2011年8月アーカイブ

2011年8月 8日

第59回(平成25年度)秋期特別学術集会会長ならびに第103回(平成26年度)学術集会会長の募集について(公募のお知らせ)

社団法人日本病理学会は、第59回(平成25年度)秋期特別学術集会会長ならびに第103回(平成26年度)学術集会会長を以下のとおり募集いたします。

学術評議員各位
平成23年7月
社団法人日本病理学会
理事長 青笹 克之

 日本病理学会秋期特別学術集会(秋期特別総会)の会長ならびに学術集会(春期総会)の会長は、定款施行細則の定めるところにより、いずれも理事会が選考し、総会において決定しています。
 ここに、第59回(平成25年度)秋期特別学術集会会長ならび第103回(平成26年度)学術集会会長を、下記の要領により募集いたします。


  1. 応募は自薦であること。
  2. 応募者は、第59回秋期特別学術集会会長の場合は平成25年11月1日に、また、第103回春期学術集会会長の場合は平成26年4月1日にそれぞれ満65歳以下の日本病理学会学術評議員であること。
  3. 第59回(平成25年度)秋期特別学術集会会長の応募は、関東地区からの限定とすること
      (なお開催地は、会長所属機関と異なる利便性の高い場所を選択することもできる)。
  4. 応募者は、日本病理学会学術集会改革案(平成18年5月1日決定 会報221号平成18年6月掲載)の趣旨を踏まえて、所定の用紙に学術集会に対する考え方、学術集会の具体的な実行計画、日本病理学会及び関連学会において近年に行った主要な学術活動等を記載すること。
  5. 応募の締切りは、平成23年9月30日(消印有効)までとすること。

なお、所定用紙の交付または本件についての質問がありましたら、本学会事務局までお問い合わせください。

日本病理学会の一般社団法人、公益社団法人選択に関する報告に対する質問・意見の公募

従来の公益社団法人は、平成20年12月1日の新社団法人・財団法人制度施行後は、特例民法法人として存続していますが、平成25年11月末迄に、 新制度での一般社団法人又は公益社団法人のどちらかに移行しない場合は、解散しなければなりません。日本病理学会(特例民法法人)では、向井副理事長を委 員長とした検討ワーキンググループで、一般社団法人・公益社団法人選択に関する検討を行いました。この検討ワーキンググループでの検討内容を踏まえ、理事 長、常任理事会は、『一般社団法人を選択する。しかし、今後公益社団法人制度の運用状況、一般社団法人を選択した他学会の動向を十分調査し、その後の公益 社団法人化を検討する』との方針をとる判断をし、この方針は2011年3月の理事会で承認されました。一般社団法人・公益社団法人選択の利点・不利益点と この方針は、第100回日本病理学会総会の時に開催された会員総会で報告され、同時に一般社団法人申請に向けて準備を行うことも報告されました。その時の 報告内容は、以下の通りです。この報告に関する御質問、御意見がございましたら、メール又は文書で事務局迄お送りください。

1)一般社団法人・公益社団法人選択の要点
事業内容が主に公益事業の一般法人は、申請すれば公益社団法人として認可され、税制上の優遇が与えられます。しかし、それと引き換えに事業活動、財政運営における制約が課され、それ等において行政庁の厳格な監督を受けなければなりません。法人の組織運営機構(内部統治機構)は、社員総会、理事、理事会、監事を置く一般社団法人と公益社団法人との間で基本的な相違はありません。従って、一般社団法人、公益社団法人選択における要点は、『公益社団法人での税制上の優遇事業活動、財政運営における制約、行政庁の監督を天秤に掛けた時どちらの方にメリットがあるか。』ということであります。

2)結論
現在の日本病理学会の財政運営状況から判断すると、公益社団法人での税制上の優遇のメリット少なく、又新公益法人制度下での行政庁の監督の基準、範囲、程度も不明確でありますので、取りあえず一般社団法人を選択し、一般社団法人申請の準備をすることにしました。一般社団法人になった後でも、公益社団法人になることはできますので、公益社団法人制度の運用状況、一般社団法人を選択した他学会の動向を十分調査して,今後公益法人化も検討することにしました。

3)一般社団法人と公益社団法人の比較表

一般的項目、運営等に関する項目についての比較
比較項目 公益社団法人 一般社団法人
名称 公益法人の名称による社会的信用の増加  
事業内容 現在の事業内容を変更する必要はない 同じ
定款の変更 一般社団法人法に適合した定款変更案を作成する。 同じ
理事・理事会・監事等運営機構 運営機構は、一般社団法人と同じ 運営機構は、公益社団法人と同じ
情報開示 誰でも閲覧可能とする 公告など必要最低限
申請 申請書、定款・定款の変更案、事業計画書、収支予算書、財産目録、貸借対照表、その他の財務書類、役員報酬基準等、 申請書、定款・定款変更案、公益目的財産額及びその計算を記載した書類、公益目的支出計画書等、


税制優遇と財政運営での制約、監督に関する事項の比較
比較項目 公益社団法人 一般社団法人
法人税 公益目的事業の利益は非課税、収益事業の利益を公益目的事業に充当することにより、法人税を軽減できる。病理学会では数十万円か 非営利法人では公益事業の利益は非課税、税法上の収益事業のみ法人税を課税
寄付金控除 企業や個人は寄付金控除により、寄付金の額を所得から控除できる。学術集会の開催やその他の学会事業への影響はほとんどない 寄付金控除はできない。
利子に関わる源泉所得税 非課税。本学会ではメリットは少ない 課税
公益認定基準 公益事業50%以上、収支相償(公益目的の収入は原則費用を超えてはならない)、遊休資産制限:病理学会では基準を逸脱することはない 収支相償、遊休資産制限はない
公益目的支出計画(公益目的財産額に相当する金額を公益のために消費していく計画)の作成が必要となる。
行政庁の監督 毎年認定基準に適合しているかを確認する。立ち入り検査、勧告、命令、認定取り消しがあり得る。実際には、最大限の努力をするので、取り消しの可能性はない。 公益目的支出計画実施中は報告義務あり。公益目的支出計画の変更には承認がいる。計画が適正に実施されていないと立ち入り検査、勧告、命令があり得る。公益目的支出計画完了後は、監督を受けない。
会計 遊休資産は1年分の事業費相当額以下とする。将来の事業に備えて特定事業準備金を積み立てることがでる。学術振興基金と国際交流基金は支出計画を立てて毎年支出する必要がある。減少分は特定事業準備金を積み立ての増加で相殺され、基金は全体としては減少しない 遊休資産の保有額に制限はない。公益目的資産を学会の事業のために支出して減らす必要があるが、会費収入が積み立てられるので全体の資産は減少しない。
監査 外部監事による決算の監査が望ましい。 外部監事は必ずしも必要としない。
会費 現行からの変更はない 同じ
資産の保全 現在の資産は、保全できる 同じ

2011年8月 2日

剖検輯報第53輯の登録について

東日本大震災,福島第一原子力発電所事故,そして記録的豪雨等により大きな被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申しあげます。

 剖検輯報第53輯(2010年1月~12月の剖検分)の登録は平成23年9月1日~同年10月31日までの予定で、現在、諸書類を準備中です。登録骨子は前年に準じます。
 コンピュータ入力は、バージョン2あるいはバージョン3.5をご使用ください。(CDの再送付の御希望は早めにご連絡下さい。)
バージョン3.5はVista, Windows7でも使用できます。
メディアは、FD、CD、およびMO(640Mb以下)が可能です。

天災に遭われ今回の登録が困難な御施設は、どうか病理学会事務局までご連絡ください。

(社)日本病理学会剖検情報委員会

平成24年/25年度役員選挙:新役員当選者 所信表明一覧

地方区選出理事(選出区分1)
地方区選出理事:6名

<北海道地区>
笠原正典  北海道大学医学研究科分子病理学

病理学の健全な発展のためには、疾患の理を追求する基礎研究、病理診断の現場に根差した人体病理学研究、基礎と臨床をつなぐ橋渡し研究、高い診断能力を もった病理医の育成、病理医の生涯教育がバランスよく有機的に行われることが不可欠であると考えます。また、医学生、研修医に病理学の魅力を知ってもらう 努力をさらに強化し、病理学の未来を担う若者をリクルートする必要があります。微力ではありますが、日本病理学会ならびに同北海道支部の発展に尽く
したいと思っております。

<東北地区>
八木橋操六  弘前大学大学院病態病理学講座

東北地方では大震災からの復興に向けてなお多くの努力が必要とされています。病理部門もその中で重要な役割を担っております。東北支部での病理診療、研究の充実、学会の発展に向けて微力ながら貢献できればと考えています。

<関東地区>
加藤良平  山梨大学医学部人体病理学講座

日本病理学会は100周年が過ぎ、次の世代に続く学会像を模索していかなければなりません。病理学という学域は大変懐が深く、基礎の生物学から臨床医学ま でを含んでいます。そのような学際的立場を踏まえた病理学会の役割は、優秀な病理診断医とともにリサーチマインドを持った病理医の育成にあると考えていま す。夢のある研究ライフと医師として社会貢献が両立できるのは、病理医の特権でもあると信じています。
日本病理学会の関東支部は、実に病理学会員の約4割弱が所属する最も大きな支部です。これまでの2年間、支部長として関東支部の運営、企画に携わってまい りましが、幸いにして、多くの方々のご助力とご支援のお陰で、関東支部の伝統を踏まえながら、活発で円滑な運営が出来たものと自負しています。
関東支部のさらなる発展と魅力ある病理学会の構築のために、少しでもお役に立てれば幸いと考えます。


<中部地区>
野島孝之 金沢医科大学臨床病理学

この度、日本病理学会中部地区選出理事、支部長選挙の立候補にあたり抱負を述べさせていただきます。日本病理医協会を経て、中部支部は歴代支部長のもと、 交見会と診断病理セミナーの開催、質の高いコンサルテーションシステムの構築、将来の病理学を担う若い人材の獲得と育成が図られてきました。私は伝統ある 中部支部のこの路線を継承し、中部支部および日本病理学会の発展に寄与、貢献したいと思っています。具体的には、学術集会や教育関連企画の更なる充実、 医・歯学生、検査技師、医療関係者と連携を計り、病理全体の裾野を広げる取り組みと交流、若い世代に病理学の魅力のアピール、支部会員の皆様の意見・要望 の日本病理学会の運営への反映を目指します。会員の皆様といっしょに努力していく所存でおりますのでなにとぞ宜しくお願い申しあげます。


<近畿地区>
伏木信次  京都府立医科大学分子病態病理学

私は、臨床医学の基盤を構成する病理学がさらに大きく発展することを願っています。そのためには、人体病理学、実験病理学という垣根を越えた学問的交流、 人的交流が不可欠であると考えます。そのような活動によってこそ病理学を志す若人を増加させることができ、多様な才能に恵まれた次代の人材を育成する道が 拓かれると信じております。私は病理学の更なる発展と病理学に携わっている方々の地位向上のために微力を尽くす所存です。今回私は、近畿支部選出の理事に 立候補いたしましたが、支部の運営に関しては、学術集会、各種講習会等の学術活動を活発に展開することによって、会員に病理診断能力を高める機会を提供す るとともに、広報活動の推進によって、病理医が医療の中で果たしている役割に関する社会の理解・認知度の向上を図りたいと考えます。さらに、支部会員のご 意見やご要望が日本病理学会の運営に反映されるよう努力いたします。


<中国四国地区>
吉野 正  岡山大学大学院病理学

この二年間、日本病理学会中国四国支部長を務めてまいりました。この間、支部の学術委員会、業務委員会、広報委員会、庶務委員会の役割をより明確にし、そ れぞれが適切に活動され、支部は順調に運営されてきたと評価するところです。学会では、市民公開講座委員長として、恒例化しつつある公開講座でのアンケー トを実施し、委員の方々と種々討議するとともに今後の開催の参考にしていただくようにしております。支部委員、診断講習会委員、教育委員では、それぞれ、 現状についての意見交換、公平で実りある講習会の実施、病理コア画像の取り扱いや夏の学校についてのワークショップ実施ということに参画いたしました。支 部長としては円滑な運営継続が最も重要な仕事ですが、学会での活動は緒に就いたばかりのところもあり、再度立候補するものです。ご支援のほどよろしくお願 いいたします。

口腔病理部会長兼全国区選出理事(選出区分3)
口腔病理部会長兼全国区選出理事:1名

山口  朗 東京医科歯科大学口腔病理学分野

私は、病理学を基盤として「口腔から全身を視る」「全身から口腔を視る」ことができる口腔病理医の育成を目指して口腔病理部会担当理事として活動してきま した。この間に、口腔病理専門医制度運営委員会の委員長として同制度の改善に取組み、病理解剖を含む全身の診断病理の基礎を保持し、口腔領域疾患の病理診 断に携わる優れた口腔病理医を育成するための環境整備を行ってきました。また、口腔領域疾患の基礎研究を推進し、口腔疾患の新たな疾患概念を創成すること ができる口腔病理医を育成する基盤環境を構築してきました。今後、日本病理学会を通して口腔病理医による診断業務の質の向上と社会的認知を高めるとともに 基礎と臨床の架け橋となる次世代の口腔病理医の育成に努力する所存です。さらに、病理医の方にも「全身から口腔を視る」ことの重要性をさらに深く理解して いただくことにより、日本病理学会の発展に寄与したいと考えております。

平成24年/25年度役員選挙:監事(選出区分4)所信表明一覧

監事候補者:掲載はABC順(4名)

井藤久雄  鳥取大学医学部器官病理

 病理学は医学教育、卒後教育と後継者養成、医療現場、医学研究において、その重要性を今、益々高めています。従って、100周年を越えた日本病理学会の 役割と任務はより拡大・多様化しています。世代交代は世の常であり、組織活性化の有効な手段でありますが、現在の日本病理学会ではそのうねりが大きく、潮 流はより速くなっているように思われます。私はこの10年間、日本病理学会倫理委員会委員長として取り組んでまいりました。医療倫理における病理学の任務 は、十分とは言えないまでもより明確なった、と思慮しています。今回、監事に就任させて頂きましたら、これまでの経験を活かし、断三者的立場から日本病理 学会の財務状況を監査して財務基盤強化に努めます。加えて、業務執行状況を常に俯瞰して会長や理事を補佐し、本会の多種多様な事業・業務の活性化に貢献す る所存です。


金井弥栄
  国立がん研究セ・研・分子病理

希望なし


中沼安二  金沢大学医学系研究科病理学

金沢大学医学系研究科形態機能病理学の中沼安二です。私は、昭和49年に金沢医学部を卒業し、本学会に入会し、以後、本学会を中心に、主に肝臓、胆道の病 理学的研究を行い、研究成果を発表して参りました。また、関連するいくつかの学会(肝臓学会、胆道学会、肝癌研究会など)におきましても、それぞれの学会 の病理領域での発展や運営に努力して参りました。平成16年~20年の4年間、日本病理学会中部支部長を務めさせて頂き、東海、北陸を中心とする中部支部 の発展と病理医の交流に努力しました。平成20年には第97回日本病理学会総会を金沢市で開催させて頂き、多くの会員に参加して頂きました。このような日 本病理学会や関連学会での経験を生かし、本学会に貢献したく、監事に立候補させて頂く事になりました。当選させて頂きましたら、監事として、微力ながら本 学会の発展に努力したく思っております。宜しくお願い申し上げます。


八尾隆史  順天堂大学医学部人体病理病態学

希望なし

平成24年/25年度役員選挙:全国区選出理事(選出区分2)所信表明一覧

全国区選出理事候補者:14名;掲載はABC順

深山正久  東京大学大学院医学系研究科

東日本大震災,その後の困難を乗り越え,規模縮小はありましたが第100回病理学会を成功裏に開催できましたこと,会員の先生方のご尽力,ご支援の賜物で あり,学会会長として深く感謝申し上げます.ワークショップ・オープンフォーラム公募,学会開催時座長,演題発表などで示された個々の会員の熱意,力量は 素晴らしいものでした.病理学の次の100年を築くエネルギーを実感し,「Diagnosis and Discoveryの学」としての病理学を皆様とともに強力に推し進めていきたいと決意を新たにしました.これまで三期六年の理事としての経験と実績(企 画委員長,専門医部会長)をもとに,学術活動のさらなる活発化,病理専門研修への公的補助要望などを通じた若手病理医のリクルートを目指します.国民の医 療に責任をもつ病理専門医の社会的認知を高め,生涯教育の充実を図ります.病理情報ネットワークを活用し,若手が積極的に参加する学会運営を進めます.ご 支援,お願い申し上げます.


福本 学  東北大学加齢研病理
今次の大震災で、海外を含めて病理関係者の連携による物的、精神的支援が復興に大きな力となることを痛感しました。一方、病理学会100年を経て、慢性的 な専門医不足と高齢化を迎えています。さらに公益法人を選択するか否かなど、学会を取り巻く環境は激変の一言です。今後の病理学会の発展に若手人材の育成 が第一であることは明白です。そのために①市民講座や他学会との連携などを通して、研究と臨床における病理の重要さを広く知ってもらう、②病院に病理科が あることによる医療へのメリットを検証し周知する、③医学を志す人材に、病理業務は意外と自分で時間をマネージできること、研究を通して考える楽しさを身 につけるために病理学は恰好であることのアピールに重点を置いて参ります。被災経験を活かして、蓄積した病理標本の保存・廃棄の道筋作りを含め、病理とし ての危機管理法や、学会としての迅速な被災地域への貢献法について提案して参ります。


樋野興夫  順天堂大学医学部病理・腫瘍学

「診断病理学」と「実験病理学」とそれをブリッジするダイナミックな「広々とした病理学」は、時代の要請であると考えます。病理学の在り方を静思し、日本 病理学会の存在を高らかに世に示す時であると思います。「広々とした病理学」とは、「病理学」には限りがないことをよく知っていて,新しいことにも自分の 知らないことにも謙虚で,常に前に向かって努力しているイメージであります。 (1)世界の動向を見極めつつ歴史を通して今を見ていく (2)俯瞰的に病 気の理を理解し「理念を持って現実に向かい、現実の中に理念」を問う人材の育成 (3)複眼の思考を持ち、視野狭窄にならず、教養を深め、時代を読む「具 眼の士」の種蒔き  第99回日本病理学会総会「広々とした病理学-深くて簡明、重くて軽妙、情熱的で冷静-」を主催させて頂きました。お陰様で大盛況で した。「病理学に新鮮なインパクト」を与えることが理事の使命と考えます。

黒田 誠  藤田保健衛生大学病理診断科

 私は全国区理事として、一貫して"医療としての病理学"の実践と啓発活動に全力を挙げて取り組んできました。高度先進医療における最終診断やセカンドオ ピニオンあるいは診療関連死の問題等で国民が病理に対して注目をし新たな視点から期待をしてきております。また、この間に「病理診断科」の標榜が実現し 「病理診断」が第13部として独立できました。国民は病理医の仕事の重要性を着実に認識しております。今こそ日本病理学会の社会における立ち位置とあり方 を真剣に考えていくとともに、医学生および研修医が"医療としての病理学"に魅力を感じる現場のあり方を検討し、実践していかなければなりません。病理が 医療に必要不可欠な存在であることを世の中に幅広くアピールをし国民から支持をしていただけるように尽力します。現在までの病理学会での多くの経験を基盤 として全力でがんばっていく所存でございますので御支援の程何卒宜しくお願い申し上げます。

仲野 徹  大阪大学医学系研究科病理学

病理学とは、疾患の原因・病因を探る統合的な学問分野であり、すべての医学部生は、病態を正しく理解できる医師になるため、最先端の学問分野としての病理 学を身につけなければならない。大阪大学医学系研究科・病理学の教授に就任してからの7年間、このような考えに基づき、教育および研究に勉めてまいりまし た。また、昨年度からは学術委員会委員として、病理学会の学術の発展に努力して参りました。病理学の重要性と魅力を広く発信するとともに次の世代に伝え、 さらに発展させていくことが、病理学教室に籍を置く私に課された何よりの責務であると考え、非力ではありますが、日本病理学会のお役に立てればと、今回の 選挙にあたり、思いを定めるにいたりました。何卒、ご理解をいただき、このたびの理事選挙(全国区)への立候補につきまして、ご支援を賜われば幸甚に存じ ます。

根本則道  日本大学医学部病理学分野

平成20年の医療法改正は病理診断科の開業を可能とし、診療報酬改正による病理診断(第13部)の独立は病理医の社会的認知度の向上に繋がりました。ま た、22年の改正では病理診断料の増点(500点)と診療所での算定が認められ、細胞診断料(240点)が新設されました。しかし、現行の病理診断料と細 胞診断料の算定には様々な制約があり、医療現場における実情と大きく乖離しています。国民のための良質な医療は病理医により担保されると言っても過言では ありません。従って、病理医の育成は病理学会の責務です。病理医育成には病理診断に関わる医療環境を魅力あるものに整える事が必須です。私は医療業務委員 長として社会保険委員会と共にこの問題に真剣に取組んできました。将来を担う若い医師が病理医を職業選択として選ぶことができる医療環境を整備するために 理事として誠心誠意努力する所存です。会員の皆様の力強いご支援をお願い申し上げます。

落合淳志  国立がん研究センター東病院 

これから10年余りで、日本は世界的に経験のない超高齢化社会に突入し、患者数は急激に増加すると思われます。病理医数が減少する半面、分子標的治療の導 入、治療法の多様化、診断の複雑化および専門化が進み、医療訴訟や診断精度管理など病理医への要求は厳しくなると考えられます。このような山積した問題に 対処するには、病理医の育成はもちろん、病理診断に不必要な病理学的記載を省き、規約の統一化・簡素化を行うなど病理診断のための基盤を早急に整える必要 があると考えます。この問題は、病理学会単独で解決できるものではなく、臨床諸学会および厚労省と連携し、新しい病理診断のための社会的基盤を形成し、病 理診断の精度管理体制を確立する必要があると思われます。私はこれまでの病理診断、取扱い規約作成、標的治療診断確立などの経験を生かし、今後の病理診断 の基盤整備を不断の努力により達成したいと考え、本学会理事に立候補いたしました。

小田義直  九州大学形態機能病理

現在、若い世代の病理学会会員および病理医専門医の減少が問題となっていますが、人材育成委員会委員であった経験を生かし、ワークライフバランスの充実を 図り病理医の働く環境を改善することによって、若者にとって病理専門医が魅力ある職業になるよう努力します。私は現在まで人体病理学に関する研究に従事 し、学術関係では研究推進委員会委員やPathology International 常任刊行委員を務めてきました。病理学の更なる発展のためには人体病理と実験病理との融合が必要であり、病理学会総会の活性化に取り組んでいきたいと思い ます。同時に単なる病理診断医ではなくリサーチマインドを持った病理医の育成も必要と考えています。さらに国際的なバランス感覚を持った病理医あるいは病 理研究者を育成するために、積極的に海外の病理学会あるいは病理学者と交流し若手を海外に派遣する仕組みを整えたいと思います。

岡田保典  慶應義塾大学医学部病理学教室

診断病理学と実験病理学の一方に偏ることなく、両者がバランスよく運営されることが日本病理学会にとって最も肝要と信じております。このような観点から、 これまで学術担当の常任理事・副理事長、広報委員長として、学術集会の改革、Pathology Internationalのonline化と会費の値下げ、市民公開講座の改善、ホームページの改訂などに取り組んできました。来年4月には第101回 日本病理学会総会を開催することとなっております。次代を担う若手病理医・病理学者の発掘、新たな病理医・病理研究者の育成が重要課題と考えています。こ れらの課題達成に向けて、学部・大学院生や研修医に魅力と期待を抱かせる病理学を提示するとともに、日本病理学会のさらなる活性化・充実を目指して努力し たいと考えております。病理学会員の皆様のご支援をよろしくお願い申し上げます。

笹野公伸  東北大学病理診断/病理部

 最初に本年3月11日に発生しました未曾有の東日本大震災の犠牲者に哀悼の意を述べさせていただきます。 今回の大震災は被災地ばかりでなく本邦全体に 対して医療、医学教育等の分野も含め多大なる影響を及ぼし出しております。 このような大きな潮流の中でけして病理診断科、病理学を埋没させてはなりませ ん。 特に諸先輩方の多大なる努力で標榜科としてようやく実現しました病理診断科を更に確固としたものとして発展させる事が何よりも望まれるのではないで しょうか。 具体的には病院や施設等で一人病理医を複数化させる為に内、外保連で病理医による診断行為を更に評価していただく事、病理診断の均霑化の重要 性の更なるアピール、剖検/CPC等を公的制度として医療行政に組み入れる事等が病理学会全体として取り組んで行く優先課題と信じます。 これらを着実に 実現していく事が一人でも多くの後輩を病理の道に進ませる重要な第一歩になると考えます。

白石泰三  三重大学医学研究科腫瘍病理学

私はこれまで中部支部長として病理医のサポートを念頭に活動を行ってきました。事務局機能を強化し、HPの有効利用、ヴァーチャルスライド活用、支部会 (交見会)症例のデータベース化、世話人の負担を減らした交見会運用、を目指しました。支部活動は活性化され交見会参加者は増加しました。しかし、支部活 動には人員、財政面で制約があります。全国区理事として選出された場合はこれまでの経験を活かし、支部機能の強化を図ります。
また、学術活動のさらなる活性化のためには若手人材の発掘、育成が重要です。「座長候補リスト」を有効利用し、座長以外の活動にも参加していただき、学会 を挙げて彼らのサポートを行います。このような活動でキーワードは「連携」であると考えます。地域、年代を超えた病理医間の連携だけではなく、基礎・臨床 各部門、他の学会、さらには学生、と対象を幅広く考え、各方面との連携を深め、汗を流して活動していきます。


髙橋雅英  名古屋大学医学系研究科分子病理

日本病理学会理事に立候補するにあたり所信を表明いたします。病理学会は言うまでもなく、ヒトの病気の病態解明の研究と診断病理が両輪としてバランスよく 発展し、多様な人材育成が行われることが重要です。基礎医学の分野で医学部出身の研究者の減少が危惧されている状況において、病理学教室の果たす役割は極 めて重要であると考えています。病理学会が発展するためには、若い人たちに魅力のある多面的な活動を展開することが重要であり、そのために尽力したいと考 えています。私は2006年4月よりPathology Internationalの編集長に就任し、その発展にも尽力をつくしてきました。投稿数も国内外から毎年300編を超えるようになり、他分野にわたる 優れた論文を数多く掲載でき、インパクトファクターも目標であった1.5(2009年度、1.521)に達しました。引き続き、本誌の発展のために頑張っ ていく所存です。


上田真喜子  大阪市立大学医学部病理病態学

私は、平成20・21年度は日本病理学会の理事および人材育成委員長として、平成22・23年度は常任理事、および財務委員長として活動させていただきま した。日本病理学会のさらなる発展のためには、若手病理医・病理研究者の育成がなによりも重要です。私が委員長として平成21年にまとめた「人材育成委員 会からの提言」に基づいて、日本病理学会では男女共同参画委員会が設立され、現在、種々の取り組みが進行中です。今後は、女性病理医・研究者が男性病理 医・研究者と対等のキャリアアップができるように、「Gender Equality」の理念に基づいた育成システムの確立・充実が重要課題です。また、日本病理学会の財務については改善すべき諸点があり、会費の値下げを はじめ、会員の御意見や御要望が反映されるような透明性のある財務システムに改善するべく、全力で取り組みたいと考えております。皆様の御支援を賜われば ありがたく、よろしくお願い申し上げます。


安井 弥  広島大学大学院分子病理学

病理学は病因・病態を究める統合の医科学であり、診断病理と実験病理は「病理学」の両輪、恊働することにより大きな推進力を発揮することができます。これ までの努力によって心強いことに病理に興味を抱く者は増えてきています。この若い力を仲間とし、次代を担う病理医・病理研究者に育て上げることが学会の大 きな使命です。そのためには、病理学を取り巻く環境をより充実させ、一層魅力的なものにしていく必要があります。研究推進委員長として病理学会カンファレ ンス等の活性化に取り組んでいますが、病理学会学術集会の充実・発展・活性化も極めて重要な課題です。私たちが特性として持つ医療・社会のニーズへの対応 力と医科学における鳥瞰的視野を自信として、重きを診断に置く者も実験に置く者も、それぞれの使命と立ち位置を認識し、叡智を結集して「病理学」を盛り上 げる、病理学会がその場となるように尽力する所存です。ご支援をお願い申し上げます。

平成24年/25年度役員選挙の実施について

 日本病理学会選挙管理委員会は、6月15日、本学会正会員に次期役員の立候補者の公募および選挙日程などの選挙概要を公示した結果、すべての選出区分で応募があった。
選挙管理委員会は、定員を超えた立候補者のあった全国区選出理事と監事の選挙を実施することとし、8月12日に選挙管理委員長名で投票用紙のほか「被選 挙人名簿」および「所信表明一覧」などを送付して、8月12日に投票を依頼予定である。投票は平成23年9月7日(水)(当日消印有効)までである。
なお、その他の選出区分は、それぞれの立候補者数が定員内であり、「新役員当選者名簿」のとおり、無投票当選となった。

被選挙人名簿

◆全国区選出理事(選出区分2)
※各候補者名のリンクから所信表明をご覧いただけます。
>>所信表明一覧

 氏 名        所        属
深山 正久     東京大学大学院医学系研究科
福本  学     東北大学加齢研病理
樋野 興夫     順天堂大学医学部病理・腫瘍学
黒田  誠     藤田保健衛生大学病理診断科
仲野  徹     大阪大学医学系研究科病理学
根本 則道     日本大学医学部病理学分野
落合 淳志     国立がん研究センター東病院
小田 義直     九州大学形態機能病理
岡田 保典     慶應義塾大学医学部病理学教室
笹野 公伸     東北大学病理診断/病理部
白石 泰三     三重大学医学研究科腫瘍病理学
髙橋 雅英     名古屋大学医学系研究科分子病理
上田真喜子     大阪市立大学医学部病理病態学
安井  弥     広島大学大学院分子病理学
以上 14名(記載はABC順、所属は15字以内・本人申請)


◆監事(選出区分4)
※各候補者名のリンクから所信表明をご覧いただけます。
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 氏 名        所        属
井藤 久雄     鳥取大学医学部器官病理
金井 弥栄     国立がん研究セ・研・分子病理
中沼 安二     金沢大学医学系研究科病理学
八尾 隆史     順天堂大学医学部人体病理病態学
以上 4名(記載はABC順、所属は15字以内・本人申請)

新役員当選者名簿
※各当選者名のリンクから所信表明をご覧いただけます。
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(1) 選出区分1 地方区選出理事:7名
1-1  北海道 地区  笠原 正典(北海道大学)
1-2  東 北 地区  八木橋操六(弘前大学)
1-3  関 東 地区  加藤 良平(山梨大学)
1-4  中 部 地区  野島 孝之(金沢医科大学)
1-5  近 畿 地区  伏木 信次(京都府立医科大学)
1-6  中国四国地区  吉野  正(岡山大学)
1-7  九州沖縄地区  横山 繁生(大分大学)

(2)選出区分3 口腔病理部会長兼全国区選出理事:1名
山口 朗 (東京医科歯科大学)

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