理事会の最近のブログ記事
2009年8月20日
Pathology International 編集長(editor)の募集について
理事長 長村 義之
Pathology International現編集長の任期満了にともない、平成22年以降の編集長を下記の要領により募集いたします。応募、または推薦の書面を病理学会事務局までお送り下さい。
<応募要領>
1.応募は自薦、他薦を問わないこと。
2.応募者は、学術評議員である日本病理学会会員であること。
3.応募者が自薦の場合は、氏名、所属機関、応募の要旨を、また他薦の場合は、推薦する候補者名を記 載した書面(書式は自由)を提出すること。
4.任期は、平成22年1月1日より4年とすること。再任可であるが2期目以降は任期2年とすること。
5.締め切りは、平成21年9月30日(消印有効)とすること。
2006年4月 7日
平成18/19年度常任理事会所信表明
平成18年4月7日
常任理事会
理事長 長村義之(東海大学)
4月1日より社団法人日本病理学会の理事長を拝命いたしました。その責任の重さを感ずると同時に、伝統ある病理学会の発展のため尽力する意欲に燃えております。
日本病理学会は、会員の皆様のこれまでのご努力で学術および診療業務において着実に発展して来ております。特に今回の診療報酬改定に
おいては、他診療領域に比較して特記すべきプラス評価がなされたことは、その発展に弾みをつける良い機会と考えております。その診療報酬の患者負担分を考
えるとき、病理学会として説明責任が増すと同時に、社会への責任を果たすため診断精度の更なる向上が要求されるものと思います。 一方では、病理専門医の
不足が近年学会内外で唱えられて来ています、毎年認定される病理専門医の数から見ても、臨床研修医を踏まえたリクルートの仕組みを考える必要があります。
それには、病理医の地位の確立、社会での認知なども必須の事項と思います。更には、すべての根幹となる「病理学」が魅力ある学問分野として発展するための
研究組織のあり方なども検討する必要があります。 このような状況にあって、我々は、充分な現状の分析に基づき5年~10年後を見据え、内部に留まらず、
外に向かっても種々の企てを進める時期であると思います。これまで積極的に進めて来ました学術・診療に関わる重要課題は引き続き進めて行きたいと思いま
す。 更に深く掘り下げて進める必要のある課題のテーマを以下の3つに分けて進めたいと考えています。
1.病理医の職能と地位の確立
各医療施設内に、病理医の職能を発揮する部署が確保され、それが院外表示可能となり、病理診断・標本作製などが充分な診療報酬に裏付
けられることが目標です。今回の診療報酬改定も充分に咀嚼した上で、我々の職能の標榜などとも関連付けながら然るべき要望を提出していきたい思います。社
会への責任を充分に果たすために、本年度から施設認定・更新に導入する病理診断の精度管理も内容を充実させ実行していく必要があります。このような病理診
断に関わる内容を学会外へ広報・周知して、厚生労働省をはじめとした行政への働きかけを精力的に進めたいと存じます。このような環境の整備は、学生・研修
医へ病理のプラスイメージを見せるためにも重要と考えています。
2.病理医の育成と倍増
学生の卒前教育における病理学の内容を、更に魅力的に整備し臨床研修での病理学の位置付けを明らかにすることが急務と考えます。 学
会として学生・研修医への働きかけを強化することが必須です。 「病理学」を学問および診療体系において更に明確に位置付けるために、基礎としての「病理
学」、クリニカルクラークシップの一貫としての「病理学」、臨床研修医における「病理学」、専門医教育としての「病理学」などを一連の教育の流れとして整
備してみたいと思います。それには、学会内でコンセンサスを得ながら、各施設内での教育システムへの位置付けが重要です。その上で、学生・研修医との接点
を多く持つ仕組みを構築したいと思います。
3.学術・研究の推進
言うまでもなく、日本病理学会は学術団体であり、研究面の推進が重要であり、病理業務とは、車の両輪として機能することが必要です。
幸い学会には世界に通用する業績を出されている若手研究者が数多くおられ、頼もしい限りです。研究の夢を語りながら互いに切磋琢磨し、病理学研究の独自性
を強調し大型研究費の獲得を推進すると同時に、学術奨励賞や学術研究賞(A演説)などを通して優秀な若手研究者の発掘・育成に力を入れたいと考えておりま
す。
日本病理学会として、このような目的の実現のために、何が必要なのかを会員の皆様と充分にご相談しつつ、具体的な提案をし、それを事
業計画に組み入れて行きたいとい思います。そのためには、現行の財務の見直し、組織の見直しを通しての改革が必要と思います。 我々が、学会として事業を
展開してゆくために、現行の学術団体としての組織のみで可能なのか、新たな組織(財団など)を形成する必要があるかも慎重に議論をしていきたいと思いま
す。 企画委員会を含め各委員会には、相互が柔軟に連携し、会員のニーズ、社会のニーズを汲み取りながら、具体案の作成をお願いしたいと考えています。
私は、今こそ会員の皆様の英知を結集する時と心得ております。社団法人日本病理学会の更なる発展のため、会員一同の皆様の一層のご協力・ご尽力をお願いいたします。
副理事長・常任理事・学術委員長 岡田保典(慶應義塾大学)
病理学会副理事長、学術委員長を務めることとなりました。長村理事長と協力して、本学会の発展のために尽力したいと思っております。 次代を担う病理医・病理研究者の育成・倍増を目指す本学会においては、診断病理と実験病理の一方に偏ることなく両者がバランスよく運営されることが肝要で す。このような観点から、「実験的事実に裏打ちされた診断病理」と「ヒト疾患の診断・治療に結びつく実験病理」が表裏一体となった情報を提供できる病理学 会を目指して努力したいと思っております。これまで、学術委員会・研究推進委員会ではA演説の位置付けや病理学会学術集会の改革・活性化について討議し、 改革案を提示してきました。今後、改革案を実施に移し、「学術研究活動の発表・意見交換」と「診断病理に関する最新情報の収集」を乖離することなく保証で きる場を実現していきたいと考えております。学会員の皆様のご支持とご協力をよろしくお願い申し上げます。
副理事長 深山正久(東京大学)
長村理事長のもと、副理事長、企画委員長として病理学会の発展に尽くしたいと思います。
1)5-10年後、「病理学会員数6000名規模」を実現し,新たなステージに病理学会を押し上げるため、病理医のリクルートに対する取り組みを充実させたいと思います。
2)病理学会の活動を活性化することを目指し、実験病理,臨床医学双方の先端を取り入れ,咀嚼する企画を打ち出したい。
3)病理学会の組織のあり方、とくに病理専門医部会の位置づけ、病理専門医指導医と学術評議員の関係と活動、学会費の値下げなどに関して、大胆な提案を行いたい。
4)旧来の考え、権利、伝統に固執することなく、新しいステージを目指すためには、明確な提案と率直な議論が重要だと考えています。常に、十分に議論を尽くすべく努力したいと思います。
常任理事・財務委員長 真鍋俊明(京都大学)
過日、常任理事会準備会が開かれ、日本病理学会の現状と抱えている問題点を明らかにする努力がなされました。そして、これらの問題点を共有のものとし、解決へ向けて努力することを確認し合いました。新理事長以下常任理事の熱意に満ちた会でした。
この新体制の下、財務担当として病理学会の発展のために尽くしたいと思っております。まず財務状況をきちんと把握し、評価する。その上で、企画担当その
他理事、各種委員会委員長とともに現行の諸事業の妥当性、方向性を見直し、発展させるべき所、維持すべき所、縮小ないし廃止すべき所を明らかにして行きた
いと考えます。学会の活動も経済によって大きく左右されますが、これだけに捕らわれることなく、将来の方向性を見据えた大胆な企画も必要で、この点を考え
た財務からの見直しや支援が必要と思っています。今、社会全体も変革の時期です。舵取りを間違えないよう財務面から考えていく所存です。
常任理事・病理専門医部会長 黒田 誠(藤田保健衛生大)
この度平成18年度/19年度の常任理事を拝命いたしました。私の任務は病理専門医部会長として長村理事長を支えていくことです。今 回の診療報酬改訂にあたり、病理診断に係る評価の充実が重点項目として取り上げられ、常勤病理医の要件が緩和される等、厚生労働省も医療の現場における病 理の重要性と現実の病理医の実情を把握し理解を示してきております。しかしながら、病理医を育成していく立場にある病理学会としては入局者の減少,病理専 門医試験受験者の減少という厳しい現実が突きつけられております。理事長の所信表明にもありますが若い世代へ向けて魅力あるメッセージを発信して人材確保 へ向け、あらゆる手段を試みながら努力していかなければ社会からの評価を失いかねません。とにかく実行あるのみですので、この問題に今までの様々な経験を 生かして全力で取り組んでいく所存でございます。会員の皆様の御理解、御協力の程宜しくお願い申し上げます。
2004年6月 4日
医療訴訟鑑定人候補者推薦について
平成15年7月17日
常任理事会
本年4月、最高裁判所事務総局から、「現在進行している一件の医療訴訟のために病理医の鑑定人を学会として推薦して欲しい」という 依頼がありました。常任理事会は、担当係官に来ていただいて説明を受けるなど2ヶ月余にわったって本件を審議してきた結果、このたび、「社会への使命を果 たすという観点から、日本病理学会は本件に前向きに対応する」という方針をとることにし、1名の鑑定人候補を推薦いたしました。以下に、この間の経過と主 要な論点をご報告いたします。本件について疑問やご意見がありましたら、理事長、広報委員長もしくは事務局までおとどけください。
"医療訴訟鑑定人候補者推薦について・・・・経過と主要な論点"
1. | 平成14年秋 最高裁民事局より、医療訴訟について鑑定手続きを改正しつつあるのでご理解いただきたいという趣旨の手紙と、それを解説したパンフレット「これからの医療訴訟」を受け取る。具体的要請はなく、ご理解いただきたいという趣旨の内容であった。 |
2. | 平成15年4月 最高裁判所医事関係訴訟委員会(委員長森亘先生)より、鑑定人候補者推薦依頼書と、森委員長からの手紙を受け取る。手紙は、従来の鑑定手続きに(1)鑑定 人の時間的・精神的負担が大きい、(2)鑑定人に対して裁判所側や弁護士側から不適切な対応があったことなど、問題があったので、その改善にむけた取り組 み、努力をおこなっているのでご理解いただきたいという趣旨の報告と、それを踏まえて病理学会として鑑定人候補者を選んでいただきたいという依頼であっ た。 |
3. | 平成15年5月 病理学会常任理事会にてこの申し出を審議。数点の問題点(内容は以下)が指摘され、それらがクリアされたら、前向きに対応してゆくべきであるという点で合意。 |
4. | 同5月22日 病理学会から民事局への書簡「医事訴訟鑑定人依頼についての伺い」発送。主に以下の4点について問い合わせた。 (1) 鑑定という行為が鑑定人にとって誇りと思える環境づくり、正の履歴になるような方策がどうとられているか?謝意の表現、勤務先への配慮などについて(2) グループ鑑定はありうるか?(3)候補者は全国的基盤から選ぶということでよいか?(4)鑑定人に対する報酬の算定基準。 |
5. | 同6月13日 最高裁総務局民事局係官との会合:記録は以下資料にあり。 |
6. | 同7月8日 常任理事会。上記会合の報告を受け、審議。学会としての基本的問題に対して対応がなされているとの判断で一致し、結論として本件に前向きに対応してゆくことを申し合わせた。鑑定人候補者一名を推薦した。 |
資料 最高裁判所事務総局民事局係官との会合・記録
最高裁判所事務総局民事局係官との会合・記録
日時 | : 2003年6月13日午前10時~11時 | ||||
所 | : 日本病理学会事務所 |
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出席者 |
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1. | 最高裁側よりの医療訴訟の現状の説明
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2. |
学会より提出した"医療訴訟鑑定人依頼についての伺い"
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(文責:坂本)
平成16年度理事長・常任理事就任挨拶
平成16年6月
理事長 森 茂郎
ご支持をいただきまして、あと2年理事長をつとめさせていただきます。課せられた案件は多く、中には解決が容易でない課題も少なくないのですが、役員一同、正面から努力してゆく所存です。引き続きご支援をお願いいたします。
学会の中期的な課題と方向につきましては、昨年度、将来構想計画委員会および監事から答申をいただいており、その基本線を重視し、肉付けして実行してゆく所存です。会員諸賢にはこれら答申へのご理解と実行へのご支援、またさらに前進するための論議をお願いたします。
諸課題の解決には、社会情勢、医療情勢、学問の進展など外的要因がおおきく関わっておりますが、一方では会員の積極的な尽力がなければ何事も解決できないという面があります。会員のおおきなエネルギーが結集できるような環境を作ることが非常に大切であると思っており、そのための形の整備を模索しています。会員諸君、特に若い方々の学会活動への積極的なご参加をあらためてお願い申し上げます。
副理事長・財務委員長 坂本 穆彦
平成14・15年度の財務担当理事にひきつづき、昨年の選挙では今期(16・17年度)も理事にお選びくださり、会務での活動の場 をお与えいただいた会員の皆様に御礼申しあげます。これまでは財務担当常任理事として、学会会計の健全な運営にとりくんでまいりました。今期は、年度末に監事の先生方よりいただいた答申を参考にし、全面的な見直し作業を行う予定です。また、常任理事会での学会が関与する諸事項の検討に常任理事として加わると同時に、副理事長、企画委員会委員長、財務委員会委員長、「診断病理」編集長、癌取扱い規約委員会委員長としての立場からも会務にとりくみます。とくに、企画委員会では変貌著しい医療環境の中での病理専門医のあり方、病理担当検査技師の専門性の認定の2点に関しては焦眉の問題としてとらえ、ワーキンググループを設置して早急に学会としての対応策を模索したいと考えております。会務運営の全般につきまして、会員の皆様から忌憚のない御意見をお聞かせいただければ幸いです。
副理事長・病理専門医部会長 長村 義之
日本の医療におけるさまざまな局面で日本病理学会・病理専門医の責任ある対応が求められて来ております。今回の診療報酬改訂では、病理診断料・病理検査判断料などが出来高となり、ドクターズフィーの導入の先駆けとして高く評価されるべきと考えます。また、臨床研修の必須化にともない、病理学会もその専門医育成に臨床研修を義務化いたしました。更に、医療の内容も変革してきており、病理診断の内容にも対応が求められてきています。このような背景と種々の課題の中で、今期はこれまでの活動を基盤に、臨床研修を踏まえた病理専門医育成のための研修内容の普及、平成18年度の診療報酬改定に向けての病理学会からの要望(出来高払いとドクターズフィーの確立など)、病理専門医部会活動の充実(職場環境の改善 適正配置と地域連携 精度管理、医業としての病理診断、生涯教育)など諸委員会とも力をあわせ課題を整理しつつ積極的に取り組みます。どうぞご支援ください。
常任理事・学術委員長 岡田 保典
病理学においては、診断病理学と実験病理学(分子病理学)を融合させた間口の広い「統括病理学」を実践することが今こそ肝要と私は考えております。病理学会は、病理診断・解剖を通して診療に関わる実践的な側面と病気の原理を究める学問としての両面をもつことから、診断病理と実験病理の一方に偏ることなく運営されるべきと思われます。学術委員長として、「実験的事実に裏打ちされた診断病理」と「ヒト疾患の診断・治療に結びつく実験病理」が表裏一体となった情報を提供できる病理学会を目指して努力したいと考えております。より具体的には、学会における優れた演説の選考や学術奨励賞の選考、研究推進事業(技術講習会、病理カンファランスなど)、学術雑誌の発刊、などをこれまで以上に活性化していくとともに、春・秋の病理学会のあり方についても再検討していきたいと思っております。病理学会員の皆様のご意見とご協力をよろしくお願い申し上げます。
2002年12月18日
名誉会員の内規および関連する事項の改訂について
(社)日本病理学会 理事会
名誉会員の内規の改定および法人化後に設定された功労賞の運用につき、これまで検討を加えてきたが、このたび成案が得られたので、平成 14年秋期総会にて以下の提案を行った。質疑応答にて特段の異議はとなえられなかったが、ここにその内容を提示し、ひろく会員の皆様からの御意見をつのる こととしたい。御意見のある場合には平成15年1月末までに学会事務局あてに文書でお届けいただきたい。これらを集約して常任理事会・理事会で再度検討 し、できるだけ早い時期に実施にうつす予定である。
改訂の背景:
これまでの名誉会員推戴基準では、日本病理医協会と合体し、法人化した現在の(社)日本病理学会の会員の活動の顕彰には不充分であるとの 認識のもとに、基準となる要件の追加などの措置がとられてきた。たとえば、学術活動としては、宿題報告の他に診断シリーズの発表担当が加えられたりした。 他方、日本病理医協会の主務であった病理診断業務への評価がこれらの小改訂では十分ではなく、別途、功労賞が設定され、理事会ではその選出基準もあわせて 論議してきた。
これらをふまえた理事会としての方針が、平成14年度秋期総会にて示された。
改訂の内容:
(1) | 名誉会員は、満65歳に達した学術評議員歴25年以上の会費完納会員を対象とする。これによって本学会における多様な活動をその内容自体に優劣をつけずに一括して評価対象とすることができる。 推戴のプロセスは従来通り、理事会の議を経て、本人の承諾を得た後、総会で承認するものとする。 外国人の扱いには変更を加えない。 |
(2) | 会費規定に終身会費を設け、名誉会員就任にあたっては、あらかじめ終身会費を納入するものとする。 |
(3) | 功労賞は運用せず、規約改訂時にこの項を削除する。 |
従って、満65歳以上でかつ、学術評議員25年以上の会員の方のその後の立場は、名誉会員推戴に関連して整理すると次の3通りにわかれます。
1. | 名誉会員推戴を受諾するとともに終身会費を納入した場合は、以後は名誉会員となり、それ以降の年会費納入は不要です。 |
2. | 名誉会員推戴を辞退した場合は、以後も学術評議員としてとどまります。会費納入に関しては、それまで通り、年ごとに年会費を納入するか、一括して終身会費を納入するかは自由です。 |
3. | 名誉会員に推戴されない場合は、学術評議員としてとどまります。会費納入に関してはそれまで通り、年ごとに年会費を納入するか、一括して終身会費を納入するかは自由です。 |
なお、ここでのべている会費とは(社)日本病理学会会費のことであり、病理専門医部会会費はこれとは別の扱いとなります。
2002年9月 5日
"国立大学附属病院の医療提供機能強化を目指したマネージメント改革について(提言)" 関係の最近の動向 (お知らせ)
以下のような(おしらせ)を国公私立大学病理関係教授宛に送付しましたので掲載いたします。 |
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平成14年8月28日 国立大学医学部病理学教室、病理部等 病理学関係教授各位 (社)日本病理学会 常任理事会 "国立大学附属病院の医療提供機能強化を目指したマネージメント改革について(提言)" 「国立大学附属病院マネージメント改革指針」(以下指針と略します)関係の最近の動向をご報告申しあげます。貴大学における病理をめぐる将来計画や当面の論議にお役立ていただければ幸いです。 本指針について日本病理学会は、本年3月に意見書をまとめて病院長会議常置委員長に送付しました。また、これと並行して全国国立大学病院
病理部会議小池盛雄議長からも同常置委員長あてに意見書が提出されました。6月以降は、日本輸血学会、検査医学会、臨床検査技師会と本件について話し合
い、これら4学会連名で国会の関連諸委員会に要望書を送付し、また関連した国会議員にも陳情するなどの行動をして参りました。一方この間に輸血学会は、独
自に国会議員、マスコミ等に精力的に陳情をされてきたとのことです。それらの結果、国会において7月3日に文部科学委員会、22日には衆議院決算委員会
で、遠山文部科学大臣・工藤高等教育局長に対して、指針の問題点についてつっこんだ質問がなされ、その結果(1)文科省は病院の中央診療施設は非常に大切
と認識している、(2)本指針はあくまでも個々の大学の判断の資料であり、大学病院をどう変えるかの判断は個々の大学に任されている、との大臣、局長答弁
を得ております。さらに質疑の過程で、4月の「文部科学省課長通達、いわゆる村田通達」が、「この指針にそわないと概算要求に響くという意味合いを含んで
いた」との強い批判が述べられ、文科省より「決してそのようなことはない;本指針は参考資料であり、あくまでも各大学の自主的判断が基本である」と答弁が
なされました。 (以上) |
2002年5月10日
国立大学附属病院の医療提供機能強化をめざしたマネジメント改革について
明後年に予定されている国立大学の独立行政法人化にむけて、国立大学医学部付属病院長会議は、表記の提言を本年3月に公表いたしました。全体の論調は収益をあげることに主眼がおかれた提言となっており、本学会としても受け入れかねる内容が書かれています。 |
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平成14年5月8日 (社)日本病理学会 常任理事会 |
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国立大学医学部附属病院長会議 常置委員会委員長 千葉大学医学部附属病院長 伊藤 晴夫 先生 |
平成14年3月20日 |
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社団法人日本病理学会 理事長 秦 順一 |
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"国立大学附属病院の医療提供機能強化を目指したマネジメント改革について(提言)" に対する(社)日本病理学会の見解 |
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国立大学医学部附属病院長会議常置委員会より提言された改革案には見るべき点もあるが、医療の質や医学教育・研究に対する視点が欠如しており、中央診療部門に関しては大きな問題点をはらんでいる。 専門・細分化した診療体系のなかでは中央診療部門がきわめて重要な役割を果たしている。特に、高度先進医療を推進する国立大学医学部附属病院ではなおさら 重要度が高い。市中の病院と比較して中央診療部門専任の医師を確保することも容易であり、独立行政法人化してもその状況に変化はない。然るに、提言におい て中央診療部門に示された改革案は1)部長・副部長の人事、2)臨床検査技師などの診療支援部への所属、3)検査の委託、である。 診療科においては各講座教授が必ずしも診療科の責任者ではなく、診療に専任する者を診療科長とする案が示されているが、病理部に関しては病理部長等の医師 の構成員は基礎医学の病理学講座教員の併任とすることが提案されている。病理診断が医行為である以上、むしろ診療科と同様に病院病理部に専従する病理医を 責任者とし、病理診断の質を向上・維持し、病理医を育成する必要がある。診療支援部として臨床検査技師、放射線技師、薬剤師を統括する部門を設置し、人員 配置を流動的、有効に行うことを目指すとあるが、専門性が高く、異なる職種を一括して管理することには無理があり、効率的ではない。同じ臨床検査技師とし ても病理部技師は特に専門技術の必要性が高い。病理・細胞診標本作成の外部委託は病理学的確定診断や臨床診断の検証を円滑、かつ十分に実施することを不可 能にすることになる。検査センターにおける病理診断の多くは非常勤医によりなされ、その責任のあり方が問われており、むしろ人員を有している国立大学医学 部附属病院病理部が独立行政法人化に際し専任病理医の常駐しない近隣の病院の病理診断を受託する方向に進むことも考える必要がある。 |