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2025年4月 7日
病理業務に関わる現行制度の下で実施可能なタスク・シフト/シェアの推進についての見解
令和7年5月1日
会員各位
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
会長 横地 常広
一般社団法人日本病理学会
理事長 小田 義直
会長 横地 常広
一般社団法人日本病理学会
理事長 小田 義直
厚生労働省の「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」における議論を踏まえ、厚生労働省医政局長通知「現行制度の下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進について」 (医政発0930第16号、令和3年9月30日)が示された。
臨床検査技師においては、14項目が現行制度下において実施可能とされ、うち病理業務においては以下の5項目が該当する。
1.細胞診や超音波検査等の検査所見の記載
2.生検材料標本、特殊染色標本、免疫染色標本等の所見報告書の作成
3.病理診断における手術検体等の切り出し
4.画像解析システムの操作等
5.病理解剖
今般、病理業務に関わる現行制度の下で実施可能なタスク・シフト/シェアを、病理医と病理部門の臨床検査技師とが協力し、円滑に、効率的かつ積極的に推進するため、日本病理学会から委員推薦を受け設置した日本臨床衛生検査技師会「令和6・7年度タスクシフトにかかわる病理検査業務検討WG」で協議を重ねて取り纏めた見解を以下に示す。
1.細胞診や超音波検査等の検査所見の記載
細胞診検査においては、臨床検査技師(細胞検査士の有資格者であることが望ましい)が細胞診検査報告書の下書きを作成することが可能である。この場合、陰性症例の場合には、必ずしも医師の確認を行わずに、臨床検査技師(細胞検査士の有資格者であることが望ましい)のみで細胞検査報告書として発行することが可能である。一方、腫瘍など陽性症例の場合は、臨床検査技師単独でなく、医師(病理医や細胞診専門医が望ましい)が確認した上で、細胞診断報告書として報告する必要がある。
2.生検材料標本、特殊染色標本、免疫染色標本等の所見報告書の作成
生検材料標本の報告書の下書き作成は、医行為である病理診断に直結するものであり臨床検査技師への業務移管は困難である。
一方、特殊染色標本、免疫染色標本およびがん遺伝子パネル検査のための腫瘍細胞含有率算定等の報告書の下書きの作成は、病理医による診断(仮診断・暫定診断を含む)後に実施される行為であり、臨床検査技師が、病理医による最終確認を条件に、特殊染色標本の評価、免疫染色標本等の染色態度の評価、陽性細胞の計数・定量判定、あるいはがん遺伝子パネル検査のための腫瘍細胞含有率の算定に関する報告書の下書き等を作成することは可能である。なお、これら報告書の下書き等に関しては、すべての施設で一律に行うべきものではなく、病理医の指示および統括のもと、施設ごとに、病理医と臨床検査技師(認定病理検査技師であることが望ましい)との十分な協議と合意形成に基づいて行うことが推奨される。
3.病理診断における手術検体等の切り出し
手術検体等の切り出し(検体の写真撮影、組織片切り出し、カセット詰など)については、病理医との適切な連携、指示の下、検体採取や検体の取り扱い等に関する専門的な知識・技術を有する臨床検査技師が実施することが可能である。なお実施に当たっては、施設ごとに、病理医と臨床検査技師との十分な協議と合意形成のもと、あらかじめ手順書等を作成し、それに基づいて実施することが推奨される。
4.画像解析システムの操作等
病理医が指定した病理組織標本をバーチャルスライドスキャナー等でデジタル化する作業、当該デジタル画像データの提供・保管・管理、および適切にデジタル画像を記録するために必要な装置の調整、またビューワーや画像解析システムなどのソフトウエアの管理等に関しては、病理標本の保管・管理等に関する専門的な知識・技術を有する臨床検査技師が担当することが求められる。
5.病理解剖
病理解剖は、臓器摘出という一部の行為だけで完結するものではなく、体表の外観や開胸・開腹時等の医学所見をとり、全身各臓器の状況を肉眼的に詳細に観察・診断し、適切な切出しを行い、作製した顕微鏡標本を観察して総合的な診断を行うまでの一連の医行為であり、医学的に高度な専門知識が必要とされる。また、死因究明や治療効果の適正性確認を目的とした病理解剖が多くなり、病因から治療まですべてを含めて判断する必要がある。加えて、医療訴訟への社会的責任を果たす義務も生じることから、臨床検査技師による病理解剖執刀の業務移管は困難である。
【結語】
タスク・シフト/シェアを積極的かつ支障なく進めるに当たって最も重要なことは、それぞれの施設において、病理医の指示と統括のもと、病理医と臨床検査技師とが十分に協議し、合意形成を築いた上で、施設の状況を勘案して、施設毎に具体的にどの業務を移管するかについて取り決め、施設毎に手順書等を作成し実施していくことである。同時に、指示と統括を行う病理医には、臨床検査技師の適正な技術評価と同時に、臨床検査技師が知識や技術を取得するための機会を保障し、移管先の臨床検査技師に過度の負担がかからぬための十分な配慮が求められる。病理検査室内の医療安全にも配慮し、病理医と臨床検査技師が相互に信頼できる関係性を構築し、医師の働き方改革、タスク・シフト/シェアを安全にかつ過度にならない範囲で積極的に推進することが求められる。
病理医と臨床検査技師には、質の高い国民医療を実現するため、常に患者さんの存在を意識し、「相互に協調」して、精度の高い病理検査の実現と検査室の運営に当たることが強く求められている。
令和6・7年度タスクシフトにかかわる病理検査業務検討WG
<委員>
東 学
伊藤 智雄(日本病理学会)
孝橋 賢一(日本病理学会)
佐々木 毅**(日本病理学会)
白波瀬 浩幸*
古屋 周一郎
山下 和也
<委員兼担当理事>
丸山 晃二
宮原 祥子
*委員長、**副委員長
2025年1月 6日
新規保険収載項目のご案内(p16)
令和7年1月6日
一般社団法人日本病理学会
社会保険委員会 委員長 佐々木毅
一般社団法人日本病理学会
社会保険委員会 委員長 佐々木毅
2025年1月1日付で、以下の項目が、「第13部病理診断」に保険収載されましたのでお知らせいたします。
N002 免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製
(11)p16 タンパク 720点
(1)~(10)略
(11) p16 タンパクは、子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)が疑われる患者であって、HE染色で腫瘍性病変の鑑別が困難なものに対してHQリンカーを用いて免疫染色病理標本作製を行った場合に、本区分の「1」エストロジェンレセプターを準用し算定する。
上記標本作製を行った場合には、病理診断料、病理診断管理加算の算定が可能となります。
詳細は、参考資料をご参照ください。
2024年12月26日
新規保険収載項目のご案内(FGFR2)
令和6年12月27日
一般社団法人日本病理学会
社会保険委員会 委員長 佐々木毅
一般社団法人日本病理学会
社会保険委員会 委員長 佐々木毅
2024年12月1日付で、以下の項目が、「第13部病理診断」に保険収載されましたのでお知らせいたします。
N005-2 ALK癒合遺伝子標本作製
FGFR2 融合遺伝子標本作製 7,524点
(1) ALK 融合遺伝子標本作製は、ALK 阻害剤の投与の適応を判断することを目的として、FISH 法により遺伝子標本作製を行った場合に、当該薬剤の投与方針の決定までの間に1回を限度として算定する。
(2) FGFR2 融合遺伝子標本作製は、治癒切除不能な胆道癌患者を対象として、FGFR 阻害剤の投与の適応を判断することを目的として、FISH 法(Break-apart法)により遺伝子標本作製を行った場合に、本区分の ALK 融合遺伝子標本作製を準用し、「希少疾病等の検査に用いるものとして配慮が必要な体外診断用医薬品に係る技術料の設定方法」に基づく係数 120/100 を乗じ算定する。なお、当該薬剤の投与方針の決定までの間に1回を限度とする。
上記標本作製を行った場合には、病理診断料、病理診断管理加算の算定が可能となります。
詳細は、参考資料をご参照ください(参考資料では保険点数が7,850点となっておりますが、正しくは7,824点です)。
2020年6月18日
病理診断に関する厚労省への疑義照会と回答に関して
会員各位
平成元年度に日本病理学会 総務幹事(現在の理事長) 町並陸生先生 より、
「患者(生存者)の病理診断に関し、標本の病理学的所見を客観的に記述すること(例えば異型細胞が多い、好中球浸潤が多い等)は医行為ではないが、それに基づき病理学的診断(がんである等)を行うことは、結果として人体に危害を及ぼすおそれのある行為であり、医行為であると考えるがどうか」
の疑義照会(平成元年12月20日)に対して、
「平成元年12月20日の疑義照会については、貴見のとおりである」との回答が、厚生省健康政策局医事課長より発出されました(平成元年12月28日医事第90号)。
この件に関しまして令和2年3月、日本病理学会理事長名で、再度、厚労省に疑義照会を行ったところ、令和2年3月27日に厚生労働省医政局医事課長より回答(医政医発0327第3号)がありましたので周知いたします。
>>疑義照会及び回答はこちら
内容に関しては、これまでも病理学会内でしばしば議論されてきたことではございますが、今後、大学講座等も含む関係諸機関とも慎重に議論を深め、国民医療に影響が出るようなことがないように徐々に体制を整備したいと考えます。ご協力、ご理解の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
令和2年6月18日
一般社団法人 日本病理学会
理事長 北川昌伸
医療業務委員長 佐々木毅
一般社団法人 日本病理学会
理事長 北川昌伸
医療業務委員長 佐々木毅
平成元年度に日本病理学会 総務幹事(現在の理事長) 町並陸生先生 より、
「患者(生存者)の病理診断に関し、標本の病理学的所見を客観的に記述すること(例えば異型細胞が多い、好中球浸潤が多い等)は医行為ではないが、それに基づき病理学的診断(がんである等)を行うことは、結果として人体に危害を及ぼすおそれのある行為であり、医行為であると考えるがどうか」
の疑義照会(平成元年12月20日)に対して、
「平成元年12月20日の疑義照会については、貴見のとおりである」との回答が、厚生省健康政策局医事課長より発出されました(平成元年12月28日医事第90号)。
この件に関しまして令和2年3月、日本病理学会理事長名で、再度、厚労省に疑義照会を行ったところ、令和2年3月27日に厚生労働省医政局医事課長より回答(医政医発0327第3号)がありましたので周知いたします。
>>疑義照会及び回答はこちら
内容に関しては、これまでも病理学会内でしばしば議論されてきたことではございますが、今後、大学講座等も含む関係諸機関とも慎重に議論を深め、国民医療に影響が出るようなことがないように徐々に体制を整備したいと考えます。ご協力、ご理解の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
2020年5月26日
新型コロナウイルス感染症等に関する日本病理学会の病理解剖指針(2020年5月27日)
新型コロナウイルス感染症等に関する日本病理学会の病理解剖指針(2020年5月27日)
5月25日、政府より全国的な緊急事態宣言の解除が発表されました。しかしながら、規制緩和が段階的に行われること、また直近1週間の人口10万人当たりの新規感染数が0.5という当初の国の基準を満たしていない道県があることも事実です。
5月14日の緊急事態宣言の一部解除を受け、病理学会として当時の基準をもとに病理解剖指針を発信し(5月18日)、現在、多くの医療機関で病理解剖が徐々に戻りつつあります。
今回の緊急事態宣言解除を受け、病理解剖指針の規制をさらに緩和するとともに、一方で、医療の検証としての病理解剖を安全に安心して行うために、新たな指針を提唱いたします。
なお、規制緩和や感染者数の推移をみて、今後も指針を随時変更していく予定です。ご所属の都道府県の感染者数の推移等の状況把握とともに、病理解剖前には臨床担当医との情報交換を十分に行い、病理学会の新着情報にもご留意の程、よろしくお願いいたします。
1. 臨床的に新型コロナウイルス感染症が疑われない患者さんについて
(1)新規感染者数が上記の国の基準を満たしている地域に関して
この地域に関しては、無症候感染者数が極めて少ないことが予想されます。新型コロナウイルス感染が臨床的に疑われない患者さんに関しては、病理医と臨床担当医の合議の上、各施設の判断と責任に委ね、従来の標準感染予防策にて病理解剖を行うことを許容します。なお、念のためエアロゾールが大量に発生するストライカー使用時や、手指を介しての結膜、口元からの接触感染等には十分に留意したうえで病理解剖を実施することとします。
(2)新規感染者数が上記の国の基準を超えている地域に関して
これらの地域でも新規感染者数が減少している現状を鑑み、感染の可能性が低いと考えられる場合には、病理医及び臨床担当医との合議により各施設の判断と責任に委ねることとします。ただし、PCR検査や抗原検査が実施可能な場合には、可能な範囲でPCR検査あるいは抗原検査の実施を検討事項とすることを推奨いたします。
2.新型コロナウイルス感染症患者さんおよび臨床的に感染が疑われる患者さんについて
臨床的に感染が疑われる患者さんについては、たとえPCR検査結果が陰性の場合であっても国立感染症研究所の感染予防策に従って病理解剖を実施することを推奨いたします。
*付記:病理解剖前あるいは病理解剖時のPCR検査実施に関しては、現在なお、欧州や米国など世界の各国では実施を求めている実態があります。
*ご質問、ご意見等は「日本病理学会事務局(jsp-admin@umin.ac.jp)」まで、メールにてお願いいたします。大変に恐縮ですが、現在、日本病理学会事務局は政府および東京都の方針に従い、8割勤務体制としております。電話での対応はお受けいたしかねますので、ご了解の程お願いいたします。
令和2年5月27日
一般社団法人日本病理学会
理事長 北川昌伸
医療業務委員長 佐々木毅
一般社団法人日本病理学会
理事長 北川昌伸
医療業務委員長 佐々木毅
5月25日、政府より全国的な緊急事態宣言の解除が発表されました。しかしながら、規制緩和が段階的に行われること、また直近1週間の人口10万人当たりの新規感染数が0.5という当初の国の基準を満たしていない道県があることも事実です。
5月14日の緊急事態宣言の一部解除を受け、病理学会として当時の基準をもとに病理解剖指針を発信し(5月18日)、現在、多くの医療機関で病理解剖が徐々に戻りつつあります。
今回の緊急事態宣言解除を受け、病理解剖指針の規制をさらに緩和するとともに、一方で、医療の検証としての病理解剖を安全に安心して行うために、新たな指針を提唱いたします。
なお、規制緩和や感染者数の推移をみて、今後も指針を随時変更していく予定です。ご所属の都道府県の感染者数の推移等の状況把握とともに、病理解剖前には臨床担当医との情報交換を十分に行い、病理学会の新着情報にもご留意の程、よろしくお願いいたします。
1. 臨床的に新型コロナウイルス感染症が疑われない患者さんについて
(1)新規感染者数が上記の国の基準を満たしている地域に関して
この地域に関しては、無症候感染者数が極めて少ないことが予想されます。新型コロナウイルス感染が臨床的に疑われない患者さんに関しては、病理医と臨床担当医の合議の上、各施設の判断と責任に委ね、従来の標準感染予防策にて病理解剖を行うことを許容します。なお、念のためエアロゾールが大量に発生するストライカー使用時や、手指を介しての結膜、口元からの接触感染等には十分に留意したうえで病理解剖を実施することとします。
(2)新規感染者数が上記の国の基準を超えている地域に関して
これらの地域でも新規感染者数が減少している現状を鑑み、感染の可能性が低いと考えられる場合には、病理医及び臨床担当医との合議により各施設の判断と責任に委ねることとします。ただし、PCR検査や抗原検査が実施可能な場合には、可能な範囲でPCR検査あるいは抗原検査の実施を検討事項とすることを推奨いたします。
2.新型コロナウイルス感染症患者さんおよび臨床的に感染が疑われる患者さんについて
臨床的に感染が疑われる患者さんについては、たとえPCR検査結果が陰性の場合であっても国立感染症研究所の感染予防策に従って病理解剖を実施することを推奨いたします。
*付記:病理解剖前あるいは病理解剖時のPCR検査実施に関しては、現在なお、欧州や米国など世界の各国では実施を求めている実態があります。
*ご質問、ご意見等は「日本病理学会事務局(jsp-admin@umin.ac.jp)」まで、メールにてお願いいたします。大変に恐縮ですが、現在、日本病理学会事務局は政府および東京都の方針に従い、8割勤務体制としております。電話での対応はお受けいたしかねますので、ご了解の程お願いいたします。
術中迅速病理標本作製・病理診断および病理組織未固定検体、細胞診検体の取り扱いについて―新型コロナウイルス関連―(日本病理学会 2020年5月27日)
術中迅速病理標本作製・病理診断および病理組織未固定検体、細胞診検体の取り扱いについて
―新型コロナウイルス関連―(日本病理学会 2020年5月27日)
5月25日に政府より発表された全国的な緊急事態宣言の解除等を受け、日本病理学会として表記病理検体の取り扱いに関して推奨する方針を変更いたしますので、ご周知の程よろしくお願いいたします。
1.臨床的に新型コロナウイルス感染症を疑わない患者さんからの未固定検体(術中迅速、細胞診等を含む)
原則、従来通りの「標準感染予防策(飛沫感染予防策、接触感染予防策)」に従って検体を扱うことを推奨します。なお、ハイリスク検体である気管支肺胞洗浄液、気管支ブラシ、喀痰、胸水、超音波気管支鏡下針生検、肺のコア生検の捺印細胞診標本といった呼吸器検体は、可能な範囲で個人防護服(キャップを含む)、N95マスクまたはPAPR(Powered Air Purifying Respirators)マスク、ゴーグルの着用を推奨いたします。
2.臨床的に新型コロナウイルス感染症を疑う患者さんからの未固定検体(術中迅速、細胞診等を含む)
PCR検査実施および結果の有無にかかわらず、個人防護服(キャップを含む)、N95マスクまたはPAPR(Powered Air Purifying Respirators)マスク、ゴーグルを着用の上、Biological Safety Cabinet (BSC) Class II(クリーンベンチは不可)で検体処理を行うことを推奨します。また、骨腫瘍など骨を含む検体では、標本作製時にストライカー等を使用する可能性があり、この際に大量のエアロゾールが発生することから、これらの検体に関しても十分に注意して検体処理を行うことを推奨いたします。
3.新型コロナウイルス感染患さんからの未固定検体(術中迅速、細胞診等を含む)
個人防護服(キャップを含む)、N95マスクまたはPAPR(Powered Air Purifying Respirators)マスク、ゴーグルを着用の上、BSCでの検体処理を推奨いたします。
*ご質問、ご意見等は「日本病理学会事務局(jsp-admin@umin.ac.jp)」まで、メールにてお願いいたします。大変に恐縮ですが、現在、日本病理学会事務局は政府および東京都の方針に従い、8割勤務体制としております。電話での対応はお受けいたしかねますので、ご了解の程お願いいたします。
―新型コロナウイルス関連―(日本病理学会 2020年5月27日)
令和2年5月27日
一般社団法人 日本病理学会
理事長 北川昌伸
医療業務委員長 佐々木毅
一般社団法人 日本病理学会
理事長 北川昌伸
医療業務委員長 佐々木毅
5月25日に政府より発表された全国的な緊急事態宣言の解除等を受け、日本病理学会として表記病理検体の取り扱いに関して推奨する方針を変更いたしますので、ご周知の程よろしくお願いいたします。
1.臨床的に新型コロナウイルス感染症を疑わない患者さんからの未固定検体(術中迅速、細胞診等を含む)
原則、従来通りの「標準感染予防策(飛沫感染予防策、接触感染予防策)」に従って検体を扱うことを推奨します。なお、ハイリスク検体である気管支肺胞洗浄液、気管支ブラシ、喀痰、胸水、超音波気管支鏡下針生検、肺のコア生検の捺印細胞診標本といった呼吸器検体は、可能な範囲で個人防護服(キャップを含む)、N95マスクまたはPAPR(Powered Air Purifying Respirators)マスク、ゴーグルの着用を推奨いたします。
2.臨床的に新型コロナウイルス感染症を疑う患者さんからの未固定検体(術中迅速、細胞診等を含む)
PCR検査実施および結果の有無にかかわらず、個人防護服(キャップを含む)、N95マスクまたはPAPR(Powered Air Purifying Respirators)マスク、ゴーグルを着用の上、Biological Safety Cabinet (BSC) Class II(クリーンベンチは不可)で検体処理を行うことを推奨します。また、骨腫瘍など骨を含む検体では、標本作製時にストライカー等を使用する可能性があり、この際に大量のエアロゾールが発生することから、これらの検体に関しても十分に注意して検体処理を行うことを推奨いたします。
3.新型コロナウイルス感染患さんからの未固定検体(術中迅速、細胞診等を含む)
個人防護服(キャップを含む)、N95マスクまたはPAPR(Powered Air Purifying Respirators)マスク、ゴーグルを着用の上、BSCでの検体処理を推奨いたします。
*ご質問、ご意見等は「日本病理学会事務局(jsp-admin@umin.ac.jp)」まで、メールにてお願いいたします。大変に恐縮ですが、現在、日本病理学会事務局は政府および東京都の方針に従い、8割勤務体制としております。電話での対応はお受けいたしかねますので、ご了解の程お願いいたします。
2020年5月18日
術中迅速病理標本作製・病理診断および病理組織未固定検体、細胞診検体の取り扱いについて―新型コロナウイルス関連―(日本病理学会 2020年5月18日)
術中迅速病理標本作製・病理診断および病理組織未固定検体、細胞診検体の取り扱いについて
―新型コロナウイルス関連―(日本病理学会 2020年5月18日)
5月14日に政府より発表された多くの地域での緊急事態宣言の解除等を受け、日本病理学会として表記病理検体の取り扱いに関して推奨する方針を変更いたしますので、ご周知の程よろしくお願いいたします。
1.臨床的に症状がなく、新型コロナウイルス感染の可能性がないもしくはほぼないと臨床医が判断した患者からの未固定検体の場合
これまでの病理検査室、病理診断の実績を鑑み、また、PCR検査、抗原検査あるいはN95マスク、フェイスシールド付きマスク、個人防護服などの医療資源が地域によってかなり逼迫ないし枯渇している現状を鑑み、臨床的に新型コロナウイルス感染の疑いがないあるいはほぼないと臨床医が判断した患者からの未固定検体(術中迅速、細胞診等を含む)の取り扱い関しては、従来通りの「標準感染予防策(飛沫感染予防策、接触感染要望策)」に従って検体を扱うことも許容する。
なお、PCR検査が未実施の場合、ハイリスク検体である気管支肺胞洗浄液、気管支ブラシ、喀痰、胸水、超音波気管支鏡下針生検、肺のコア生検の捺印細胞診標本といった呼吸器検体は、Biological Safety Cabinet (BSC) Class II(クリーンベンチは不可)で検体処理を行うことを推奨する。また、骨腫瘍など骨を含む検体では、標本作製時にストライカー等を使用する可能性があり、この際に大量のエアロゾールが発生することから、これらの検体に関しては術前のPCR検査実施の有無に関しての確認を行ってからの標本作製が推奨される。
2.新型コロナウイルス感染患者および臨床的に新型コロナウイルス感染症を疑う患者からの未固定検体の場合
引き続き、すべての未固定検体に関して、個人防護服(キャップを含む)、N95マスクまたはPAPR(Powered Air Purifying Respirators)マスク、ゴーグルを着用の上、BSCでの検体処理を必須とする。
*ご質問、ご意見等は「日本病理学会事務局(jsp-admin@umin.ac.jp)」まで、メールにてお願いいたします。大変に恐縮ですが、現在、日本病理学会事務局は政府および東京都の方針に従い、原則テレワークとさせていただいております。電話での対応はお受けいたしかねますので、ご了解の程お願いいたします。
―新型コロナウイルス関連―(日本病理学会 2020年5月18日)
令和2年5月18日
一般社団法人 日本病理学会
理事長 北川昌伸
医療業務委員長 佐々木毅
一般社団法人 日本病理学会
理事長 北川昌伸
医療業務委員長 佐々木毅
5月14日に政府より発表された多くの地域での緊急事態宣言の解除等を受け、日本病理学会として表記病理検体の取り扱いに関して推奨する方針を変更いたしますので、ご周知の程よろしくお願いいたします。
1.臨床的に症状がなく、新型コロナウイルス感染の可能性がないもしくはほぼないと臨床医が判断した患者からの未固定検体の場合
これまでの病理検査室、病理診断の実績を鑑み、また、PCR検査、抗原検査あるいはN95マスク、フェイスシールド付きマスク、個人防護服などの医療資源が地域によってかなり逼迫ないし枯渇している現状を鑑み、臨床的に新型コロナウイルス感染の疑いがないあるいはほぼないと臨床医が判断した患者からの未固定検体(術中迅速、細胞診等を含む)の取り扱い関しては、従来通りの「標準感染予防策(飛沫感染予防策、接触感染要望策)」に従って検体を扱うことも許容する。
なお、PCR検査が未実施の場合、ハイリスク検体である気管支肺胞洗浄液、気管支ブラシ、喀痰、胸水、超音波気管支鏡下針生検、肺のコア生検の捺印細胞診標本といった呼吸器検体は、Biological Safety Cabinet (BSC) Class II(クリーンベンチは不可)で検体処理を行うことを推奨する。また、骨腫瘍など骨を含む検体では、標本作製時にストライカー等を使用する可能性があり、この際に大量のエアロゾールが発生することから、これらの検体に関しては術前のPCR検査実施の有無に関しての確認を行ってからの標本作製が推奨される。
2.新型コロナウイルス感染患者および臨床的に新型コロナウイルス感染症を疑う患者からの未固定検体の場合
引き続き、すべての未固定検体に関して、個人防護服(キャップを含む)、N95マスクまたはPAPR(Powered Air Purifying Respirators)マスク、ゴーグルを着用の上、BSCでの検体処理を必須とする。
*ご質問、ご意見等は「日本病理学会事務局(jsp-admin@umin.ac.jp)」まで、メールにてお願いいたします。大変に恐縮ですが、現在、日本病理学会事務局は政府および東京都の方針に従い、原則テレワークとさせていただいております。電話での対応はお受けいたしかねますので、ご了解の程お願いいたします。
2020年4月27日
新型コロナウイルス感染症を含む病理解剖について
新型コロナウイルス感染症を含む病理解剖について(2020年4月27日更新)
新型コロナウイルス感染症に関しましては、全国医学部長病院長会議より、関係省庁宛てに、「医療崩壊、院内感染予防のため、入院患者全員に対して新型コロナウイルスのPCR検査を保険診療下で行える体制を整備すること」についての声明が提出されました。また、慶応大学病院からは、院内感染防止として入院患者全員にPCR検査を行ったところ、入院患者の約6%に無症候感染者が認められたと報告がありました(4月22日)。
これを受け、厚生労働省は4月24日の中央社会保険医療協議会の総会にて「新型コロナウイルスの院内感染が増えていることに関連し、症状がない入院患者についても、医師が必要と判断した場合にはPCR検査の保険適用を可能とする」との方針を明らかにしました。ただし、「入院患者全員に一律に実施する場合は対象外とし、近く保険が適用されるケースを整理して提示する」ともされております。
これらのことを鑑み、病理解剖の実施に関しては病理解剖前に新型コロナウイルス感染症のPCR検査を、原則すべての症例で実施することを推奨いたします。
<追記>
*新型コロナウイルス感染者の約80%はいわゆる無症候感染者であること。また、感染力が強いウイルスであること。
*感染した場合、高齢者でも発症しない者がいる反面、数は少ないながら若年、青壮年でも(基礎疾患がないにもかかわらず)症状が重症化し、稀ながら死亡する者もいること(発症者500人に1人が亡くなるともされています)。
*病理解剖は基本的には、感染対策に配慮した上で全症例行っておりますが、例えば結核に関しても、他の診療科の医療従事者に比較して病理部門の医療従事者は10倍以上の高い感染率であること。
*新型コロナウイルス感染症解剖に対しての感染予防策(国立感染症研究所から発出された感染予防策・マニュアル:会員専用ページに掲載)に対応している病理解剖室を有する医療機関は全国的に数カ所しかないこと。
*通常の感染対策で病理解剖を行った患者が無症候性の新型コロナウイルス感染者であった場合、解剖中のご遺体からの体液等の飛散等により、例えば結膜などにウイルスが付着したり、汗などに付着したりして、結膜や口腔等を通して感染する可能性がないとは限らないこと(その場合、感染した基礎疾患がない「個体」によって、重症化する者がいること)。
*患者が無症候感染者で臨床的にも感染を疑わず、PCR検査をせずに病理解剖を行った場合、病理解剖を執刀した病理医、検査技師、立ち会った臨床医の中で、複数の有症状者が出た場合には病理解剖での感染が否定できず、病理部門全体があるいは担当の診療科が閉鎖になる可能性があること(潜伏期間約5日から約14日あるため、無症状で出勤し、その後症状が出て、感染が判明した場合に、判明した時点で部門全体が濃厚接触者扱いになる可能性がある)。その場合、病理部門は病院の多くの診療科に関係する部門であり、病院の病理機能が2週間なり損なわれてしまう危険性があること(術中迅速診断、病理組織診断、細胞診断ができなくなる可能性があること)。
*すでに入院患者に対して、お見舞いの禁止など外部との接触を断っている医療機関もありますが、院内感染では無症候感染の医療者から患者への感染も確認されていること(外部との接触を避けていても感染していない無症候感染になっていることが否定できないこと)。
*1人病理医病院等で、病理医等が濃厚接触者となり自宅待機等になった場合、病院内の病理診断が滞らないように、平成30年診療報酬改定で新たに収載された「ICTを活用した自宅等での病理診断」に関して、特例措置として規制緩和を厚生労働省に要望しております(2020年4月9日)。4月27日時点では、まだ回答をいただいておりませんが、回答が得られましたら周知いたします。
*術中迅速診断検体、病理組織検体の未固定検体、細胞診検体などの感染防止対策については、こちらをご覧ください。なお、「パンデミック発生状況下における病理検体(組織・細胞)の取り扱い:CAPの指針(日本語訳)」を日本病理学会 元理事長 長村義之先生よりご提供いただきました。こちらもご参考にしてください。
ご質問、ご意見等は「日本病理学会事務局(jsp-admin@umin.ac.jp)」まで、メールにてお願いいたします。大変に恐縮ですが、現在、日本病理学会事務局は政府および東京都の方針に従い、原則テレワークとさせていただいております。電話での対応はお受けいたしかねますので、ご了解の程お願いいたします。
令和2年4月27日
一般社団法人日本病理学会
理事長 北川昌伸
医療業務委員長 佐々木毅
一般社団法人日本病理学会
理事長 北川昌伸
医療業務委員長 佐々木毅
新型コロナウイルス感染症に関しましては、全国医学部長病院長会議より、関係省庁宛てに、「医療崩壊、院内感染予防のため、入院患者全員に対して新型コロナウイルスのPCR検査を保険診療下で行える体制を整備すること」についての声明が提出されました。また、慶応大学病院からは、院内感染防止として入院患者全員にPCR検査を行ったところ、入院患者の約6%に無症候感染者が認められたと報告がありました(4月22日)。
これを受け、厚生労働省は4月24日の中央社会保険医療協議会の総会にて「新型コロナウイルスの院内感染が増えていることに関連し、症状がない入院患者についても、医師が必要と判断した場合にはPCR検査の保険適用を可能とする」との方針を明らかにしました。ただし、「入院患者全員に一律に実施する場合は対象外とし、近く保険が適用されるケースを整理して提示する」ともされております。
これらのことを鑑み、病理解剖の実施に関しては病理解剖前に新型コロナウイルス感染症のPCR検査を、原則すべての症例で実施することを推奨いたします。
<追記>
*新型コロナウイルス感染者の約80%はいわゆる無症候感染者であること。また、感染力が強いウイルスであること。
*感染した場合、高齢者でも発症しない者がいる反面、数は少ないながら若年、青壮年でも(基礎疾患がないにもかかわらず)症状が重症化し、稀ながら死亡する者もいること(発症者500人に1人が亡くなるともされています)。
*病理解剖は基本的には、感染対策に配慮した上で全症例行っておりますが、例えば結核に関しても、他の診療科の医療従事者に比較して病理部門の医療従事者は10倍以上の高い感染率であること。
*新型コロナウイルス感染症解剖に対しての感染予防策(国立感染症研究所から発出された感染予防策・マニュアル:会員専用ページに掲載)に対応している病理解剖室を有する医療機関は全国的に数カ所しかないこと。
*通常の感染対策で病理解剖を行った患者が無症候性の新型コロナウイルス感染者であった場合、解剖中のご遺体からの体液等の飛散等により、例えば結膜などにウイルスが付着したり、汗などに付着したりして、結膜や口腔等を通して感染する可能性がないとは限らないこと(その場合、感染した基礎疾患がない「個体」によって、重症化する者がいること)。
*患者が無症候感染者で臨床的にも感染を疑わず、PCR検査をせずに病理解剖を行った場合、病理解剖を執刀した病理医、検査技師、立ち会った臨床医の中で、複数の有症状者が出た場合には病理解剖での感染が否定できず、病理部門全体があるいは担当の診療科が閉鎖になる可能性があること(潜伏期間約5日から約14日あるため、無症状で出勤し、その後症状が出て、感染が判明した場合に、判明した時点で部門全体が濃厚接触者扱いになる可能性がある)。その場合、病理部門は病院の多くの診療科に関係する部門であり、病院の病理機能が2週間なり損なわれてしまう危険性があること(術中迅速診断、病理組織診断、細胞診断ができなくなる可能性があること)。
*すでに入院患者に対して、お見舞いの禁止など外部との接触を断っている医療機関もありますが、院内感染では無症候感染の医療者から患者への感染も確認されていること(外部との接触を避けていても感染していない無症候感染になっていることが否定できないこと)。
以上
*1人病理医病院等で、病理医等が濃厚接触者となり自宅待機等になった場合、病院内の病理診断が滞らないように、平成30年診療報酬改定で新たに収載された「ICTを活用した自宅等での病理診断」に関して、特例措置として規制緩和を厚生労働省に要望しております(2020年4月9日)。4月27日時点では、まだ回答をいただいておりませんが、回答が得られましたら周知いたします。
*術中迅速診断検体、病理組織検体の未固定検体、細胞診検体などの感染防止対策については、こちらをご覧ください。なお、「パンデミック発生状況下における病理検体(組織・細胞)の取り扱い:CAPの指針(日本語訳)」を日本病理学会 元理事長 長村義之先生よりご提供いただきました。こちらもご参考にしてください。
ご質問、ご意見等は「日本病理学会事務局(jsp-admin@umin.ac.jp)」まで、メールにてお願いいたします。大変に恐縮ですが、現在、日本病理学会事務局は政府および東京都の方針に従い、原則テレワークとさせていただいております。電話での対応はお受けいたしかねますので、ご了解の程お願いいたします。
新型コロナウイルス感染等、病理検体取扱いについて
術中迅速病理標本作製・病理診断および病理組織未固定検体、細胞診検体の取り扱いについて―新型コロナウイルス関連―
術中迅速病理組織標本作製時の検体処理・病理診断および病理組織未固定標本、細胞診検体等の取り扱い及び感染予防策に関しては、これまでも各医療機関等の病理部門におかれましても様々な工夫をされていることと存じますが、日本病理学会としての見解を下記にまとめますので、病理部門あるいは医療機関全体等で共有、ご参考にしていただきますよう周知の程、何卒よろしくお願いいたします。
1.新型コロナウイルスに感染していないことがPCR検査等で確認された患者の未固定検体に関して
*これまでと同様の感染対策を行って、検体処理等を行うこと。
2.COVID-19患者およびPCR検査未実施患者(全患者対象)の未固定検体に関して
*検体を扱う場合は、個人防護服(キャップを含む)を身につけ、マスクはN95マスクまたはPAPR(Powered Air Purifying Respirators)マスクを着用のこと。なお、N95マスクに関しては、厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策推進本部より発出された事務連絡に従って、再利用することも可能である。事務連絡には、滅菌器活用等による再利用に努めること(ただし、3回の再利用でN95マスクの換気能が低下するため、再利用は2 回までとすること、必要な場合は有効期限に関わらず利用すること、N95マスクには名前を記載し、交換は1 日1 回とすること、KN95 マスクなどの医療用マスクもN95 マスクに相当するものとして取り扱い活用するよう努めること、目に見えて汚れた場合や損傷した場合は廃棄すること、等の記述がある)。
*各種マスクを滅菌せずにビニール袋等に入れて保管の際には、ビニール袋に「外面」「口側面」などの記載を施し、外面と口側面がコンタミネーションしないように工夫を施すことも推奨される。
*気管支肺胞洗浄液、気管支ブラシ、喀痰、胸水、超音波気管支鏡下針生検、肺のコア生検の捺印細胞診標本といったすべての呼吸器検体は、すべてハイリスク検体であることから、取扱いには特に細心の注意を払うこと。
*結膜からの感染防止のため、フェイスシールド付マスクあるいはゴーグルを着用することが望ましい。
*検体の処理はBiological Safety Cabinet (BSC) Class IIで行うことが望ましい。
*ROSE(Rapid On-Site Evaluation)などの場合も、個人防護服やマスク着用が必須である。この場合の個人防護服やN95マスクは新品、あるいは滅菌後のものを使用することが推奨される(医療者が身に着けた個人防護服やマスクから患者に感染するリスクがある)。
*ROSEの際、立ち会う人員は最小限とすること。なおエアロゾール感染の危険性が伴うことから、当面行わないことも推奨される。
*以上、文献等からは上記の取り扱いになりますが、医療資源が枯渇しつつある現状を鑑みて、各施設で可能な限りの対応をお願いいたします。
*通常の感染対策よりも厳重な感染対策が必要となるため、不急の病理検査症例についてはできる限り検査を回避し、必要不可欠の場合に限り行うなどスケジュール調整等をし、後日、個人防護服など感染対策が可能になった段階で行うことも推奨されます。
*「パンデミック発生状況下における病理検体(組織・細胞)の取り扱い:CAPの指針(日本語訳)」を日本病理学会 元理事長 長村義之先生よりご提供いただきました。こちらをご参照ください。
ご質問、ご意見等は「日本病理学会事務局(jsp-admin@umin.ac.jp)」まで、メールにてお願いいたします。大変に恐縮ですが、現在、日本病理学会事務局は政府および東京都の方針に従い、原則テレワークとさせていただいております。電話での対応はお受けいたしかねますので、ご了解の程お願いいたします。
令和2年4月27日
一般社団法人日本病理学会
理事長 北川昌伸
医療業務委員長 佐々木毅
一般社団法人日本病理学会
理事長 北川昌伸
医療業務委員長 佐々木毅
術中迅速病理組織標本作製時の検体処理・病理診断および病理組織未固定標本、細胞診検体等の取り扱い及び感染予防策に関しては、これまでも各医療機関等の病理部門におかれましても様々な工夫をされていることと存じますが、日本病理学会としての見解を下記にまとめますので、病理部門あるいは医療機関全体等で共有、ご参考にしていただきますよう周知の程、何卒よろしくお願いいたします。
1.新型コロナウイルスに感染していないことがPCR検査等で確認された患者の未固定検体に関して
*これまでと同様の感染対策を行って、検体処理等を行うこと。
2.COVID-19患者およびPCR検査未実施患者(全患者対象)の未固定検体に関して
*検体を扱う場合は、個人防護服(キャップを含む)を身につけ、マスクはN95マスクまたはPAPR(Powered Air Purifying Respirators)マスクを着用のこと。なお、N95マスクに関しては、厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策推進本部より発出された事務連絡に従って、再利用することも可能である。事務連絡には、滅菌器活用等による再利用に努めること(ただし、3回の再利用でN95マスクの換気能が低下するため、再利用は2 回までとすること、必要な場合は有効期限に関わらず利用すること、N95マスクには名前を記載し、交換は1 日1 回とすること、KN95 マスクなどの医療用マスクもN95 マスクに相当するものとして取り扱い活用するよう努めること、目に見えて汚れた場合や損傷した場合は廃棄すること、等の記述がある)。
*各種マスクを滅菌せずにビニール袋等に入れて保管の際には、ビニール袋に「外面」「口側面」などの記載を施し、外面と口側面がコンタミネーションしないように工夫を施すことも推奨される。
*気管支肺胞洗浄液、気管支ブラシ、喀痰、胸水、超音波気管支鏡下針生検、肺のコア生検の捺印細胞診標本といったすべての呼吸器検体は、すべてハイリスク検体であることから、取扱いには特に細心の注意を払うこと。
*結膜からの感染防止のため、フェイスシールド付マスクあるいはゴーグルを着用することが望ましい。
*検体の処理はBiological Safety Cabinet (BSC) Class IIで行うことが望ましい。
*ROSE(Rapid On-Site Evaluation)などの場合も、個人防護服やマスク着用が必須である。この場合の個人防護服やN95マスクは新品、あるいは滅菌後のものを使用することが推奨される(医療者が身に着けた個人防護服やマスクから患者に感染するリスクがある)。
*ROSEの際、立ち会う人員は最小限とすること。なおエアロゾール感染の危険性が伴うことから、当面行わないことも推奨される。
*以上、文献等からは上記の取り扱いになりますが、医療資源が枯渇しつつある現状を鑑みて、各施設で可能な限りの対応をお願いいたします。
*通常の感染対策よりも厳重な感染対策が必要となるため、不急の病理検査症例についてはできる限り検査を回避し、必要不可欠の場合に限り行うなどスケジュール調整等をし、後日、個人防護服など感染対策が可能になった段階で行うことも推奨されます。
*「パンデミック発生状況下における病理検体(組織・細胞)の取り扱い:CAPの指針(日本語訳)」を日本病理学会 元理事長 長村義之先生よりご提供いただきました。こちらをご参照ください。
ご質問、ご意見等は「日本病理学会事務局(jsp-admin@umin.ac.jp)」まで、メールにてお願いいたします。大変に恐縮ですが、現在、日本病理学会事務局は政府および東京都の方針に従い、原則テレワークとさせていただいております。電話での対応はお受けいたしかねますので、ご了解の程お願いいたします。
2009年8月28日
早期・進行性乳癌におけるHER2判定の変更についてのご報告
トラスツズマブ病理部会よりHER2検査ガイドの改訂の報告がございましたのでお知らせ致します。
医療業務委員長
根本 則道
根本 則道
ASCO/CAP ガイドラインの準拠に関して
5月19日に開催されました第18回トラスツズマブ病理部会にて、HER2検査・判定の更なる精度向上ならびに精度管理を目指して、我が国におきましてもASCO/CAP ガイドラインを準拠することといたしましたので、ご報告申し上げます。
ご承知の通り、2007年にASCO/CAP HER2 検査ガイドライン(*2)が定められ、現在、 北米、ヨーロッパ、オーストラリア等においては、幅広くこのガイドラインが導入されております。
本邦におきましては、2001年6月にHER2陽性転移性乳がんを適応としてトラスツズマブの投与が認可となり、同時に提唱されたガイドラインに沿ってこ れまで治療の基本となるHER2過剰発現/遺伝子増幅の判定が行われてきましたが、更に2008年2月にトラスツズマブは術後補助療法の適応追加がなされ ました。このことにより、HER2検査の正確性は益々重要となってきており、更なる精度管理が求められているところであります。
以上を鑑み、我が国におきましても、より正確なHER2検査・判定を目指してASCO/CAPガイドラインを準拠することといたしました。HER2検査の 依頼元である臨床医・病理医、検査・判定にあたられる技術員・病理医の方々には、精度向上のグローバルスタンダードである旨をご理解の上、本件よろしくご 了解・ご協力の程お願い申し上げます。
なお、従来の判定基準に比べ、変更の要点は、以下の2点です。骨子は、equivalentの巾を広げre-testして精度を向上させようとするものです。
1. 対象は、免疫組織化学IHC法とFISH法。
2. Equivocalの巾を広げ、Re-test, re-countによる再確認を行う。
(1) IHC法の場合:
強い完全な細胞膜の陽性染色がある癌細胞の30%を超える場合を3+とし、陽性とする。(従来は10%以上)
(2) FISH法の場合:
1.8-2.2をequivocalとしてFISH法のre-count(あるいはre-test)を行う。再度のFISH判定でもEquivocalの場合は2.0以上を陽性とする。
※詳細は新HER2検査ガイド 第3版(PDFファイル参照)をご覧ください。
>>新HER2検査ガイド 第3版(PDFファイル)はこちら
※詳細は乳癌・胃癌HER2病理診断ガイドライン 第2版(2021年4月刊行)をご覧ください。
強い完全な細胞膜の陽性染色がある癌細胞の30%を超える場合を3+とし、陽性とする。(従来は10%以上)
(2) FISH法の場合:
1.8-2.2をequivocalとしてFISH法のre-count(あるいはre-test)を行う。再度のFISH判定でもEquivocalの場合は2.0以上を陽性とする。
>>新HER2検査ガイド 第3版(PDFファイル)はこちら
※詳細は乳癌・胃癌HER2病理診断ガイドライン 第2版(2021年4月刊行)をご覧ください。
2009年9月吉日
トラスツズマブ病理部会(*1)
代表 長村義之
トラスツズマブ病理部会(*1)
代表 長村義之
(*1)トラスツズマブ病理部会
顧問: 坂元吾偉(坂元記念クリニック乳腺病理アカデミー・院長)
代表:
長村義之(東海大学医学部基盤診療学系病理診断学・教授)
笹野公伸(東北大学大学院医学系研究科・教授)
津田均(国立がんセンター中央病院臨床検査部病理検査室・医長)
徳田裕(東海大学医学部乳腺・内分泌外科・教授)
渡辺亨(浜松オンコロジーセンター・センター長)
戸井雅和(京都大学大学院医学研究科乳腺外科学・教授)
検討委員会
委員長:
津田均(国立がんセンター中央病院臨床検査部病理検査室・医長)
秋山太(癌研究会癌研究所病理部・臨床病理担当部長)
黒住昌史(埼玉県立がんセンター病理診断科・科長兼部長)
梅村しのぶ(東海大学医学部基盤診療学系病理診断学・准教授)
(50音順)
(*2) ASCO/CAP HER2ガイドライン
Wolff AC, et al.: J Clin Oncol 25, 118-145(2007)