2020年5月アーカイブ

2020年5月26日

新型コロナウイルス感染症等に関する日本病理学会の病理解剖指針(2020年5月27日)

新型コロナウイルス感染症等に関する日本病理学会の病理解剖指針(2020年5月27日)

令和2年5月27日
一般社団法人日本病理学会
理事長 北川昌伸
医療業務委員長 佐々木毅

 5月25日、政府より全国的な緊急事態宣言の解除が発表されました。しかしながら、規制緩和が段階的に行われること、また直近1週間の人口10万人当たりの新規感染数が0.5という当初の国の基準を満たしていない道県があることも事実です。
 5月14日の緊急事態宣言の一部解除を受け、病理学会として当時の基準をもとに病理解剖指針を発信し(5月18日)、現在、多くの医療機関で病理解剖が徐々に戻りつつあります。
 今回の緊急事態宣言解除を受け、病理解剖指針の規制をさらに緩和するとともに、一方で、医療の検証としての病理解剖を安全に安心して行うために、新たな指針を提唱いたします。
 なお、規制緩和や感染者数の推移をみて、今後も指針を随時変更していく予定です。ご所属の都道府県の感染者数の推移等の状況把握とともに、病理解剖前には臨床担当医との情報交換を十分に行い、病理学会の新着情報にもご留意の程、よろしくお願いいたします。

1. 臨床的に新型コロナウイルス感染症が疑われない患者さんについて
(1)新規感染者数が上記の国の基準を満たしている地域に関して
この地域に関しては、無症候感染者数が極めて少ないことが予想されます。新型コロナウイルス感染が臨床的に疑われない患者さんに関しては、病理医と臨床担当医の合議の上、各施設の判断と責任に委ね、従来の標準感染予防策にて病理解剖を行うことを許容します。なお、念のためエアロゾールが大量に発生するストライカー使用時や、手指を介しての結膜、口元からの接触感染等には十分に留意したうえで病理解剖を実施することとします。
(2)新規感染者数が上記の国の基準を超えている地域に関して
これらの地域でも新規感染者数が減少している現状を鑑み、感染の可能性が低いと考えられる場合には、病理医及び臨床担当医との合議により各施設の判断と責任に委ねることとします。ただし、PCR検査や抗原検査が実施可能な場合には、可能な範囲でPCR検査あるいは抗原検査の実施を検討事項とすることを推奨いたします。

2.新型コロナウイルス感染症患者さんおよび臨床的に感染が疑われる患者さんについて
 臨床的に感染が疑われる患者さんについては、たとえPCR検査結果が陰性の場合であっても国立感染症研究所の感染予防策に従って病理解剖を実施することを推奨いたします。

*付記:病理解剖前あるいは病理解剖時のPCR検査実施に関しては、現在なお、欧州や米国など世界の各国では実施を求めている実態があります。

*ご質問、ご意見等は「日本病理学会事務局(jsp-admin@umin.ac.jp)」まで、メールにてお願いいたします。大変に恐縮ですが、現在、日本病理学会事務局は政府および東京都の方針に従い、8割勤務体制としております。電話での対応はお受けいたしかねますので、ご了解の程お願いいたします。

術中迅速病理標本作製・病理診断および病理組織未固定検体、細胞診検体の取り扱いについて―新型コロナウイルス関連―(日本病理学会 2020年5月27日)

術中迅速病理標本作製・病理診断および病理組織未固定検体、細胞診検体の取り扱いについて
―新型コロナウイルス関連―(日本病理学会 2020年5月27日)

令和2年5月27日
一般社団法人 日本病理学会
理事長 北川昌伸
医療業務委員長 佐々木毅


 5月25日に政府より発表された全国的な緊急事態宣言の解除等を受け、日本病理学会として表記病理検体の取り扱いに関して推奨する方針を変更いたしますので、ご周知の程よろしくお願いいたします。

1.臨床的に新型コロナウイルス感染症を疑わない患者さんからの未固定検体(術中迅速、細胞診等を含む)
 原則、従来通りの「標準感染予防策(飛沫感染予防策、接触感染予防策)」に従って検体を扱うことを推奨します。なお、ハイリスク検体である気管支肺胞洗浄液、気管支ブラシ、喀痰、胸水、超音波気管支鏡下針生検、肺のコア生検の捺印細胞診標本といった呼吸器検体は、可能な範囲で個人防護服(キャップを含む)、N95マスクまたはPAPR(Powered Air Purifying Respirators)マスク、ゴーグルの着用を推奨いたします。

2.臨床的に新型コロナウイルス感染症を疑う患者さんからの未固定検体(術中迅速、細胞診等を含む)
 PCR検査実施および結果の有無にかかわらず、個人防護服(キャップを含む)、N95マスクまたはPAPR(Powered Air Purifying Respirators)マスク、ゴーグルを着用の上、Biological Safety Cabinet (BSC) Class II(クリーンベンチは不可)で検体処理を行うことを推奨します。また、骨腫瘍など骨を含む検体では、標本作製時にストライカー等を使用する可能性があり、この際に大量のエアロゾールが発生することから、これらの検体に関しても十分に注意して検体処理を行うことを推奨いたします。

3.新型コロナウイルス感染患さんからの未固定検体(術中迅速、細胞診等を含む)
 個人防護服(キャップを含む)、N95マスクまたはPAPR(Powered Air Purifying Respirators)マスク、ゴーグルを着用の上、BSCでの検体処理を推奨いたします。


*ご質問、ご意見等は「日本病理学会事務局(jsp-admin@umin.ac.jp)」まで、メールにてお願いいたします。大変に恐縮ですが、現在、日本病理学会事務局は政府および東京都の方針に従い、8割勤務体制としております。電話での対応はお受けいたしかねますので、ご了解の程お願いいたします。

2020年5月18日

新型コロナウイルス感染症等に関する日本病理学会の病理解剖指針(2020年5月18日)

新型コロナウイルス感染症等に関する日本病理学会の病理解剖指針(2020年5月18日)

令和2年5月18日
一般社団法人日本病理学会
理事長 北川昌伸
医療業務委員長 佐々木毅

 5月14日に多数の県で緊急事態宣言の解除あるいは緩和がなされました。県によっては、もう何週間もの間、新規感染者が0人という地域もあります。その一方で、緊急事態宣言が解除されない都道府県では、現在も毎日のように新規感染者が報告されており、感染源が特定できない感染者も少なからず報告されております。また、医療資源の枯渇がさらに深刻化している地域もあり、N95マスク、フェイスシールド付きマスク、感染防護服が、感染の水際で盾となって奮闘としている臨床医はじめ医療関係者にさえ配給が途絶えている医療機関が多数報告されています。
 現在、病理解剖は多くの医療機関で停止あるいは激減している状況ですが、その一方で、医療の検証としての病理解剖を強く望む臨床医からの声、国民からの声を無視することが出来ないことも事実です。
 日本病理学会としても病理解剖が滞っている事態は本意ではありません。
 このような状況を鑑み、日本病理学会では病理解剖に関して従来の指針(4月27日発出)を改め、新たな指針を提唱いたします。

1.緊急事態宣言が解除された地域に関して
 臨床担当医と十分に協議の上、これまで求めてきたPCR検査、抗原検査を検討項目とすることを可とし、病理解剖の実施に関しては、病理医と臨床担当医の合議の上、各施設の判断と責任にゆだねるものとする。

2.緊急事態宣言が継続されている地域に関して
 病理解剖時には大量のエアロゾールが発生することが報告されていることから、原則、病理解剖前あるいは病理解剖時のPCR検査あるいは抗原検査の実施を求めることとする。
 ただし、これらの地域でも新規感染者数が減少している現状を鑑み、感染の可能性が極めて低いと考えられる場合には、PCR検査あるいは抗原検査の実施は検討事項とし、病理医及び臨床担当医との合議により各施設の判断と責任にゆだねるものとする。

(1)臨床的に症状がなく、新型コロナウイルス感染の可能性がないもしくはほぼないと判断された場合には、病理医と臨床担当医の合議の上、各施設の判断と責任の元、病理解剖を実施するものとする。
①:検査キット不足等によりPCR検査や抗原検査実施が困難な場合
 この場合も無症候感染等も考慮し、N-95マスク等や個人防護服を可能な限り着用し、十分に注意して病理解剖を行うことや、大量にエアロゾールが発生するとされる手技(ストライカーの使用等)を回避するなど、病理解剖の範囲についても臨床担当医と協議の上、検討することを推奨する。
②:検査が可能な場合には原則、病理解剖前あるいは病理解剖時にPCR検査あるいは抗原検査を推奨する。
(ア):PCR陰性の場合には通常の感染予防策で病理解剖を行う。
(イ):PCR検査または抗原検査陽性の場合には国立感染症研究所の感染予防策に従って、病理解剖を実施する。
(ウ):抗原検査陰性の場合にはPCR検査を実施し、その結果をもって上記(ア)(イ)に従って病理解剖を行うこと。

(2)臨床的に新型コロナウイルス感染が疑われるあるいは否定できない場合
 病理解剖前あるいは病理解剖時にPCR検査、抗原検査を必須とする(結果を待って病理解剖を行うこと。なお、PCR検査キットに関しては複数のメーカーから最短30分から90分程度で結果が得られるものが販売されており、それらの活用も各医療機関内で検討することを求める)。

(3)新型コロナウイルス感染患者の病理解剖
 症状や肺炎の有無等に関わらず、国立感染症研究所発出の感染予防策に従って解剖を行うこと。

*付記:病理解剖前あるいは病理解剖時のPCR検査実施に関しては、現在、欧州や米国など世界のほぼすべての国々で実施を求めている実態がある。

*ご質問、ご意見等は「日本病理学会事務局(jsp-admin@umin.ac.jp)」まで、メールにてお願いいたします。大変に恐縮ですが、現在、日本病理学会事務局は政府および東京都の方針に従い、原則テレワークとさせていただいております。電話での対応はお受けいたしかねますので、ご了解の程お願いいたします。

術中迅速病理標本作製・病理診断および病理組織未固定検体、細胞診検体の取り扱いについて―新型コロナウイルス関連―(日本病理学会 2020年5月18日)

術中迅速病理標本作製・病理診断および病理組織未固定検体、細胞診検体の取り扱いについて
―新型コロナウイルス関連―(日本病理学会 2020年5月18日)

令和2年5月18日
一般社団法人 日本病理学会
理事長 北川昌伸
医療業務委員長 佐々木毅


 5月14日に政府より発表された多くの地域での緊急事態宣言の解除等を受け、日本病理学会として表記病理検体の取り扱いに関して推奨する方針を変更いたしますので、ご周知の程よろしくお願いいたします。

1.臨床的に症状がなく、新型コロナウイルス感染の可能性がないもしくはほぼないと臨床医が判断した患者からの未固定検体の場合
 これまでの病理検査室、病理診断の実績を鑑み、また、PCR検査、抗原検査あるいはN95マスク、フェイスシールド付きマスク、個人防護服などの医療資源が地域によってかなり逼迫ないし枯渇している現状を鑑み、臨床的に新型コロナウイルス感染の疑いがないあるいはほぼないと臨床医が判断した患者からの未固定検体(術中迅速、細胞診等を含む)の取り扱い関しては、従来通りの「標準感染予防策(飛沫感染予防策、接触感染要望策)」に従って検体を扱うことも許容する。
 なお、PCR検査が未実施の場合、ハイリスク検体である気管支肺胞洗浄液、気管支ブラシ、喀痰、胸水、超音波気管支鏡下針生検、肺のコア生検の捺印細胞診標本といった呼吸器検体は、Biological Safety Cabinet (BSC) Class II(クリーンベンチは不可)で検体処理を行うことを推奨する。また、骨腫瘍など骨を含む検体では、標本作製時にストライカー等を使用する可能性があり、この際に大量のエアロゾールが発生することから、これらの検体に関しては術前のPCR検査実施の有無に関しての確認を行ってからの標本作製が推奨される。

2.新型コロナウイルス感染患者および臨床的に新型コロナウイルス感染症を疑う患者からの未固定検体の場合
 引き続き、すべての未固定検体に関して、個人防護服(キャップを含む)、N95マスクまたはPAPR(Powered Air Purifying Respirators)マスク、ゴーグルを着用の上、BSCでの検体処理を必須とする。

*ご質問、ご意見等は「日本病理学会事務局(jsp-admin@umin.ac.jp)」まで、メールにてお願いいたします。大変に恐縮ですが、現在、日本病理学会事務局は政府および東京都の方針に従い、原則テレワークとさせていただいております。電話での対応はお受けいたしかねますので、ご了解の程お願いいたします。

2020年5月11日

CAP病理解剖委員会によるCOVID-19病理解剖ガイドラインに関する声明」の掲載

令和2年5月11日
一般社団法人日本病理学会
理事長 北川昌伸
医療業務委員長 佐々木毅


米国の「CAP病理解剖委員会によるCOVID-19病理解剖ガイドラインに関する声明」を、日本病理学会 元理事長 長村義之先生よりご提供いただきました。
米国CAPでは「病理解剖前または病理解剖時に新型コロナウイルスのPCR検査が必須とされいます」とのことです。
詳細はこちらからご参照ください。

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