- 患者に対する侵襲が少ないことから繰り返し行える検査として普及している。現在は症状がない人に施行するスクリーニング的細胞診(子宮頸癌検診、肺癌検診)と、乳腺腫瘤や腹水など明らかな病変に対して行う、診断的細胞診に大別される。
- 病理組織診断はヘマトキシリン・エオジン染色で行われることが多いが、細胞診はパパニコロウ染色やギムザ染色が用いられる。
- パパニコロウ染色はスライドガラスに検体を薄く塗抹し、95%エタノールで固定した後、ライトグリーン(緑)、オレンジG(橙)、エオジン(ピンク)、ビスマルクブラウン(茶色)、ヘマトキシリン(紺)の5色で染色する。特に角化細胞がオレンジに染色され、扁平上皮系の異型細胞の検出に有用である。また一個の細胞全体を観察できることから、細胞質内顆粒や封入体の観察に優れる。
- 現在細胞診の報告書の様式にはさまざまなものがあり、各施設、臓器によって異なるといってもよい。
前がん病変から進行がんへの過程が解明されている子宮頸癌や肺扁平上皮癌では、浸潤癌への進行を推定した段階的な判定基準(日本母性保護医協会(日母)分類、日本肺癌学会の集団検診における喀痰細胞診の判定基準など)が作られている。(スクリーニング的細胞診)
- しかし甲状腺癌や乳癌など前がん病変が確定していない腫瘍については「腫瘍細胞あり」「腫瘍細胞なし」「判定が困難」に分けた判定が行われる。この場合の判定困難には「現在の判定者の知識、技能的に判定が困難(非常に高分化の癌や甲状腺濾胞癌)」と「細胞量や質が不十分であるために判定が困難」が含まれる。(診断的細胞診)また「判定」は客観的なものとはいえ、判 定者の「考え、経験」も含まれる余地がある。
- 細胞診の報告書を読むときは、まず、その各施設における対象臓器の判定基準をよく理解したうえで、目的とする細胞が採取されているのかどうかを確認し、その上で判定を解釈する必要がある。
- 患者に判定を伝えるのは主治医である。疑問があったら判定者とコミュニケーションをとることが重要である。