2005年6月アーカイブ

2005年6月22日

社団法人日本病理学会役員選挙について(公示)

平成17年6月20日

社団法人日本病理学会役員選挙について(公示)

理  事  長 森 茂郎
選挙管理委員長 原 正道

 常日ごろ正会員の皆様方には、社団法人日本病理学会のためにご尽力いただいていますことを感謝申し上げます。

 さて、本学会の現役員は、今年度末をもって任期満了となります。今年度は、次期(平成18/19年度)役員(理事・監事)を選出する年になりました。新役員は、「本学会定款並びに役員選挙関係諸規定」に従い、正会員の選挙(郵送による投票)によって選出の上、理事19名(地方区選出理事 7名、全国区選出理事 12名)、監事2名が総会で選任されます。

 理事会および選挙管理委員会は、次期役員の選挙方法や選挙日程等について審議し、被選挙人についての従来の方式を以下のように変更することにいたしましたので、ご留意ください。

 従来と変えた点は、役員立候補制による「被選挙人名簿」の作成、希望者の「所信表明」の発信を得て投票していただくことにしたことです。

 つきましては、次期役員(平成18/19年度の理事・監事)の候補者を以下の要領で公募いたしますので、奮ってご応募ください。


○選挙方式:

(1) 役員(理事・監事)の選挙は、立候補の届出にもとづき、被選挙人名簿が作成されますので、正会員はこの中から投票します。さらに立候補者のうち希望者は所信表明を発信できることにしました。これをまとめ、一定の時期に会報、学会ホームージ等で掲載し、周知します。

(2) 次に理事長の選出は、上記で選出された理事の中から正会員の投票によって行われます。理事長候補者((1)で選出された理事)の所信表明については、役員選挙の場合と同様に希望者は発信できることにしました。これをまとめ、一定の時期に会報、学会ホームページ等に掲載します。

○立候補者の選出区分:役員立候補者は、選出区分を明示して応募していただきます。なお、 重複した区分に立候補する事はできません。

  選出区分1:地方区選出理事

  選出区分2:全国区選出理事

  選出区分3:口腔病理部会長兼務全国区選出理事(歯科医師免許所有者)

  選出区分4:監事

○ 被選挙資格者:役員は「就任時年度内の年齢が満63歳以下の正会員」と規定されています。今回は昭和18年4月1日以降に生まれた正会員が被選挙人資格者となります。


○役員立候補者募集要領:

1. 名簿登載:応募される方は、氏名、所属及び選出区分を明示した上で下段の書式に記載し、本学会事務局まで書留で郵送してください。

  ・応募締め切りは、 理事:7月16日(土)(当日消印有効)

               監事:7月23日(土)(当日消印有効)

    ・応募関係書類送り先:日本病理学会事務局

              〒113-0033東京都文京区本郷2-40-9 ニュー赤門ビル 4F

  2 所信表明(希望者のみ):400字以内の所信をe-mail にて事務局に届けてください。

   (文字数超過の場合は、超過分をカットします)。

    ・応募締め切りは、7月30日(土)

    ・所信表明送り先:E-mail: jsp-admin@umin.ac.jp

○選挙実施要領:

  1.役員(理事・監事)選挙:

   ・被選挙人名簿、投票用紙等を正会員に送付:8月20日(土)予定

   ・所信表明の掲載:会報8月号、学会ホームページ

   ・投票締め切り:9月9日(金)(当日消印有効)

  2.理事長選挙:

・理事長候補者名簿、投票用紙、所信表明(希望者のみ)を正会員へ送付:10月11日(火)予定

・所信表明の掲載:会報10月号、学会ホームページ

・投票締め切り:10月28日(金)(当日消印有効)

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社団法人日本病理学会役員立候補届


 社団法人日本病理学会平成18,19年度役員選挙に立候補いたします。

会員名:                    (会員番号)            

所 属:                                        

(15字以内;被選挙人名簿登載用)


区 分(一つを選んでください)

 選出区分1:地方区選出理事

 選出区分2:全国区選出理事

 選出区分3:口腔病理部会長兼務全国区選出理事(歯科医師免許所有者)

 選出区分4:監事

   平成17年  月   日             

社団法人日本病理学会正会員
署名                


2005年6月21日

第1回病理検査技師との関係に関する小委員会議事録

平成16年12月2日(木)13:30-15:30 於;名古屋市 国際会議場431号室

参加者:中島孝(委員長),坂本穆彦,水口國雄,小野謙三,太田浩良,梅宮敏文,村田哲也

欠席者;横井豊治,佐藤雄一,徳永英博

配布資料(1)日臨技メンバーとの話し合い(坂本)A4サイズ1枚,(2)PNETにおける発言内容要約(村田)A4サイズ1枚,(3)業務移行の実例(水口)A4サイズ1枚,(4)細胞検査士教育セミナー要旨(坂本)A4サイズ1枚,(5)英国における医学生物系技術者報告(中島)A4サイズ11枚,(6)アンケート結果(小野)B4サイズ14枚

議事
1. 中島委員長および坂本企画委員長より,本委員会の経過説明が別紙資料(1)(4)を用いて説明がなされた。
 概略:資料1は平成16年8月25日に行われた病理学会と日本臨床検査技師会(以下,日臨技)との話し合いの内容である。日臨技としては専門病理検査技師を推進する方向にあるが,病理学会との十分な検討が必要であるという認識を持っている。資料(4)は平成16年8月30日に開催された第47回細胞検査士教育セミナーにおけるシンポジウム内容の要約である。病理検査技師の論議がされる背景,医行為との整合性,資格認定方式,病理医と検査技師との協調などが論議されている。

次に村田委員より,病理医のメーリングリストであるPNETでの討論内容が資料(2)を用いて紹介された。
 概略:PNETにおける発言は大部分が病理検査士制度に反対するものであった。その理由として,標本の下見を認めると病理診断がなし崩し的に病理医の手から離れて病理検査士に移ってしまい,保険点数の切り下げ理由とされてしまうこと,若手病理医の研修と競合すること,切り出しも肉眼の大事な診断であることなどの理由であった。

続いて小野委員より,PNETなどを通じたアンケート結果内容が資料(6)を用いて説明された。
 概略:アンケート結果は圧倒的に病理検査士制度に反対であり,その理由などは資料(病理学会員 60名+技師 1名の自由意見)に詳細に記載されている。最終的に89名からの回答が得られ、その結果制度に反対が約60%、賛成が約18%、残りは「わからない」もしくは「無回答」であった。アンケートに取り上げた問題点などをよく検討し、病理医の立場や将来にとって何がメリットかをよく見極める必要がある。決して見切り発車をしてはならないし、はじめに病理検査士(PA)ありきの論議ではいけないと考える。

引き続き水口委員より業務移行の実例について,資料(3)を用いて説明された。
 概略:病理医が近くにいて臨機応変に対応できる環境では,剖検・切り出し・生検などで臨床検査技師にかなり業務を移行している。

さらに中島委員長より資料(5)を用いて英国に於ける取り組みについて説明された。
 概略:英国では王立大学病理と生物医学協会の合同ワーキンググループで医学生物系技術者に標本記載や切り出しなどの業務拡大を行ったが,その結果病理に関する標準低下や患者への不利益などの問題は起こらなかった。病理検査士制度導入の利点が説明された。英国でも技師の業務拡大は大学が先行して行った経緯がある。

最後に中島・坂本両委員より,本小委員会に先立って開催された企画委員会での議論内容が報告された(資料なし)。
 概略:企画委員会でも病理検査士制度導入に慎重な意見があり,また,制度内容に関しても理解の程度がさまざまであった。それに対し,制度について改めて原点に立ち返り,病理診断現場の現状分析や制度導入の有無による利点や不利益点などを学会員に提示する必要がある。

2. 上記に関して、委員間で確認や質疑応答がなされた。
1) 米国に於けるPA制度について
・ 米国に於けるPA制度について,PAの協会(AAPA)と連絡し,早い時期に米国に視察に行くことが必要であろう(佐藤・中島両委員が視察に行く)。
・ 米国のPA養成機関は現在6大学あり,病理医とHistotechnologist(HT)の中間的存在(社会的地位や給料)となる(水口)。
・ 米国におけるPAは大学院修士コースであり,基本的に生物科学系の学士から入る(太田)。
・ 米国では病理の社会的認知度があり,制度も出来ている。その上でのPAの話であり,病理医の認知度が低いわが国の現状とはそぐわない(小野)。
・ 切り出しや下見を抜きにする制度では,現状の臨床検査同学院臨床技術士(1級,2級)との整合性も問題となる。臨床検査医学会と技師会との関係もある(水口)。

2) 病理検査士制度のあり方について
・ 病理検査に於ける業務内容の分析から,病理医と技師との間でワーク・シェアリングのような形ができないか(中島)。
・ 現状のように病理が標榜科でなく,保険制度や法令でも病理医の身分・地位が定まっていない状態で病理検査士制度を導入すると病理医の地位低下に繋がる危険性がある(小野、村田)。
・ 病理医の必要性,特に複数常勤の必要性について病理学会から各病院を啓蒙する必要がある(小野)。
・ 診療報酬について,切り出し(肉眼診断)を病理検査士が行うと,その分の医師に対する報酬(Doctor fee)が減額される(病院に対する報酬Hospital feeになる)。これに関し,要望中の新しい病理診断保険点数に関する説明があった(水口)。
・ 現場の検査技師の意見を聞く必要がある(水口,小野,太田)。
・ 病理検査士制度の利点として,遠隔病理診断における送信側の技量保証に有用(村田)。
・ 病理検査に関し,病理医業務と技師業務のグレーゾーンがある。各施設では施設内ルールがあり,業務分担をしているが,その内容については施設間格差がある。その結果,病理検査士に関する意見も多様となる。もっと現場の現状を分析し,意見を聞く必要がある(梅宮)。
・ 現状の認定技師制度(血液,輸血など)は臨床検査技師の業務領域であり,技師教育カリキュラムにも入っている。それに対し病理の標本観察は技師教育カリキュラムになく,病理医固有の業務である(梅宮)。
・ 臨床検査技師の高学歴化が進む中,わが国でも病理検査士を修士コースとして考えることは出来ないか(坂本)。

3) わが国の病理医のあり方について
・ 病理医の業務拡大,標榜科に向けて行動する必要がある(中島、坂本)。
・ 標榜科となるためには,患者との接点を持つ必要がある(坂本)。
・ 病理医も「時間を作る」観点が必要では。そのための業務委譲を考える(坂本)。

4) その他
・ 委員会の内容・議事録は病理学会ホームページで報告する(全員)。
・ 病理検査士制度に関するアンケートを改めて学会として行う。アンケートのひな形は委員会で作成する。経費節減のため,アンケートは支部単位の交見会などで配布する(全員)。
・ 病理学会総会に於ける病理検査士制度に関するシンポジウムやワークショップの時間帯を,多くの人が参加しやすい時間帯にする(全員)。

3.最終的に病理検査士制度について,十分な論議と再検討が必要と思われた。

4.次回は平成17年2月11日に東京で委員会を開催する予定である。

(文責:村田、中島)

病理医の職能に関する小委員会報告(2004年度)

 日本病理学会は、社団化に際して病理医協会と合同したため、職能面の活動の範囲を広くしてきております。現在この活動は順調に展開しているとみておりますが、一方では病理学の職能面が抱えるいくつかの問題を解決するためには学会組織には限界があり、旧日本病理医協会とは別のコンセプトによる、特化した職能団体をつくって活動する、という選択肢もありうる、という意見があります。昨年4月、この病理の職能面がかかえる問題に 関して、どこにどのような問題があり、我が国の職能的病理人としてどのような選択肢があるかを考え、整理するための小委員会を企画委員会の中に設置しました。このたび小委員会からおもに衛生検査所における病理医業を中心に、1年間の活動の報告書をいただきましたので、企画委員長の了解のもとに掲載いたします。問題点はまだ深まっていないので、本小委員会は企画委員会のもとであと1年、問題の深化のために活動を継続します。(理事長)


病理医の職能に関する小委員会報告(2004年度)

2005年4月
委員長 堤 寛

1. 委員会発足の経緯
 日本病理学会と病院病理医協会が一つの団体となり、平成11年に法人化した(社)日本病理学会は、今までにはなかった様々な活動を展開し今日に至っている。

 学会構成員中に少なからぬ比率を占める病理医が、その職能を十分に発揮しうる状況を整えることは本学会の重要な使命の1つである。しかしながら、本学会は病理学をキーワードとした学術団体であり、様々な立場の会員から成り立っている。この中で、病理診断の質の向上や精度管理の議論を行ったり、病理医の支援に特化した活動を行うには制約があると感じている会員も少なくない。また、これらのことに学術団体たる本学会が余り精力を傾けることをよしとしない立場もある。

 いずれにしても、すでにのべた様に病理医の職能が適切に発揮され、病理医としての責務をはたすことはわが国の医療にとって重要であることは論をまたない。

 企画委員会は、診療報酬の包括化が現実のものとなりつつある現時点で、診療報酬もふくめ病理診断そのものが、もろもののものの中に埋没させられることを防ぐためにも、わが国における病理診断はいかにあるべきか、という課題を整理する必要があるという認識のもとに、企画委員会内小委員会(任期1年間のアドホック委員会)として本委員会を設立した。本委員会の目的は、具体的には病理診断の現状の把握と、可能であればそれをふまえた病理医の職能に関する提言を行うことにある。

2. 活動内容
 2004年6月10日、11月9日、12月3日の3回の会合をもった。必要に応じてe-mailによる意見交換を行った。

(1) 病理診断の現状把握
わが国の病理診断の200万件/年以上が衛生検査診所経由で行われている。これは各病院において常勤、非常勤の病理医が行っている診断件数をこえるものである。したがって、衛生検査所をぬきにしてはわが国の現状を見わたすことはできないため、参考人として名取恒夫氏(SRL)、上野喜三郎氏(BML / PCL)の会議への同席と資料提供を求めた。両氏はわれわれの主旨に同意し、会議に出席された。関係者の生の声をうかがうことができ、多いに参考になった。その結果、大手の衛生検査所ではすでに高度の精度管理システムを構築しており、それが有効に機能していることが正診率やユーザーからのクレーム数などの具体的な数値で示された。

 ダンピング防止に関しては、会社主導で行うことは困難だが、全体状況がその防止に向かえば、それに応じうるとのことであった。

(2) 今後の方針
 国民への"安全な医療"の提供という見地からは、迅速で正確な病理診断が全国レベルでなされるべきである。それを推進するため、とくに病院以外の検体、すなわち衛生検査所があつかう検体への対応についての意見交換がなされたが、現時点では委員会内で一致をみるには至っていない。今村委員の札幌での活動経験も披露されたが、全国を視野に入れた更なる検討が必要と思われる。したがって、本小委員会の活動を更に1年延長し、前述の問題点につき会員の声をうかがいつつ、意見集約を行いたい。

委員構成(計9名):
堤寛(藤田保衛大、委員長)、坂本穆彦(杏林大、企画委員長)、村田哲也(鈴鹿中央病院)、森谷卓也(東北大)、吉野正(岡山大)、今村正克(NPO法人札幌診断病理学C)、蒲池綾子(大分医師会立アルメイダ病院)、二階堂孝(慈恵医大)、大林千穂(神戸大)

第3回病理検査技師との関係に関する小委員会議事録

平成17年4月14日(木)12:45~14:00 於;パシフィコ横浜 会議センター5階514会議室

参加者:中島孝(委員長),水口國雄,小野謙三,太田浩良,梅宮敏文,佐藤雄一,徳永英博,村田哲也,廣田紀男(オブザーバー)

欠席者:坂本穆彦,横井豊治

配付資料 (1)議題 A4サイズ1枚 (2)「病理検査技師との関係に関する小委員会」報告 A4サイズ2枚

議事

1.中島委員長より,小委員会最終報告ならびに企画委員会報告がなされた。内容は,本委員会の1年間における活動のまとめで,病理検査士制度導入の是非にかかわるアンケート結果や,諸外国の現状報告などからなり,最後に米国での現状の視察報告も記載されている。内容はさらに簡約されて病理学会のホームページに掲載される予定である。

2.佐藤委員より,上記の米国での現状の視察報告がなされた。病理学会国際交流委員会の協力で行われた視察で,本委員会を代表して中島委員長と佐藤委員が米国のUniversity of Maryland School of MedicineとRosalind Franklin University of Medicine and Scienceに本年3月13日から20日の間、視察を行った。米国におけるPathologists' assistant(以下PA)は現在,全米PA協会加盟者が800名弱で,主として東部で勤務しており、西海岸で働くPAは少ない。業務内様は手術材料の切り出しが主なもので,Tissue bankの管理なども行われていたが,顕微鏡での病理組織診断には一切かかわっていないことが報告された。現在,PAは主に大学院修士コースとして教育されており,全米で東海岸を中心とする6大学のみがPAのコースを持っている。1学年の定員は多い大学で20名弱,米国全体でも50名弱である。PAの立場や給与は細胞検査士より高いことも報告された。

3.廣田オブザーバーより,検査センターにおける検査技師教育の現状について説明がなされた。

4.今後の委員会のあり方について,本委員会は1年間の継続が企画委員会で決定され,委員も留任することが報告された。本年は,病理学会会員の声をより多く拾い上げるため,各支部会でのアンケートや本委員による説明会をしていく予定であることが説明された。

5.次回委員会の日程は未定である。

(文責:村田,中島)

第2回病理検査技師との関係に関する小委員会議事録

平成17年2月11日(金)13:00-15:40 於;東京都江戸川区船堀 コラボ産学官プラザ in Tokyo 6階大会議室

参加者:中島孝(委員長),坂本穆彦,水口國雄,小野謙三,太田浩良,梅宮敏文,佐藤雄一,徳永英博,村田哲也

欠席者;横井豊治

配布資料(1)前回会議議事録案(病理検査技師との関係に関する小委員会議事録案)A4サイズ3枚,(2)アンケート集計結果(小野)B4サイズ3枚+A4サイズ1枚

議事
1. 会議に先立ち,中島委員長による挨拶があった。本小委員会は「まず病理検査士(以下PA)ありき」ではなく,「PAの可能性に関して意見を積み重ねていく場」であることの説明が改めて行われた。

2. 前回の議事録について:出席全委員によって承認された。

3. 米国におけるPA制度視察について:中島委員長より本年3月中旬から下旬にかけて,病理学会海外派遣の一環として中島委員長と佐藤委員が米国に視察に行くことの説明があった。視察先は事前に申し込んだ中から反応のあった2施設で,一つはUniversity of Maryland School of Medicineで,Raymond T Jones, PhD, Professor of Pathology and Oncology, Director Pathologists' Assistant programが,もう一つはシカゴにあるRosalind Franklin University of Medicine and Scienceで,John E Vitale, MHS, Acting Chair, Pathologists' Assistant, Department of College of Health Professionsが対応して頂く予定である。

4. 小野委員のアンケート結果についての検討:小野委員より,前回(89名)より多少数の増えた(92名)アンケート解析結果の報告があった。特に,PAの業務範囲設定との関連で,今回のアンケートでは標本観察は反対意見が強く,臓器切り出しにも抵抗が強いことが示された。

5. 今後の委員会の進め方について:特に,PA制度を病理学会が行う場合,病理検査における医行為との整合性,さらに臨床検査医学同学院の臨床病理技術者(1・2級)との関係について討論がなされた。

* 病理検査における医行為について:
・ まず,医行為の定義がしっかりなされていないと,PAの話は進まない(坂本,小野)
・ アンケート結果では,組織の観察だけではなく,臓器切り出しや電子顕微鏡観察も医行為と考えている病理医が多い(小野)

わが国の現状で,病理医不在施設や中小検査センターなどでは手術材料のかなりの部分が病理医以外の人によって切り出しが行われている。この領域の精度管理ならびに医療レベルをあげるという視点から,切り出しを行っている臨床検査技師にPAの資格を取って頂くようにすることはできないか(村田)。しかしながらこの考えは,病理医による切り出し不要など,病理医の将来の職場減少にも繋がるので賛同できない。病理医にとってのメリット、デメリットをよく検討すべきである。(小野)

・ 剖検は死体解剖保存法などの制約があるため,PAによる剖検執刀は法律上不可能(坂本,村田,中島)
・ 免疫染色結果の判定や,特殊染色における菌体確認(ピロリ菌や結核菌など)は,昭和63年の厚生省(当時)の解釈でも医行為には入らないのでは(坂本,村田)
・ 遠隔病理診断に関しては,実際の作動例が少ないため,今後の検討課題とする(村田,中島)
・ いずれにせよ,「病理医(病理専門医)の指導の下」という縛りを作り,病理検査に関する最終責任は病理医にあると決めない限り,PA制度は成り立たない(全員)

* 臨床検査医学同学院の臨床病理技術者(1・2級)との関係について:
・ 臨床検査技師の業務拡大なしでPA制度を考えると,臨床検査医学同学院の臨床病理技術者資格試験と多くの部分が重なる。同学院との差異化を図るためには,PAの業務範囲の設定が必要(坂本,水口)
・ 現在でも臨床検査医学同学院の臨床病理技術者受験者は多く,関東の試験場だけで毎年100から120名の病理での受験者がいる(佐藤)
・ 医療現場では,同学院から認定されるより,病理学会から認定される方が院長などの管理者に与えるインパクトが大きいのでは(佐藤,村田)
・ 臨床検査技師との病理医がお互いにレベルアップするためにPAを認定するのも病理学会の任務では(中島,坂本)

* 今後の進め方について:
・ 本小委員会は本年度末までの時限委員会であるが,理事会への報告後,次年度にも継続する必要がある(坂本, 中島)
・ 来年は,支部単位で交見会などを利用した公聴会活動を中心としてみてはどうか(坂本)
・ 項目を絞ったアンケートも支部単位で行ってはどうか(小野)

* その他:
・ 日本解剖学会では学術総会の前日に臨床検査技師主体の技術講習会を開催している。講習会参加者は総会の参加料も安くなり,臨床検査技師も学会に参加しやすくなっている。このような仕組みを病理学会でもできないか(佐藤,小野)
・ 最近の4年生大学卒,さらに修士課程を修了した臨床検査技師からは病理は不人気となっている。病理に若い臨床検査技師を集めるためにも,何らかのチャームポイントが必要(佐藤)
・ PAに関するモデル施設を作って,試行する方法もある(中島)。しかしながら,この方法では「まずPA導入ありき」との誤解を与える可能性もあるので注意が必要(坂本)

6. 第3回小委員会について:次回は平成17年4月に横浜で開催される日本病理学会総会会期中に,学会場内で委員会を開催する予定である。

(文責:村田,中島)

病理検査技師との関係に関する小委員会報告

 医療、教育、社会等からの病理への近年の要求に病理の側が高いレベルでこたえてゆくことを念頭に置いた、病理医と病理関連臨床・衛生検査技師との業務面及びhuman relationship 面での基本的関係についての論議が、近年各方面でなされてきております。また最近は、日本臨床・検査技師会から本学会に、専門技師の認定に協力を求められていることもあり、私は近年、学会として病理系技師との関係論を総合的に論議し、今日的な見解をもつことが必要であると考えています。昨年4月、企画委員会の中にアドホックの 専門小委員会(委員長中島孝評議員)を設置し、この小委員会に病理医ー病理系技師の基本的関係論について問題点の分析と論議をお願いしました。このたび本小委員会から、いわゆるPAについての現状分析と問題点の指摘を中心とした報告書をいただきましたので、ここに掲載いたします。

この報告書に指摘されている状況と問題点、さらにその背景にある医療における病理の状況,病理関連臨床・衛生検査技師との基本的関係論などは、病理領域の今後の発展のためにさらに論議が深められる事が重要と考えております。論議の深化のため小委員会の活動をあと1年継続することをこのたび理事会で認めていただきました。今回の報告をたたき台にして、本問題の深化にむけて論議が、会員間でさらに深められることを期待しています(理事長)。


「病理検査技師との関係に関する小委員会」報告

委員会構成:中島孝(委員長),坂本穆彦(企画委員会委員長),水口國雄,小野謙三,村田哲也,太田浩良,横井豊治,梅宮敏文、佐藤雄一,徳永英博

活動報告:
第一回会議:平成16年12月2日(木)13:30-15:30 於;名古屋市 国際会議場431号室
第二回会議:平成17年2月11日(金)13:00-15:40 於;東京都江戸川区船堀 コラボ産学官プラザ in Tokyo, 6階大会議室
第三回会議:平成17年4月14日(木)12:45~14:00 於;パシフィコ横浜 会議センター5階514会議室
*アメリカにおけるPA活動視察 (佐藤雄一、中島 孝):平成17年3月13日~20日

1) University of Maryland Medical System (Prof. Raymond T. Jones, Ph.D., Director Pathologists' Assistant Program)
2) Rosalind Franklin University of Medicine and Science (Dr. John E. Vitale, M.H.S., Acting Chair, Pathologists' Assistant Department, College of Health Professions)

 この「病理検査技師との関係に関する小委員会」は病理医と病理検査技師が職能集団として、より良好な関係を築くために、病理検査士制度(PAと略す)導入の是非を中心に検討することを目的として、企画委員会のad hoc小委員会として作られた。このような小委員会発足の背景には、病理職能集団としての意識の形成、医療の高度化と診断病理医不足、臨床研修義務化に伴う病理業務の拡大、技師の高学歴化などがあり、PA導入が病理医と病理検査技師との新しい関係を将来にわたって築きあげることができるか、を検討するものであった。そこで、小委員会の検討内容としては、PAの業務範囲を検討すること、他学会の認定制度との連携ならびに調整が当初考えられた。

 この委員会では最初、PAに関する病理医の意見を集約することを考えたが、学会会員全体を対象にすることは無理であり、そこで、村田委員を中心にして、PNETでの意見収集、さらに小野委員がネットを用いたアンケート調査を行なった。その結果をみると、PNETでの発言は大部分がPAに反対するものであり、その理由として,標本の下見を認めると病理診断がなし崩し的に病理医の手から離れてPAに移ってしまい,保険点数の切り下げ理由とされてしまうこと,若手病理医の研修と競合すること,切り出しも肉眼の大事な診断であることなどの理由であった。アンケート結果(92名)でも反対意見が多くあり、最終的に反対が約60%、賛成が約18%、残りは「わからない」もしくは「無回答」であった。しかし、これまでのPNET等での病理医の反応をみると、極端にいうと、PAが病理診断の一部にまで関与するといった誤った情報が流布しており、PAの業務内容や「病理における医行為」について、さらに議論を深める必要性を痛感した。企画委員会でもPAに慎重な意見があり,その内容理解に関してもさまざまであること。企画委員会からの、PAについて原点に立ち返り,病理診断現場の現状分析やPA導入の有無による利点や不利益点などを学会員に提示する必要がある、との指摘を受けて、更に検討を重ねた。

 病理医の地位低下や減少に繋がる危険性、新しい病理診断保険点数(肉眼診断)との整合性、さらには、技師側の業務拡大に対する不安など、PA導入による不利益を指摘する意見が多く出された一方、病理検査業務内容見直しや遠隔病理診断における送信側の技量保証などの利益もあることが、委員会で議論された。また、英国での報告をみると、医学生物系技術者に標本記載や切り出しなどの業務拡大を行ったところ,病理水準低下や患者への不利益などの問題は起こらず、PA導入の利点が示されており、技師の業務拡大は大学が先行して行ったことが述べられていた。「医行為」との関連でPAの業務について、さらに、検討を加えたところ、剖検は死体解剖保存法などの制約があるため,PAによる剖検執刀は法律上不可能であり、免疫染色結果の判定や,特殊染色における菌体確認等は,昭和63年の厚生省(当時)の解釈でも医行為には入らないことが確認された。しかし、組織の観察だけではなく,臓器切り出しや電子顕微鏡観察も医行為と考えている病理医が多いことも事実として上げられた。また、遠隔病理診断に関しては,実際の作動例が少ないため,今後の検討課題とすることになった。いずれにせよ,「病理医(病理専門医)の指導の下」という縛りを設け,病理検査に関する最終責任は病理医にあると決めない限り,PA導入は成り立たない、という点で全員の意見が一致した。

 他学会の認定制度との連携ならびに調整についての議論では、臨床検査技師の業務拡大なしでPAを考えると,臨床検査医学同学院の臨床病理技術者資格試験と多くの部分が重なり、同学院との差異化を図るためには,PAの業務範囲の設定が必要であるとの認識を得た。臨床検査技師と病理医がお互いにレベルアップするためにPAを認定するのも病理学会の任務であるとの意見も出された。わが国では,病理医不在施設や中小検査センターなどでは手術材料のかなりの部分が病理医以外の人によって切り出しが行われている現状があり、この領域の精度管理ならびに医療レベルをあげるという視点から,切り出しを行っている臨床検査技師にPAの資格を取って頂くことも必要との考えも出されたが、この考えは,病理医による切り出し不要など,病理医の将来の職場減少にも繋がる懸念が出された。

 病理学会国際交流委員会の協力で、平成17年3月13日~20日の約1週間、佐藤・中島両委員が米国に於けるPAの現状を視察してきた。米国のPA養成機関は現在6大学あり,このなかの2大学を訪問した。この2大学はいずれも修士コース、2年間でPA養成を行なっている。今回の視察で分かった点は、アメリカでも全ての病理がPAを受け入れている訳ではない、ということである。特に、西海岸ではPAの数も少なく、その養成機関もない。この6大学はThe National Accrediting Agency for Accreditation (NAACLS)の認証の基に、カリキュラムの標準化を行なってPA教育を行ない、PA資格認定はAmerican Society of Clinical Pathology (ASCP)が行なっている。そして、American Association of Pahologists' Assistant (AAPA)が彼らの職能団体という関係になる。PAの地位や年俸はCTより高い。彼らの仕事はさまざまであり、Medical examinerとして、法医解剖を行なっている者もいる。病理での主な仕事はマクロ所見の記載と切り出しであり、病理報告書のマクロ所見記載はPAによって書かれている。大学でのPAの仕事はTissue bankの仕事にかかわっていることが上げられる。メリーランド大学でもシカゴ大学でも、PAがTissue bankのための組織の採取、保存を行なっていた。PAは迅速診断を含めた病理診断には一切関与しておらず、病理医との仕事分担は明瞭に分けられている。PAを雇っている病理医はその利用価値を強調しており、診断業務で空いた時間は臨床とのカンファランスや教育などを行なっていた。

 日本ではCTを中心にPAを養成しようという考えがあるが、アメリカの病理医には全くそのような考え方はなく、PAとCTは全く異なる職種であるとの考え方であった。また、日本病理学会がPA資格認定を考えていることを伝えると、当然病理指導で行なうべきであるとの答えが返ってきた。

 PAに関して、今後の進め方について討議をおこなった。この委員会は時限委員会であるが、来年度もこの委員が中心となって、支部単位で交見会などを利用した公聴会活動を行って論議を深めては、の提案があった。また、項目を絞ったアンケートの実施、PAのモデル施設を作って見ては、の提案もなされたが、後者は,「まずPA導入ありき」との誤解を与える可能性もあるので注意が必要との意見も出された。今後も支部単位、病理学会総会などで、PAに関して、十分な論議と再検討が必要であると考えられた。

学術集会改革案 アンケートのお願い

病理学会理事長   森  茂郎
病理学会学術委員長 岡田 保典


平成17年6月21日


日本病理学会員の皆様



 日本病理学会学術・研究推進合同委員会から上申された「春・秋期学術集会のあり方に関する改革案」に関して、各支部会を通じてアンケート調査する とともにホームページに掲載し学会員の意見を聞くことが、第94回日本病理学会春期学術総会時の理事会と総会において決定されました。

 つきましては、「日本病理学会学術集会の改革案に関するアンケート調査」と「アンケート回答用紙」を見ていただき、会員の皆様の忌憚のないご意見をいただきたいと思います。(本アンケートは各支部において配布したものと同様のものです。)

 「改革案提案の背景と経緯」の項目でも書きましたように、学術集会において「学術研究活動」と「診断病理の講習・トレーニング」が乖離し二者択一にならないように改善したい、と言うのが委員会の一つの合意事項です。

 アンケートのご回答を8月末日までに、病理学会事務局宛(FAX:03-5684-6936)よろしくお願い申し上げます。なお、ご質問、ご不明の点などありましたら、学術委員長の岡田(okada@sc.itc.keio.ac.jp)までご連絡ください。

 アンケート用紙:PDF形式 - MS-WORD形式

2005年6月17日

病理専門医研修カリキュラム細目(案)

日本病理学会では、平成16年6月に、2年間の臨床研修修了後の病理専門医研修カリキュラムを提示いたしました。今回、このカリキュラムに基づき、 各行動目標をどのように履修していくかという細目案を作成いたしました。病理専門医となるための研修期間は最短で4年間と決まりましたが、日本病理学会と してその4年間の研修期間に習得すべき各項目について、Basic、Advance-1、Advance-2、またはSkill Level I~IIIとして段階的な目標設定をしております。これは各研修施設での実情に合わせたカリキュラムを立案する上で、参考にして頂くためのものです。

ご意見やご質問は、8月末日までに病理学会事務局(jsp-admin@umin.ac.jp)宛お寄せください。

病理専門医研修カリキュラム細目(案)

一般目標:病理専門医として適切な医療に貢献するために、診断病理学に必要な知識、技能、態度を身につける。

行動目標

I. 必要な知識

1) 病理業務に関わる知識
1. 病理業務に関連する法および制度を説明できる。
Basic
(1) 医事法制および死体解剖保存法の概要について説明できる。
(2) 病理解剖許諾に関する法的事項、法医学的な検索を必要とする病理解剖の分類について説明できる。
(3) 病理解剖承諾書の必要項目を列記できる。
(4) 医療の中で果たす病理業務の役割を説明できる。
a.病理解剖の役割と適応について説明できる。
b.病理組織診断、細胞診断の役割と適応、限界について説明できる。
c.病理専門医制度の基本を述べ、その責任と社会的役割を説明できる。
Advance-1
(1) 医療関連死の定義およびその取り扱いの基本について説明できる。
(2) 医療関連死の疑いのある症例を判別し、適切に対処できる。
(3) 病理検体(臓器・組織・細胞)取り扱いに関わる法的事項、倫理的事項を説明できる。
Advance-2
(1) 医療過誤訴訟に関する法的知識と、被告側の立場あるいはコンサルタントとしての病理医の役割を説明できる。
(2) 病理認定施設の条件と役割について説明できる。
(3) 医療経済の知識を有しており、病理診断学上の費用対効果の評価に関する原則を説明できる。
(4) 病院全体の管理・運営および医療監査の中で果たす病理部門の役割について説明できる。
(5) 病理部門の経営、収入、人事管理についての基本事項を説明できる。

2. 病理業務に関するリスクマネージメント(医療廃棄物処理を含む)を説明できる。
Basic
(1) リスクマネージメントの基本について述べることができる。
(2) 医療法上の責任が関わる場合のリスクマネージメントの考え方を説明できる。
(3) 病理検査室でのインシデント・アクシデント報告の方法について説明できる。
(4) 病理診断検体の、依頼伝票・検体の確認を適切に実行できる。
Advance-1
(1) 病理業務に関連して発生する医療廃棄物の処理方法について説明できる。
Advance-2
(1) 検体取り違え、検体紛失、針刺し事故などのアクシデント発生時の対応法について説明し、事象が生じた時は適切に対処できる。
(2) 病理診断関係の保険に関して述べることができる。

3. 病理業務の資料を管理し、保存できる。
Basic
(1) 病理組織標本および報告資料の保管についての基本事項を述べることができる。
(2) ローカル・コンピュータ・ネットワークの利用方法を説明できる。
(3) 症例の既往病理診断について検索し、病理診断に対して適切に利用する方法について述べることができる。
Advance-1
(1) 外科病理の全ての標本に適切なコード(国際疾病分類など)を付けて管理する方法を述べることができる。
Advance-2
(1) 病理業務の資料の管理・保存状況について、査察が必要な項目や留意点を述べることができる。
(2) 日本病理剖検輯報について理解し、適切な登録方法について説明できる。

4. 病理業務で得られた人体材料を研究に用いる際の手続きを説明できる。
Basic
(1) 患者プライバシーの保護についての基本を説明できる。
(2) 病理業務で得られた人体材料を教育・研究に用いる場合の注意事項を述べることができる。
Advance-1
(1) 病理業務で得られた人体材料をその症例の診断以外の目的(教育、研究、精度管理など)で用いる際に必要な手続きについて説明し、実行できる。
Advance-2
(1) 病理検体の目的外使用についての判断基準を理解し、倫理委員会での審査の必要性について説明できる。
(2) 病理解剖の承諾書、外科病理検体を教育・研究に使用することに関する患者・家族の同意書に盛り込まれるべき項目について述べることができる。
(3) ヒト組織バンクに関する適切な取り扱いを説明できる。

2)病理診断に必要な知識
1. 基本的な病理組織標本の作製過程を説明できる。
Basic
(1) パラフィン包埋標本の作製過程(固定、切り出し、包埋、染色)を説明できる。
(2) 迅速診断標本の作成過程を説明できる。
Advance-1
(1) 良い組織標本を得るための要因と、標本が不適切となる理由について挙げることができる。
Advance-2
(1) 病理診断に不適切な標本ができた場合、その原因を推定できる。(注:標本作製実習はII-6で行う)

2. 免疫組織化学(免疫)染色を含む特殊染色の原理を説明し、結果を評価できる。
Basic
(1) 病理診断で一般的に用いられる特殊染色について、目的別に列挙できる。
(2) 免疫組織化学の基本原理を説明できる。
Advance-1
(1) 特殊染色(免疫組織化学を含む)のための適切な固定方法について述べることができる。
(2) 病理診断における一般的な特殊染色の必要性を判断し、適切に選択できる。
(3) 一般的な特殊染色標本について、結果を評価できる。
(4) 代表的な酵素組織化学の病理診断への応用について説明できる。
(5) 免疫組織化学の陰性・陽性を判定できる。
(6) 各種腫瘍性疾患の鑑別診断や予後判定に必要な免疫組織化学の抗体を、適切に選択できる。
Advance-2
(1) 特殊染色に関する不良標本を識別し、不良となった原因について推定できる。
(2) 代表的な酵素組織化学の染色結果を判読できる。
(3) 神経病理・筋病理分野での特殊染色(筋病理の酵素組織化学を含む)を理解し、その結果について評価できる。
(4) 免疫組織化学の結果に影響するartifactについて説明できる。
(5) 免疫組織化学における抗原賦活化法について述べることができる。
(6) 蛍光抗体法、フローサイトメトリーのための適切な組織や液状検体を集め、保存できる。
(注:標本作成実習はII-6で行う)

3. 電子顕微鏡(電顕)標本の作製過程を説明し、結果を評価できる。
Basic
(1) 細胞の基本構造に関する知識を有し、超微形態を説明できる。
(2) 電顕標本提出の手順を述べることができる。
(3) 電顕試料の採取と取り扱いについて説明できる。
Advance-1
(1) 一般的に電顕が必要もしくは有用な代表的疾患の電顕所見について説明できる。
(2) 電顕用標本を適切に採取し、固定できる。
(3) 電顕標本の作成過程について説明できる。
(4) 電顕の操作方法の基本について述べることができる。
Advance-2
(1) 病理診断に有用な超微形態所見を評価できる
(2) 電顕による検索が必要な症例の場合、臨床医に助言を行い、適切な標本の提出を求めることができる。
(3) 電顕標本の作成、電顕操作、基本的な電顕診断ができる。(適宜)

4. 分子病理学的検索の原理を説明し、結果を評価できる。
Basic
(1) 疾患の診断に関連する分子病理学について基礎的原理を説明できる。
Advance-1
(1) Southern blotting、PCR、RT-PCR、FISH、karyotyping、fluorescence in situ hyblidizationの基本的手法について説明できる。
(2) 臨床診断に用いられる分子病理学的検査の方法、適応、範囲について説明できる。
(3) 頻度の高い遺伝性疾患の診断における分子病理学検査の役割を説明できる。
(4) 腫瘍性疾患、特に血液リンパ系疾患での診断における分子病理学的検査の役割を説明できる。
(5) 感染症診断における分子病理学的検査の役割を説明できる。
(6) 分子病理学的検査の報告を解釈できる。
Advance-2
(1) 臨床医に分子病理学的検査を適切に利用するように助言できる。
(2) 分子病理学に関する新しい検査方法を評価するための文献を検索できる。
(3) Southern blotting、PCR、RT-PCR、FISH、karyotyping、fluorescence in situ hyblidizationを実施できる。(適宜)

5. 病理診断に必要な臨床的事項を的確に判断し、病理診断との関連性を説明できる。
Basic
(1) 患者の病歴から、病理診断に必要な適切な情報を得ることができる。
Advance-1
(1) 臨床医に対して、病理診断に必要かつ十分な病歴を求めることができる。
(2) 病理標本作製に至急を要するものと要さないものの一般的状況について判断できる。
Advance-2
(1) 臨床的事項と病理診断との関連性を臨床医または患者に説明できる。

6. 病理診断に対してコンサルテーションの必要性を判断できる。
Basic
(1) 病理診断におけるコンサルテーションの意義について説明できる。
Advance-1
(1) 病理学会のコンサルテーション・システムの手続き、手順と、必要な標本やブロックの準備について説明できる。
(2) 院内コンサルテーションが実施できる。(適宜)
(3) 指導医の指導下に、院外コンサルテーションを実施できる。
Advance-2
(1) 病理診断(病理解剖・外科病理・細胞診)についてコンサルテーションの必要性を判断し、自ら実施できる。
(2) コンサルテーションの結果を臨床医または患者に適切に報告することができる。

II. 必要な技能

1. 病理解剖を執刀できる。
Skill level I
(1) 病理解剖の基本的手技(Rokitansky法:en bloc法、Virchow法)について説明できる。
(2) 病理解剖に必要な設備および器具の特徴と使用法を説明できる。
(3) 基本手技(Rokitansky法、Virchow法)で行われる病理解剖の胸腹部について、解剖介助ができる。
(4) 喉頭蓋と舌の摘出、下肢の血管、骨、関節の検索ができる。
(5) 病理解剖開始にあたり臨床経過をもとに、病理解剖で観察すべき臓器所見、採取すべき病変について述べることができる。
(6) 一般的な疾患について、指導医の指導のもとに、適切な臓器・組織の切り出しおよび保存ができる。
Skill level II
(1) Rokitansky法およびVirchow法による病理解剖が実施できる。
(2) 少なくとも1例の成人例、1例の小児例の病理解剖を(指導者や病理技師の助けをかりて)自ら執刀する。
(3) 脳を傷つけることなく取り出すことができる。
(4) 針による検体採取、関節液の採取、脊髄液の採取を含む、さまざまな病理解剖手技について基本的事項を説明できる。
Skill level III
(1) ルーチンの技法により、単純な症例であれば3時間以内、複雑な症例でも4時間程度で肉眼所見の検索を終えることができる。
(2) 当該症例に最も適切な解剖方法を選択し、指示または実施できる。
(3) 脊髄を傷つけることなく取り出すことができる。
(4) 眼球摘出、内耳や中耳の採取方法について説明できる。
(5) 血液や眼球内液を生化学的検査のために採取すべき状況とその採取方法を説明できる。
(6) 液状検体や組織を薬物検査のために保存すべき状況とその方法を説明できる。
(7) 病理解剖時に検体の特殊な取り扱いを要する検査(培養、捺印、遠沈、塗抹、flow cytometry、結晶成分の検出、電顕、免疫組織化学)について、基本的な検体採取方法および保存方法を説明できる。

2. 臨床事項と考察を含めた病理解剖報告書を作成できる。
Skill level I
(1) 症例の臨床経過を理解し、問題点の抽出・把握ができる。
(2) 執刀医の述べる肉眼所見を理解し、適切に記録することができる。
(3) 一般的な疾患について、肉眼所見を正しく把握し、適切に記載することができる。
(4) 指導医の指導のもと、病理解剖終了後24時間以内に、暫定病理解剖診断(Provisional Anatomical Diagnosis:PAD)を作成できる。
Skill level II
(1) 肉眼所見をもとに、臨床医または遺族に病理解剖結果について適切な説明ができる。
(2) 一般的な疾患について、顕微鏡所見を正しく記載することができる。
(3) 適切な肉眼写真、顕微鏡写真をフィルムもしくはデジタルカメラで撮影することができる。
(4) 一般的(単純)な症例について、臨床病理学的な病態生理の考察を含めた、決められた形式に則った最終病理解剖診断報告書を、解剖終了後3ヶ月以内に作成できる。
Skill level III
(1) 複雑な症例について、肉眼所見、顕微鏡所見を適切に記載し、臨床病理学的考察を加えた最終病理解剖報告書を作成できる。

3. 偏らない臓器・組織から得られた生検、手術材料を的確に診断し、報告書を作成できる。
Skill level I
(1) 各臓器の「癌取り扱い規約」の概要を述べることができる。
(2) 外科病理診断報告書に含まれるべき基本項目について述べることができる。(患者氏名、病院名、受付検体個数、提出年月日、必要な臨床情報、肉眼所見、顕微鏡所見、最終病理診断など)
(3) 外科病理診断結果が患者の治療方針決定や予後判定、治療効果判定に果たす役割について説明できる。
(4) 悪性腫瘍の一般的なstaging, gradingについて説明できる。
Skill level II
(1) 外科病理検体の肉眼所見、顕微鏡所見を正しく記載できる。
(2) 適切な肉眼写真、顕微鏡写真をフィルムもしくはデジタルカメラで撮影することができる。
(3) 特殊な取り扱いを要する検査(培養、電顕、遺伝子検索など)について説明し、そのための適切な処置を実施できる。
(4) 病理診断のための特殊染色、免疫組織化学、分子病理学、電顕などの応用技術の必要性を判断し、必要があれば実施して、結果を解釈することができる。
(5) 一般的な外科病理検体に対して、適切な病理診断報告書を作成できる。
(6) 一般的な外科病理検体の病理診断について、鑑別診断、治療効果判定、予後判定を含めた説明ができる。
(7) 一般的な外科病理検体の病理診断について、必要に応じて再切り出しを指示または実施することができる。
(注:ここで言う「一般的な外科病理検体」とは、当該病理研修医が研修する施設で一般的に多く扱われている分野の検体を指す。)
Skill level III
(1) 複雑な症例の外科病理診断について、Skill level IIで挙げた一般的な外科病理検体に準じて診断・報告ができる。
(2) 稀少例や特殊例に関して適切な文献検索を行い、最新の知見に基づいた診断ができる。
(3) 特殊領域(神経病理、筋病理など)の疾患に関する診断ができる。
(注:ここで言う「特殊領域」とは、当該病理研修医が研修する施設での検体数が少ないもの、あるいは取り扱う臨床科がないものを含み、必要に応じて他の研修施設での実地あるいは見学、講習会での診断知識の履修なども考慮する。)
(4) 他の初期研修医や病理医が扱った検体を含めて、一般的および複雑な症例の病理組織学的報告について、必要に応じた診断書の形式統一、鑑別診断の追加、特染や他の諸検査追加などにより、修正や追加報告を加えることができる。

4. 細胞診材料を診断し、報告書を作成できる。
Skill level I
(1) 各臓器の一般的な細胞診検体に関して、代表的細胞採取方法、標本作製方法とそれに要する時間を知り、細胞診検査で得ることのできる情報について述べることができる。
(2) 細胞診依頼伝票に含まれるべき内容、検体受付時の確認事項について説明できる。
(3) 一般的な細胞診検体に見られる正常、反応、炎症、異型性、腫瘍の細胞形態に関して説明できる。
(4) 細胞診検体のスクリーニングの方法について説明できる。
Skill level II
(1) 諸臓器の各種検体(婦人科、喀痰、気管支洗浄、擦過、体腔液、尿、穿刺吸引)を適切に処理できる。
(2) 塗抹、捺印、圧座、セルブロック作製を適切に選択し実施できる。
(3) 湿潤固定、乾燥固定の手技、意義、対象となる染色法を理解し、適切に選択して実施できる。(染色はパパニコロー染色およびギムザ染色について自ら行う。)
(4) 細胞診検体のスクリーニング(異型細胞の識別)ができる。
(5) 細胞診検体の適正、不適正を判定し、不適正な理由を述べることができる。
(6) 細胞診検体に含まれる病原体の識別ができる。
(7) 研修施設で一般的に行われている細胞診検体(婦人科、喀痰、気管支洗浄、擦過、尿、穿刺吸引)の典型例について、悪性度の評価(陰性、疑陽性、陽性の評価)と推定診断が正しくできる。
(8) 放射線、化学療法など、治療による細胞形態の変化を説明し、典型例について正しく判定できる。
(9) 婦人科領域の細胞診に関するBethesda systemについて説明し、これに従った診断ができる。
(10) 婦人科領域のHPV感染検査(プローブ分析)の原理・応用を説明できる。
(11) 婦人科以外の領域の細胞診に関する報告様式を説明し、これに従った報告ができる。
(12) 穿刺吸引細胞診について、施行方法(使用機材や材料、実施技術、実施に際しての患者・家族へのインフォームドコンセントなどに関する知識を含む)、細胞採取と処理について説明できる。
Skill level III
(1) 研修医の所属する研修施設で一般的に行われていない細胞診検体(例えば骨軟部、脳、リンパ節、口腔など)についての、細胞診所見を説明し、代表的疾患について正しい判定および推定診断ができる。
(2) 細胞診検体について画像分析、免疫細胞化学、flow cytometry、細胞遺伝学、電顕、分子病理(FISH法、PCR法)などの必要性を判断して実施し、結果を解釈できる。
(3) 細胞診報告書について、求められる内容に正しく答えているか評価できる。
(4) 細胞検査士と情報交換し、その指導ができる。
(5) 婦人科領域の自動スクリーニングの原理について説明できる。

5. 迅速病理診断において良悪性の判定をし、適切な報告ができる。
Skill level I
(1) 術中迅速組織診断の適応(意義)、手技、問題点、診断の限界について説明できる。
(2) 術中迅速細胞診の適応(意義)、手技、問題点、診断の限界について説明できる。
(3) 術中迅速診断検体の取り扱い方法および取り扱い上の注意点について説明できる。
Skill level II
(1) 術中迅速診断に際して、肉眼所見をもとに適切な切り出し部位を選択できる。
(2) 一般的な疾患について、迅速標本を受理後15分以内に適切な診断を下し、術者に報告できる。
(3) 術中迅速診断に際して、迅速細胞診併用の必要性を適切に判断し、実施できる。
(4) 凍結切片や捺印標本を用い、腫瘍切断端について適切な判定ができる。
(5) 術中迅速診断検体を適切に保存し、必要に応じて電顕や分子病理など応用技術のための処理をし、また永久標本として迅速診断結果の確認を行うことができる。
Skill level III
(1) 術中迅速細胞診標本の作製準備について説明できる。
(2) 術中迅速診断の凍結切片を作製して染色することができる。
(3) 凍結切片の質の良悪を判定して、技師への指導ができる。
(4) 術中迅速診断結果に基づいて、適切な治療法の選択について術者と協議できる。

6. 基本的な病理組織標本の作製(切出しから標本作製まで)を実施できる。
Skill level I
(1) 一般的な外科病理検体についての固定、保存方法とその注意点を説明できる。
(2) 各臓器の腫瘍取り扱い規約に基づく基本的な切り出し方法を説明できる。
(3) 病理解剖および外科病理検体における諸臓器の基本的な切り出し法について説明できる。
Skill level II
(1) 一般的な病理解剖および外科病理検体について、適切な切り出し部位や保存部位を選択し、切り出しができる。
(2) 病理組織検体を適切に固定し、包埋(パラフィンブロック作製)し、薄切ができる。
(3) 病理診断に必要な基本的な組織染色について、自ら実施できる。
(4) 病理組織標本の質を評価できる。
Skill level III
(1) 複雑または特殊な病理解剖例および外科病理症例について、臨床病理学的な検討や教育に利用可能で、かつ病理所見が保存されるような組織の取り出しと固定保存を実施できる。
(2) 病理診断に関する不適切標本を判断し、原因を推察して技師と情報交換し、あるいは指導できる。

7. 病理業務におけるバイオハザード対策を実行できる。
Skill level I
(1) 病理検査室で従事者に感染しうる病原体について説明できる。
(2) 病理解剖室での基本的な感染対策について、説明できる。
Skill level II以上
(1) 病理解剖室、病理検査室でのバイオハザード対策を実施できる。
(2) 院内感染対策に関して病理医として助言し、自らも実施できる。
(3) 細胞診検体取り扱い上の感染に関する注意点を説明、実施し、コメディカルの指導ができる。
(4) 術中迅速診断検体取り扱い上の感染に関する注意点を説明、実施し、コメディカルの指導ができる。
(5) 病理解剖室、病理検査室での感染防御のために必要な設備について説明し、病院としての対策に助言ができる。

8. CPC(Clinicopathological conference)や臨床とのカンファレンスにおいて、病理所見を的確に説明できる。
Skill level I
(1) 上級医の指導のもと、カンファレンスやCPCで病理所見の呈示資料を的確に準備し、説明ができる。
(2) CPCや臨床とのカンファレンスで、積極的に発言できる。
Skill level II以上
(1) 臨床とのカンファレンスで、症例を呈示し、合理的な結論を導き出すことができる。
(2) 自らが解剖した症例について、CPCで病理所見と臨床病理学的考察の呈示ができる。

III.求められる態度

1. 病理診断、病理解剖およびCPCなどに際して患者や遺族に対する配慮ができる。
Basic
(1) 病理診断業務で、患者または遺族に直接会って話をする場合の注意点を述べることができる。
(2) 病理診断、病理解剖およびCPCなどに際して、患者や遺族に対して適切な倫理的配慮ができる。
Advance-1以上
(1) 患者や遺族と適切なコミュニケーションを取ることができる。
(2) 求められた場合、患者や遺族に病理診断結果を適切に伝えることができる。

2. 病理業務において、臨床医と適切に対応できる。
Basic
(1) 病理業務において、臨床医との適切な情報交換・意見交換ができる。
Advance-1以上
(1) 病理業務において、臨床医に適切な助言ができる。
(2) 臨床医が求める病理学的情報や考察を、適切に伝えることができる。

3. 学生、臨床研修医および病理専門医初期研修医に対する病理の指導ができる。
Advance-1
(1) 学生、臨床研修医に対する病理の指導を補助できる。
Advance-2
(1) 学生の指導ができる
a.学生に対して基本的な病理学総論の講義ができる。
b.BSL(Bedside learning)の学生に、病理業務についての説明や、基本的事項の講義ができる。
c.BSL学生のCPC指導ができる。
(2) 臨床研修医の指導ができる。
a.臨床研修医の病理部研修について、適切な指導ができる。
b.臨床研修医のCPC研修について、適切な指導ができる。
(注:臨床研修医の指導医は、原則として病理専門医が担当する。)
(3) 初期研修医の指導ができる。
a.一般的な症例について、初期研修医の病理解剖実施を適切に介助し、病理解剖指導ができる。
b.依頼病理解剖例を初期研修医のために選択することができる。
c.初期研修医の病理解剖報告書作成を指導できる。
d.初期研修医の生検、手術材料の病理診断について、一般的な症例に関する指導ができる。
e.初期研修医の細胞診診断について、一般的な症例に関する指導ができる。

4. 病理業務に関してコメディカルと協調できる。
Basic
(1) コメディカルと良好な対人関係を構築し、適切なコミュニケーションを取ることができる。
Adcance-1以上
(1) コメディカル、臨床検査技師に適切な助言を与え、指導することができる。

5. 病理診断の精度管理について積極的に関与する。
Basic
(1) 病理診断の精度管理の基本について述べることができる。
Advance-1以上
(1) 病理学会が定める、認定施設に求められる精度管理要綱を説明できる。
(2) 病院(大学)および病理学会に提出が求められる精度管理内容について、組織し、実行し、分析することができる。
a.病理解剖室、病理検査室の作業管理について説明し、指導医の指導下に実施できる。
b.病理解剖室、病理検査室の安全管理について説明し、指導医の指導下に実施できる。
c.組織標本、特染についての精度管理について説明し、指導者の指導下に)実施できる。
d.病理組織標本の質(切片の厚さ、染色性など)を判断し、不良標本の原因を推察し、技師に指導できる。
e.病理診断精度の向上に対して適切な実施策を取れる。
(3) コンピュータを用いた最新の情報交換(文献検索を含む)を実施できる。
(4) 分子病理学など特殊検査に関する精度管理、精度向上、リスク、経済性、検査室管理について説明できる。

6. 学会、研修会、セミナーに積極的に参加する。
Basic
(1) 病理診断学に関する生涯学習について述べることができる。
Advance-1以上
(1) 学会、研修会、セミナーに積極的に参加する。
(2) 各種セミナーを通じて各自の診断や相談内容を自己調査して評価し、科学的事実を明らかにして評価し、患者の診療に役立てることができる。

7. 病理業務の社会的貢献に積極的に関与する。
Basic
(1) 病理業務の社会的貢献について述べることができる。
Advance-1以上
(1) がん検診における病理に役割について説明し、積極的に関与することができる。
(2) 病理業務の地域医療へのかかわりについて説明し、関与することができる。
(3) 医療における病理の役割(予防医学を含む)について、一般市民への啓発活動に関与することができる。

8. 人体病理学に関する研究を行い、結果を報告できる。
Basic
(1) 人体病理学に関する研究方法を説明できる。
(2) 倫理面に配慮した研究材料の収集ができる。
Advance-1以上
(1) 人体病理学の研究計画を立てることができる。
(2) 人体病理学に関する研究を実施し、結果をまとめることができる。
(3) 症例報告または人体病理学に関する研究成果を学会に発表できる。
(4) 症例報告または人体病理学に関する研究成果を論文としてまとめることができる。

2005年6月15日

新医師臨床研修制度(病理部門)アンケート報告

平成17年6月15日


病理専門医制度運営委員会


 日本病理学会では、平成16年度から始まった医師臨床研修制度における病理部門への研修状況およびCPC研修の状況について、全国80大学の附属病院および350の日本病理学会認定病院にアンケート調査を行った。その集計結果は、別表(MS PowerPoint for Win形式)の通りであった。多くの病院のご協力に対し、感謝申し上げたい。回答者から頂いた様々なご意見の詳細は、近く会報に報告する予定である。

なお、本アンケートの集計には東海大学医学部基盤診療学系病理診断学の梶原 博先生に多大なご協力をいただいた。

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