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死体解剖資格認定要領の改正に関して

会員の皆様

 20171120

病理専門医制度運営委員長

北川昌伸

平素より大変お世話になっております。この度、厚生労働省医道審議会解剖資格審査分科会より、死体解剖資格認定要領の改正の通知がございました。内容については別紙の通りですが、主な変更点についてお示しします。死体解剖資格(病理)を取得されようとしている方々におかれましては改正の内容をよくご理解いただいた上でご対応いただきたいと考えます。また病理専門医試験を受験される方々を指導されている先生方におかれましては、関係される先生方にご周知いただけますようお願い申し上げます。

 

・第一 用語の定義 1 解剖を行った経験:

「単に解剖に立ち会うのみならず、自らが頭蓋腔、胸腔及び腹腔を開検し、解剖報告書等を作成した経験をいい、学生実習における解剖の経験も含むものとする。」

この定義により、解剖補助は経験数に加えられないことになりました。これまで病理学会の会員の皆様の認識は「解剖(主執刀)15例+解剖補助5例」で申請できるということであったかと存じますが、この改正により「解剖20例」での申請に変更になったということになります。

 

・第一 用語の定義 2 適切な指導者:

「医学又は歯学に関する大学(大学の学部含む。以下同じ。)の解剖学、病理学若しくは法医学の教授若しくは准教授又は死体解剖資格を有する者で解剖学、病理学若しくは法医学を専門とする者をいう。」

この文言が追加されました。問題ないと考えられます。

 

・第二 認定の基準 1: 

「ただし、死体解剖を行う者として学術的・倫理的に著しく不適格な者は、認定を行わないことができる。」

この文言が追加されました。問題ないと考えられます。

 

・第二 認定の基準 1 (1)イ:

「医師又は歯科医師の免許を得て2年を経過した後、初めて解剖に従事した日から起算して2年以上解剖に関連する診断、研究又は教育業務に従事し、かつ、直近の5年以内に適切な指導者の下で20体以上について死体解剖保存法施行規則(昭和24年厚生省令第37号。以下「規則」という。)第4号書式による申請書に記載した主として行おうとする解剖の種類(系統、病理、法医のうち、いずれか1つ)の解剖20体以上を行った経験を有する者」

2年を経過した後」という文言が追加されました。これまで初期臨床研修中に経験した解剖数も死体解剖資格申請時の経験体数としてカウントしていました(初期臨床研修期間中の解剖経験を件数にカウントする場合、当該経験に対する指導者からの申立書を提出して頂くことで、当該経験を件数に算定しておりました)が、今後は「原則として初期臨床研修修了後の経験体数に限る」ことに変更になりました。ご留意ください。

 

・第二 認定の基準 1 (1)イ: 

「ただし、病理解剖について申請を行う者については、解剖を行った経験に、頭蓋腔は開検せず胸腔及び腹腔を開検する解剖例を含む場合であっても、病理解剖を実施するために必要な知識及び技能を有していると認められる場合には、分科会の判断で認定を行うものとする。」

頭部の解剖は、なるべく多数例,少なくとも一例を経験することが必要と考えられ、認定の可否については、分科会において個別に審査します。

 

・第三 2 (5)その他:

「解剖件数には、ネクロプシーの件数は含まれないこと」

これまでもネクロプシーについては解剖経験数には含めておりませんでした(今回改正された事項ではありません)が、神経疾患専門病院などからの申請で、解剖件数に頭蓋腔のみを開検した解剖が含まれていることがあります。上記中の2つの項目(第一 用語の定義 1 解剖を行った経験 および 第二 1 (1)イ)により、これらはネクロプシーと同様、基本的に解剖経験数には含まれないことになりますのでご留意ください。

 

・解剖調書

上記の改正に伴って、解剖調書の書式が変更されました。ご留意ください。

 

・本改正要領が適用される時期について

基本的に、次回の申請から本要領に従って審議がなされます。これまでの要領による解剖経験症例の蓄積等で特段の事情がある場合には分科会で審議することといたしますので、ご了承ください。資格取得に必要な解剖経験数が「解剖20例」と改正されたことで、病理専門医試験の受験を考えておられる方々には書類提出期限等に関して時間的な余裕がなくなる可能性も考えられます。死体解剖資格審査が申請書類提出後できるだけ速やかに実施されるよう努力するとともに専門医試験受験資格審査においても柔軟な運用で対応したいと考えておりますので、宜しくご高配のほどお願い申し上げます。


>>死体解剖資格認定要領 新旧対照表

>>死体解剖資格認定要領

>>(別添)解剖調書