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2024年12月19日
三師調査へのご協力のお願い
会員各位
法律の規定に基づき、医師・歯科医師・薬剤師の方や、業務に従事する保健師・助産師・看護師・准看護師・歯科衛生士・歯科技工士の方は、2年に一度、12月31日現在における業務従事状況等について、厚生労働大臣や都道府県知事へ届出る必要があります。現在、全国の医療機関、大学等で届出表の提出(紙またはエクセルファイルによる)が求められていることと思います。三師調査の結果は種々の厚生労働省の政策に使用される可能性があり、専門医研修のシーリングのための基礎データにも用いられています。病理医の先生方からの届出が不十分な場合、病理学会の会員の皆様にとっても不利益につながる可能性があります。
締め切りまでの期間までにぜひ届出のご協力をお願いします。
▶大学にお勤めで病理医として仕事をしている場合、
(7)従事している施設、業務の種別、を05:医育機関:臨床系の教官または教員、06:大学院生、
(10)従事する診療科名等で 37 病理診断科、
(11)取得している広告可能な医師専門性に関する資格名では14 病理専門医
を選択してください。
▶個人でお仕事をされている先生、衛生検査所でお仕事をされている先生方
には三師調査のお知らせが来ていない可能性がありますが、
厚労省のHP https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryojujisha-todokede-sys.html
を参照し、医師届票をダウンロード記入し、所轄の保健所に提出をお願いします。
2007年11月30日
日本病理学会医療関連死関係専門委員会
「診療行為に関連した死亡の死因究明制度」に関するアンケート集計結果
厚生労働省は平成19年4月より,「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」を立ち上げ,医療関連死に関する新しい「死因究明制度」の検討を行っています。
病理学会は,この死因究明制度に関する問題は,医療の向上,医療への国民の信頼構築のための最重要課題として位置づけ,パブリックコメントを発表し,第三回検討会(平成19年6月8日)において提言を行いました(添付資料および日本病理学会ホームページ:https://pathology.or.jp参照)。「在り方委員会」は8月10日までに計7回開催され,「これまでの議論の整理」が8月24日に公表されています。
新たな「死因究明制度」の一つの大きな柱は,事例発生施設以外の解剖施設で実施される「解剖による調査」であり,この調査には,病理医が積極的に参加し て,診療行為と疾患の実際について正確に解剖評価することになる,と予想されます。したがって,制度の全国的な実施に際しては,大学病院等だけでなく認定 病院に所属されている一般病理医の方々の参加と協力が不可欠であります。同時に,この事業は参加する病理医にとって相応の負担となることから,人員確保, 実施に伴う費用などを十分に考慮しなければならないと考えております。
医療関連死関係専門委員会では,日本病理学会認定病院・施設病理部門責任者を対象に,平成19年8月末より9月15日にかけてアンケートを行い,各地域での医療関連死について解剖可能件数,参加可能病理医数,参加可能施設数等の予測と制度に関する意見を伺いました。
厚生労働省は10月17日に「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する試案-第二次試案」を公表,11月2日までの意見を募集するとともに,10月26日,11月8日と矢継ぎ早に「在り方検討会」を開催しております(https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/index.html)。このような急速な展開のため,当委員会では,できるだけ早急にアンケート集計結果を会員にフィードバックし,この問題への対応,討論,準備を進めるべきであると考えました。
会員諸氏におかれましては,医療の向上,医療への国民の信頼構築という観点から,是非とも,第二次試案とともにアンケート集計結果についてご確認いただき,ご意見を当委員会宛にお寄せ下さい。
日本病理学会医療関連死関係専門委員会
jsp-admin@umin.ac.jp
医療関連死アンケート集計結果
<アンケート質問項目>
1.現在勤務されておられる施設において,先生が当該事業に参加され医療関連死解剖を行って頂くことは可能でしょうか。
2.勤務施設の規模,各科の状況等から見て,この立会い医を当該勤務施設から出して頂くことは現実的に可能と予想されるでしょうか。
3.年に何例程度の解剖が可能でしょうか。また,当番日として月に何日程度であればご協力可能でしょうか。
4.先生が他の施設へ出向かれて医療関連死解剖を行うことは可能でしょうか。
5.法医学者の方にどの程度関与していただくことが必要とお考えになりますか。
6.死因究明制度の全般についてご意見,ご感想をお聞かせ下さい。
<アンケート結果>
【アンケート回答状況】
全国の日本病理学会認定施設479(市中病院369,大学本院80,大学分院30)に医療関連死に関するアンケートを送付したところ,約4割程度の施設から回答が得られた。
表1.回収率,質問1~4
合計 | 認定施設 | |||
市中病院 | 大学本院 | 大学分院 | ||
アンケート回収率 (回答施設/認定施設) |
204/479=43% | 150/369=41% | 44/80=55% | 10/30=30% |
新制度参加可能施設 /回答施設 |
125/204=61% | 79/150=53% | 40/44=91% | 6/10=60% |
臨床立会医要請可能施設 /回答施設 |
70/204=34% | 39/150=26% | 28/44=64% | 3/9=33% |
年間解剖可能件数 /回答施設中の参加可能施設 |
316/125=2.5件 | 186/79=2.4件 | 118/40=3.0件 | 12/6=2.0件 |
月毎の当番可能日数 /回答施設中の参加可能施設 |
510/125=4.1日 | 274/79=3.4日 | 223/40=5.6日 | 13/6=2.2日 |
他施設への出向可能施設 /回答施設 |
62/205=30% | 42/150=28% | 20/44=45% | 0/0=0% |
1【新制度参加の可能性】
新制度への参加可能性については,回答があったうちおよそ6割程度の施設から参加可能との回答が寄せられた。大学病院では9割程度が参加可能,一般認定病院でも5割程度が参加可能との回答であった。
参加が困難な理由としては,一人病理医の施設であること,通常業務が忙しいこと,人手不足が大半を占め,参加可能との回答があった施設でも,通常業務と並行して行う以上,相当な負担になるとの声が聞かれた。
一般病院で参加可能と回答があったのは,常勤病理医が2名以上の施設が多く,一人病理医の施設で参加する場合には,休日や勤務時間以降に限る等の条件が付されたものが散見された。
また,参加する前提条件として,異状死等の法的問題や解剖時の人的,物的整備がしっかり整っていることが前提とされた。
地域別での参加可能施設数を見てみると,都市部では,東京15(うち大学病院7,分院2),大阪12(うち大学病院3),愛知10(うち大学病院1)等比 較的多数の施設参加が見込まれたが,地域によっては,青森2(うち大学病院1),岩手1,秋田2,宮城1,山形2(うち大学病院1),新潟2,茨城2,岐 阜2,三重1(うち大学病院1),福井1(うち大学病院1),滋賀1,奈良1,和歌山0,鳥取2,島根1(うち大学病院1),山口0,香川2,愛媛1(う ち大学病院1),高知1(うち大学病院1),大分2(うち大学病院1),佐賀1,長崎1,熊本1(うち大学病院1),宮崎1(うち大学病院1),鹿児島 1(うち大学病院1),沖縄2(なお,栃木,山梨,徳島,大分からは回答がなくゼロ。)と都市部との差が見られた。
2【各施設における臨床立会医要請の可能性】
臨床立会医を当該施設から出してもらえるかとの問に対しては,全体で34%程度の施設で可能との回答があった。内訳は,一般病院では39施設(150施設中26%),大学病院28施設(44施設中64%),大学病院分院3施設(9施設中33%)。
ただし,不明であるとの回答(34)や診療科によるなどの回答(7)も相当数あり,現時点では不確定な側面が大きいと考えられる。
臨床立会医の要請が困難な理由としては,臨床医も不足していて忙しいというものが多く,講師クラス(一般病院では医長クラス)の臨床医を必ず用意出来るかと言われると現実的には厳しい,すべての分野で経験のある臨床医を用意することは無理である等の意見も見られた。
また,臨床立会医を要請するとしても,労使関係についての病院への事前交渉や立ち会う臨床医に対する報酬等での配慮が必要との意見が見られた。
3【各施設における年間解剖可能件数,当番可能日数】
参加可能と回答のあった施設の中で,責任者による解剖実施可能として回答のあった件数は,総計316件であった。 一施設あたりの平均解剖可能件数は2.5件/年,平均当番日数は4.1日/月である。回答率で単純に補正すると,予想総計は750件程度となる。
なお,現在のモデル事業での取扱件数は56件/2年間程度であり,今回の結果は,全国的な規模拡大に対応できる潜在力を示す結果であろう。
4【各施設における他施設への出向の可否】
他施設へ出向して解剖を行う事の可否については,3割程度が可能との回答であったが,全体的には出向は出来ないという回答が多かった。
出向出来ない理由としては,一人病理医であること,通常業務があるので勤務時間内に病院を空けることはできないなどが多く,その他に慣れない人と設備で解剖を行うのは不安である,時間的なロスが大きいなどが理由として挙げられた。
他方,地方の一般病院などでは,自施設では人材,設備等が整っていないこともあって解剖は困難だが,大学病院や基幹病院等へ出向いて解剖することは可能で,むしろこのような形態の方が好ましいとの回答も寄せられた。
5【法医学者の関与の度合い】
医療関連死解剖における法医学者の関与の必要性については,回答があったうちの半数近くが解剖時から参加することが必要とのことであった。
その理由は,法医学的な所見の取り方や薬物,毒物等の特殊検査の必要性について意見を聞きたい,異状死の判断を相談したいというものが多かった。法医立会のもとで実際に解剖を行った経験では有意義であったとの意見もあった。
また,法医不足の現状では,全ての解剖に法医の立会を求めるのが難しいとしても,法的に問題がありそうな症例については法医が解剖に立ち会ってもらいた い,あるいは必要な時に電話などでも相談出来る体制を整えてもらいたいといった意見も多く見られた。制度に慣れるまでのしばらくの間は法医学者に解剖時よ り参加してもらいたいという意見もあった。
しかし,他方では,医療関連死を病理解剖として行うのであれば,病理医のみで解剖評価を行うことは十分可能であり,法医学者の関与は評価委員会からで足りる,あるいはオブザーバー程度の関与で十分であるといった見解も相当数見られた。
表2.質問5,法医参加の必要性(総回答数176)
個別事例の解剖時より法医の参加が必要 | 75 |
個別事例の解剖評価から参加が必要 | 16 |
評価委員会からの参加が必要 | 33 |
制度のオブザーバー的役割として参加が必要 | 24 |
不要 | 3 |
必要な場合には相談出来るようにしてほしい | 20 |
法医学的問題がある症例には参加してもらいたい | 10 |
わからない等 | 3 |
7【新制度についての意見】
新制度に対する意見としては,制度の趣旨自体については概ね肯定的な見解が多く見られた。
- 有意義な制度と思う
- 第三者が判断することで評価の公正さ,客観性が期待出来る
- 医療関連死が常に医療者の過失や犯罪を疑われるという現状は改善する必要がある
- 日本の死因究明制度は諸外国に比べ立ち後れており,国策として重視すべきである
- 病理解剖を見直す契機となるのでは と言った意見が出された。
他方では,一部に反対意見や否定的な意見も見られた。
- 医療関連死は本来法医学や監察医が行うべき業務である
- 法的な訓練を受けていない病理医が行うべきではない
- 解剖によって死因究明が本当に出来るのか疑問である
- 医療関連死は本来当該病院の自主努力で信頼を回復すべきである
- 安易に第三者機関に丸投げするのではかえって医療の信頼回復につながらない
- 病理医不足の現状の中,安易に一般病院や大学病院へ負担を転嫁しようとする行政の姿勢には首肯出来ない
- 一般病院,大学病院で行うのではなく,医療関連死解剖を専門に取り扱う機関を別途創設すべきである
- 新制度は後の裁判のための証拠集めとして用いられる可能性があるが,これは病理医の行うことではない
- 裁判になった場合に,同業者を攻撃する立場に立つことは避けたい
- 後に刑事事件になるかもしれない事例を解剖したくない また,新制度に賛成するもののその実現にあたっては様々な課題の指摘や懸念の声も
- 医療関連死を引き受けることは各施設にとって相当な負担であり,病理医の地位,接遇の向上とともに病理医の増加を政策的に図るべきである
- 参加施設,参加病理医に対する具体的なインセンティブが必要であろう
- 専門職として医療関連死解剖の資格を設けるべきである
- 責任に応じた報酬を考えてもらいたい(但し,現行のモデル事業程度の経費で妥当との回答も大学病院を中心に見られた)
<人材不足>
- 現在の病理医不足の中,通常業務と並行してこれを行うことは現実的には困難である
- 一般病院は特に人手不足であり,臨床医や法医との連携,人材,設備の整った大学病院が中心に運用してもらいたい
- 人材育成のための研修を学会レベルで行うべき
- PA(pathology assistant)などのような医療関連死専門のサブスペシャリティー制度を創設し,病理医不足の解消を図ってはどうか
- 退職した病理医を活用してはどうか
- 認定施設に限定するのではなく,登録施設等の病理専門医の参加を呼びかけては
<解剖について>
- 安心して医療関連死の解剖を行えるよう異常死,司法解剖との振り分け等の法的整備が整っていることが参加の必須条件である
- 医療関連死の解剖,報告書作成は,通常の病理解剖とは症例の難易度や法的側面を含む等かなり趣が違うため,講習会や研修セミナーなどの場を設けてもらいたい
- 法医学的解剖方法を踏まえた解剖のマニュアルを整備して欲しい(外表所見の取り方,検体サンプリング部位,薬物,毒物検査等)
- 報告書の書き方について,マニュアル,統一のプロトコールを作成すべき
- 法的な文章作成について研修,法的な予備知識が必要
- 学会発表や文献等で医療関連死に関する知識の共有を図るべき
- 解剖評価の同質性を確保し,評価全体の公平性を担保する仕組みが必要である
- 個々の解剖医の技量には差があるのではないか
- 医療関連死の解剖を行う病理医にも相応のキャリアが必要であり,基準を設けるべき
- 難しい症例の場合など,専門分野の病理医に相談出来る体制を作ってもらいたい
- 解剖評価は複数の病理医の目を経るべきである
- 解剖によって必ずしも死因が究明出来るとは限らず,これについての国民の理解を得ることが必要
- AI(autopsy imaging)の併用は解剖に有用であろう
- 解剖に際しては必要なときに法医学者に相談できる体制を整えてほしい
- 地方には解剖出来る施設が少ない,病理医,法医が少ない,同一大学出身者が多いため事故病院との利害関係者を完全には排除しきれない等の事情があり,新制度の運用にあたっては地方の実情にあった運用を行ってもらいたい
- 道州レベルの広域単位で運用してはどうか
- 地方では,大学病院を中心にすえ,地域の一般病院から人員協力を行うような形にしてはどうか
- 地域によっては,県の医師会などを中心にモデル事業での解剖と同様の解剖システムを既に作っているところもある
- 各施設間,病理医間の負担が公平になるようにしてもらいたい
- 解剖医に対して被害者,マスコミ,警察等から不当な社会的圧力がかからないようにしてもらいたい
- 裁判になった場合には解剖医が呼び出されるのか,訴訟への対応を示してもらいたい
- 病理医の報酬や時間外,他施設への出向について勤務先との労使関係を明確にしてもらいたい(特に公立病院から)
- 当番日に待機するのなら,待機費用は出るのか
- 感染防御対策については解剖室の整備が必要である
- 解剖時の事故について補償されるのか
- 24時間体制なのか,夜間はどうするのか,平日勤務時間内しか対応出来ない
- 技師の協力を得ることが不可欠で,技師会との連携が必要である
- 技師の手配にあたり報酬,労使関係等に配慮してもらいたい
<インセンティブ>
<都市部と地方>
<その他>
2004年3月31日
2003年11月13日
新医師臨床研修制度におけるCPCレポート作成について
(委員長:井内 康輝)
新医師臨床研修制度のもとで、研修医にとって必修項目のひとつとなるCPCレポートの作成について、研修病院等からお問い合わせがありますので、以下に改めてこれまでの経過を含めてご報告します。
研修医のCPCレポート作成は、大学附属病院を含む各研修病院において病理医がその指導にあたらなければなりません。この新たな指導業務に対す る病理医の対応について、(社)日本病理学会として検討するために病理専門医制度運営委員会(委員長:長村義之)のもとに卒後臨床研修ワーキンググループ が作られ、様々な検討を行ってきました。
まず、CPCレポート作成指導に関する提言(平成14年10月29日)が(社)日本病理学会の公式見解として発表され(1)学会としてはCPCレポート作成を通じて、研修医の指導に積極的に関与することを表明しました。
次いで、CPCレポート作成に関する指針を作成してCPCの形式やCPCレポートの記載内容及び作成要領を示し、これを平成14年12月11日 に提示しました(厚生労働省へ提出。(2))。この指針では、各病院で従来行われているCPCを、全ての研修医にあてはめて行うことは事実上不可能である と考えられることから"教育型CPC"として簡素な形式のCPCも可能であることを提案しています。
CPCレポートの実際については、厚生労働省からの求めもあって、その書式のスタンダードを提示することが必要と考え、2例の具体例を作成し、平成15年1月9日に厚生労働省に提出しました。そのうち1例について。雑誌に掲載しています(3)。
ここに提示されているCPCレポートが詳細なものであることから、各研修病院でこれを標準としたレポート作成は不可能であるとのご意見が寄せら れています。この例示はある意味で"病理解剖及びCPCの意義"を本質的に考えた場合、そのありたい姿であり、ひとつの理想型を提示したものです。一方 で、CPCの形式について"教育型CPC"として簡素化したCPCを実施することが可能であるのと同様、CPCレポートの内容も簡素化することは可能と考 えます。また、全ての研修医が自ら病理診断をつけることが求められている訳ではありませんので、病理医がつけた病理診断を理解できる能力の獲得が目標であ るとみるべきでしょう。CPCレポートの内容は各病院の研修委員会で判断することであり、(社)日本病理学会として最初から簡素化したものを提示すること は、(社)日本病理学会自体が"病理解剖及びCPCの意義"をまげることにも連がりかねないことを恐れ、提示したCPCレポートの具体例は、ひとつの理想 的な内容での提示となったことをご理解いただきたいと思います。
これらCPCレポート作成に関する一連の資料の提出によって、研修制度の中でこの必修項目が病理医に大きな負担を与えることを厚生労働省は認識 されたと考えます。一連の資料は、「新医師臨床研修制度におけるCPCレポート作成に関する資料一覧」として(社)日本病理学会が小冊子にまとめ、配布致 しました。お手元にない場合は(社)日本病理学会事務局にお問い合わせ下さい。また病理解剖の経費については先日、厚生労働省から問いあわせがあり、日本 病理学会の試算(平成4年5月1日)を提示致しました。これについても厚生労働省内で検討が行われていると考えます。
CPCレポート作成に関する研修医への参考書が現在、各出版社から刊行の準備がなされていますので、ご紹介致します。これらはいずれも(社)日本病理学会の基本方針に準拠していると思いますが、編者あるいは著者の独自の見解も披歴されていると考えます。
- 雑誌「病理と臨床」短期緊急連載(田村浩一)
1) 新医師臨床研修制度におけるCPC症例呈示とレポート作成の必修化にあたって
2) CPC研修のための必要な準備 他
- 「臨床研修必携:CPCレポート作成マニュアル」
(編集:田村浩一)、南江堂(2004年2月) - 「臨床医・初期研修医のための 病理検査室利用ガイド」
(編集:笹野公伸、森谷卓也、真鍋俊明)、文光堂(2004年4月1日)
新医師臨床研修制度のもとでのCPCレポート作成の指導は病理医にとって過重な負担であるとのご意見もあると考えますが、これを機会に病理医の存在意義を社会にアピールし、各病院で常勤病理医の確保が積極的に行われ、病理医をめざす人材が増えることを切に願うものです。
なお、本文中に引用番号のある記事は以下です。(1)医学のあゆみ 204(12):887, 2003
(2)医学のあゆみ 204(12):888, 2003
(3)医学のあゆみ 204(12):891, 2003
2003年7月 4日
地域病理ネットワーク検討委員会の報告
来年4月、"新医師臨床研修制度"の発足にもとづいて、CPCレポートの提出が研修の必修項目となり、その指導を行う大学あるいは病院で
の病理医の負担が増すことが予想されます。この事態への対応策を探るため、日本病理学会としては理事長直属の委員会として"地域病理ネットワーク検討委員
会"を立ち上げ、検討を開始したところであります。
この地域病理ネットワーク構想は、病理専門医が不足している地域において病理専門医の相互協力を可能とし、もって当面の新医師臨床研修制
度への対応問題のみでなく、病理医の労働条件の改善(休日の保証など)、術中迅速診断への対応(画像伝送などの応用)、診断の精度管理などの様々の面で病
理業務の円滑な運営に資することををめざすものです。現に沖縄県での病理センター化構想(病理専門医部会会報、平成14年10月)の他に、岩手県でも動き
があると聞いています。地域での病理専門医の慢性的な不足と新しい人材の供給もままならない現状の下で、負担増のみが重くのしかかる病理の現状を打破する
ために、新しい形の共同体を提案してみたいと思っております。 |