第3部の根拠となる実証解析データ

[実証データ ⑩] 未染標本の保存状態のゲノムDNAの品質等に対する影響

  • 大腸・肺手術検体をホルマリンで3日間固定し、パラフィン包埋したブロックを 5µm厚で薄切した未染標本について、以下の保管条件を比較した。
    • パラフィンコートせず室温保管
    • パラフィンコートして室温保管
    • パラフィンコートせず4℃保管
    • パラフィンコートして4℃保管
  • それぞれ保管1ヶ月ならびに3ヶ月で保管したのち、キシレンで脱パラフィンし、QIAamp DNA FFPE Tissue kit (Qiagen)を用いてゲノムDNAを抽出した。
  • 2本鎖DNAの収量はQubit システム (Thermo Fisher)により評価し、DNAの品質はTapeStation システム (Agilent)によりDINを測定して評価した。
    未染標本の保存状態のゲノムDNAの品質等に対する影響
  • 1ヶ月保管に比し3ヶ月保管の方がDIN値が若干低下するものの、3ヶ月保管した未染標本も充分DNAを用いた解析に供せると考えられる。
  • 室温あるいは4℃保管の別、未染標本表面のパラフィンコートの有無は、DNAの品質に顕著な影響を与えない。
  • 同時期に抽出を行った3ヶ月保管の収量を比較すると、脱パラフィンの工程を入念に行う必要があること等から、本検討においてはパラフィンコートした未染標本からのゲノムDNAの収量が低下する傾向が伺えた。
    未染標本パラフィンコートのゲノムDNA収量に対する影響