唱し、大腸がんの発生の早い段階の変化にどの様なものがあり、それらは遺伝子のレベルで如何なるものか、大腸がんの発生に内在・環境要因がどの様に関わるか、大腸がんの発生予防にはどの様な物質が有効で、それらはどの様に働くか、について検討してきました。ヒト大腸がんの発生と予防を理解する上で参考になれば幸いです。>>続きはこちら



  • 「自然免疫から、胆管疾患の成り立ちを考える」  中沼 安二 (金沢大学)

     胆管は、腸管と直接連続しており、そのため胆管には自然免疫を含めた感染防御機構が発達しています。胆管系疾患の成り立ちに、自然免疫が関連している疾患があります。特に、胆管上皮ではトル様受容体(TLR:Toll-like receptor)の発現があり、腸内の病原体成分がこれら受容体を反応し、胆管上皮そのものが免疫病理現象に関連し、胆管系疾患の発生と進展に関連します。これらの自然免疫の病理現象を明らかにし、疾患を治療することが可能になると期待されます。>>続きはこちら



  • 「サイトメガロウイルスの胎内感染によって如何に脳障害が生ずるか」  筒井 祥博 (浜松医科大学 名誉教授)

     サイトメガロウイルス (CMV)は胎生期に胚や胎児に感染して脳障害を起こします。初期胚および神経発生 のはじまりの幹細胞が時間的および空間的にダイナミックに変化して形態形成、脳形成が行われています。 私たちは、神経親和性のある CMV がこの過程で如何に細胞特異的な感染感受性を示し、個体の発生、脳形成 および神経系細胞の分化の異常がもたらされるか、その病態についてマウスを用いた実験モデルで研究してきました。ヒトの症例との類似性を考慮し、解析可能なモデルとして紹介します。>>続きはこちら



  • 「動脈硬化症の新しい診断、治療、予防法の開発に向けた病理学からのアプローチ」
    居石 克夫 (国立病院機構福岡東医療センター 研究教育部・九州大学 名誉教授)

     動脈硬化は年齢とともに進行し、脂質異常症、高血圧、糖尿病、肥満等の種々の生活習慣病や喫煙等の生活習慣により促進されます。動脈硬化を基盤に発症する血管病は、死亡の原因となったり著しい生活の質的低下をもたらします。動脈硬化は「何故」、「どのようにして」、「どこに起こるのか」について進めてきた私達の研究成果の一部を紹介し、この分野における病理学的研究を基礎に展開されている臨床での具体的な応用例について述べます。>>続きはこちら



  • 「細胞外マトリックス分解酵素と病気」  岡田 保典 (慶応義塾大学)

     私達は、細胞間に存在する細胞外マトリックスやそれに結合した増殖因子・サイトカイン・ケモカインなどの生理活性物質を分解(代謝)するメタロプロテアーゼを標的として、ヒト悪性腫瘍におけるがん細胞の浸潤・転移、関節疾患での関節組織破壊、呼吸・循環器疾患などでの組織破壊におけるメカニズムについて研究しています。これらの疾患におけるメタロプロテアーゼの作用解析は、医学・医療の発展にも関わらずなお難治性疾患として残されている種々の疾患に対して、新規の診断法や治療法開発につながると期待しています。>>続きはこちら


  • 「ピロリ菌を除菌して胃がんを予防する」  立松 正衞 (元愛知県がんセンター研究所副所長)

     私たちは、胃がんの発生、進展ならびに発がん過程の修飾要因を動物実験とヒト臨床病理の両面から検討し、今後の胃がんの診断、治療ならびに予防への基礎的な情報を提供することを目的として研究を進めています。ここでは、胃がん細胞の分化異常とHelicobacter pylori (ピロリ菌)感染の胃がんの進展への影響について、研究成果の一部を紹介します。>>続きはこちら



  • 「炎症が持続する局所から悪性リンパ腫が発生する」  青笹 克之 (大阪大学)

     感染症からの生体の防御やがんなどの悪性腫瘍の発生を抑制する機能を担うリンパ球が無制限に増殖して腫瘤を形成し、治療しないと死に至る疾患を悪性リンパ腫と呼びます。悪性リンパ腫の中には炎症が持続している局所に腫瘍が発生する例があることに注目してきた私はその代表的な例として世界に先駆けて膿胸関連リンパ腫(pyothorax-associated lymphoma: PAL)を報告しました。PALは現在世界的によく知られています。このような研究を通じて、腫瘍の予防につながるヒントが得られるものと考えています。>>続きはこちら


  • 「消化管粘膜における生体防御の仕組みとその破綻による粘膜障害 ― 粘膜は生体防御の司令塔」
    名倉 宏 (東北大学 名誉教授)

     粘膜組織は生体と体外環境を境界し、生体に必要な物質の選択的な取り込みと体外からの様々な抗原物質の侵襲に対抗するための防御機能を備えた機能的構造的単位を構成しています。さらに粘膜系は全身の炎症免疫反応をコントロールしています。こうした粘膜での生体防御反応は神経内分泌系と密接な連関を有していることが知られています。この粘膜系の生体防御反応が破綻することにより、体外から抗原物質が生体内に侵入して炎症反応が暴走した場合、粘膜に炎症が起こり、びらんや潰瘍が形成されます。>>続きはこちら


  • 「がん遺伝子RETの発見によるがんの診断・治療への貢献」  髙橋 雅英 (名古屋大学)

     私たちが研究を始めた1980年頃はヒトのがんがどのようなメカニズムで発症するのか全くわかっていませんでした。80年代に入り、ヒトのがん細胞で変異が起き、がん発生の引き金になっている遺伝子異常を同定する方法が開発されました。その結果、さまざまながん細胞で変異が存在するがん遺伝子、がん抑制遺伝子とよばれる遺伝子の発見につながりました。私自身、1985年にRETと名づけたがん遺伝子を発見し、その変異が甲状腺がんや多発性内分泌腫瘍症2型とよばれる遺伝性がん、さらに最近では肺がんに存在することが明らかになり、これらのがんの診断や治療法の開発に応用されています。>>続きはこちら